【ブログ】信頼関係破壊の法理

2016-09-29

 皆さん,こんにちは。千代田区神田にある法律事務所,アトラス総合法律事務所の山本です。

 今回は,「信頼関係破壊の法理」についてです。

 なんか,文字にすると呪いの言葉みたいで怖くないですか?誰がネーミングしたんでしょうね。たぶん東大の偉い先生ですかね。我妻先生だったらゴメンなさい。

 さて,本題に入ります。

 この「信頼関係破壊の法理」とは,賃貸借契約上の義務違反があった場合でも,未だ信頼関係を破壊するに至らない場合には,契約の解除は認められないとの考え方です。

 たとえば,建物の借主が,家賃の支払期日である月末に,一度だけ家賃の支払いを忘れてしまった場合を考えてみます。この場合,借主は,賃料支払債務を履行していないので,債務不履行が生じていることになりますよね。この場合,大家さんが,借主の債務不履行を理由として賃貸借契約を解除できるのかが問題となります。

 この場合に解除が許されると,借主は住んでいるところを引き払う準備をし,引越先を見つけて引っ越さなければなりません。しかし,賃料が遅れたのは一度だけですし,すぐに支払える状況の場合,退去を求めるのは行き過ぎとも考えられます。

 そこで,解除を認めるほど重大ではないと判断される場合には,賃貸人と賃借人間の信頼関係は破壊されてないと考えて,解除は認められないよ,となるわけです。

 同じようなことは,用法遵守義務違反の場合でも問題となります。

 たとえば,借りたマンションがペット禁止だとしましょう。この場合に,借主がペットとして小さな水槽で金魚を飼ったとします。形式的にはペット禁止に触れてしまいます。しかし,この場合に,大家さんが解除できるとなると,行き過ぎではないでしょうか。

 この場合にも,解除を認めるほど重大ではないと判断される場合には,賃貸人と賃借人間の信頼関係は破壊されてないと考えて,解除は認められないよ,となるわけです。

 このように,賃貸借契約上の義務違反があっても,賃貸人と賃借人との個別具体的な事情を踏まえて信頼関係が破壊されているのかどうかで契約の解除を判断するのですね。それでは,一度だけ家賃の支払いを忘れていた場合で,借主の事が性格的に合わない,というようなケースはどうなるのでしょうか?・・とても気になりますね(笑)。

 

 

 

 

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