【ブログ】婚姻から200目出生 其の壱

2015-11-20

 神田の弁護士が自由奔放につぶやくブログ

 ~ゲーム,アニメ,ラーメンが好きな弁護士が何でもいいから気ままに語る~

 皆さん,こんにちは,弁護士の清水です。

 この前,裁判所に行ったら,東京家庭裁判所前で,マスコミやらがいっぱい押し寄せ騒いでたんで,興味をもって調べてみると,某芸能人カップルの親子関係不存在確認訴訟の判決日だったんですね。

 最近,待婚期間や夫婦別姓などで家族法の話が続いているので,ついでにこの問題についても,論評しようと思います。

  1 親子関係の確定

  (1) 母子関係

 そもそも,親子について,母子関係は懐胎(妊娠)で決まります。

 要は妊娠して出産した女性が母親です。妊娠して出産までした以上,その女性と生まれた子の間には血縁関係があるんだから当然と思われます。しかし,最近では医療の進歩によって,代理出産ができるため,この原則も動揺しています。

 確か,某プロレスラーの妻が子供を産めず,アメリカで代理出産してもらったケースでは母親は代理出産した女性とされています(卵子を提供した女性ではない)

  (2) 父子関係

 父子関係については,母親以上に確定するのが難しいです。

 もちろん,生物学的な意味で,子に父親がいないなんてことはあり得ないし,DNA鑑定でもすれば,ほぼ正確に確定できるんですが,女性が関係を持ったであろう男性全員を調べるなんてことはおよそできないんですよね。

 そこで,民法772条では,婚姻中に懐胎した子は夫の子と推定するとし,婚姻中に妻が懐胎したら,その妻と婚姻関係にある夫が父親となります。そして,婚姻成立の日から200日を経過した後に生まれた子や離婚から300日以内に生まれた子は婚姻中に懐胎したという扱いにしています。

 婚姻関係がない場合には,認知によって父子関係を決めることができます(認知は子から父親に対しても請求できる。所謂,強制認知)

 2 本件について

  (1) 聞くところによると,本件では,子が生まれたのが婚姻から200日目ということで,「200日経過」していませんから,民法772条の適用はございませんね。

 しかし,嫡出子とは法律上の婚姻関係にある男女から生まれた子を言いますので,

 民法772条の適用がなくても,子は嫡出子ではあります。

  (2) 戸籍の現実として,婚姻関係にある夫婦に子が生まれたといって届出した場合,その子が婚姻中に懐胎したか否かをチェックすることはしておらず(というより事実上できない),法律上の夫婦が自分の子として届ければ,その子は戸籍上はその父親の嫡出子になります(本件では,大沢さんの子になる)。

 夫が,父子関係を否定したい場合には,民法772条の推定が働く場合には嫡出否認の訴え,そうでなければ親子関係不存在の確認の訴えがあり,本件では1日差で後者になるという稀有な事例です。

 もし,1日後に生まれていたら嫡出否認の訴えということになり,子の出生を知ってから1年という期間制限も問題になるところでした。

 近時の判例では,嫡出否認の訴えが期間制限にかかると,親子関係不存在確認はできないということになっています。

 (3) 結論として,DNA鑑定でほぼ100パーセント大澤さんの子ではないとなった以上,親子関係はないと判断し,大沢さんの請求は認容されたようですが,本件についての問題の本質については,次回以降掘り下げて検討しますね。

 

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