【ブログ】労働者性が問題となったケース(第1回)

2016-12-07

 こんにちは。東京都千代田区神田にある法律事務所、アトラス総合法律事務所の佐々木です。

 前回までは、法律上の 「労働者」 が、実際の裁判でどのような基準で判断されるのかを見てきました。前回までを踏まえると、「労働者」 かどうかは契約の名称や種類(雇用、委任、請負など)によって一律に決まるのではなく、あくまで使用従属性とその他の補強要素をケースによって具体的に見てみて決まるようですね。

 それでは、今回から実際に裁判において 「労働者性」 が問題となったケースを見ていきたいと思います。

 ケース1 

事案

 ホステスのAさんが、とあるお店(B店とします。)との入店契約の下、働いていました。AさんはB店からお金を借りており、また、B店では、掛(いわゆるツケ)のお客さんの代金が回収できなかった場合には、担当ホステスがその代金をB店に支払うものとされていました。

 AさんがB店を辞めた後に、B店はAさんに対し、店への借金及びツケの未回収分を払うよう裁判を起こしました(裁判1)。

 一方で、Aさんは、B店がAさんに賃金を支払っていない部分があったとして、B店に対し未払賃金の支払いを求めて裁判を起こしました(裁判2)。

 ここで 「労働者性 」 が問題となったのは裁判2の方なので、裁判2の方に限定して説明します。

 今回、なぜ 「労働者性」 が問題となったかというと、B店ではホステスが遅刻や欠勤をした場合について大幅に減給されるという就業規則や、ノルマを達成できなかったときには大幅に減給されることになっていました(罰金制度)。

 もし、労働基準法上の「労働者」と認められれば、A子さんとB店の契約の間には労働基準法が適用されることになります。そして、労働基準法では、賃金の支払(24条)や制裁規定の制限(91条)が定められていて、これらに反する賃金の支払いは無効になると考えられています。

 A子さんとしては、自分が労働基準法9条の 「労働者」 であって、同法の適用があるんだ、そしてそれに反する罰金制度は無効なんだ。そして、違法無効な罰金制度によって控除された少ない賃金しかもらえていないから、Aさんはもっと多くの賃金がもらえたはずなんだ、だからその分も含めて払え、という流れになります。

 次回は、以上の事実関係において、裁判所がどのような判断を下したかを書いていきたいと思います。

 

 

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