【ブログ】再婚禁止期間 最高裁が待った!

2015-11-05

神田の弁護士が自由奔放につぶやくブログ

~ゲーム,アニメ,ラーメンが好きな弁護士が何でもいいから気ままに語る~

 皆さん。こんにちは、弁護士の清水です。近々に,最高裁が,女性の待婚期間(再婚禁止期間)の合憲性について,弁論を開き,憲法判断を行うようです。

 民法733条の合憲性については,僕が受験時代から著名な争点でしたけど,ここへきて,どのような判決が出るか予想してみたいと思います。

 1 民法733条と民法772条の関係

  (1) 民法733条(再婚禁止期間)

    ① 女は、前婚の解消又は取消しの日から六箇月を経過した後でなければ、再婚をすることができない。

    ② 女が前婚の解消又は取消の前から懐胎していた場合には、その出産の日から、前項の規定を適用しない。

 ここでは①が問題で,要は,女性は離婚すると,離婚した後から6か月の間は再婚できないということです。なお,僕ら男性にはこのような規定はございません。

  (2) 民法772条(嫡出の推定)

    ① 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。

    ② 婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。

 民法では,法律上の婚姻関係にある父母から生まれた子と,そうでない子をそれぞれ嫡出子と非嫡出子に分けており,法律婚主義の下で区別しています。

 そして,妻が婚姻期間中に懐胎したら,それは夫の子として推定することを原則として,さらに婚姻成立の日から200日経過後に生まれた子と離婚後300日以内に生まれた子を婚姻中に懐胎した子として扱っています。夫婦は貞操義務を負っており,性行為は夫婦間でしか行われないという前提で言えば,婚姻中に妻が妊娠したら,そりゃ夫の子だろうと思うのは当然です。

 また,婚姻成立から200日経過後に生まれた場合には生理学的に婚姻中に懐胎したものとみていいこと,離婚したとしても離婚後300日以内に生まれた子については,離婚前の夫との間の性行為によって妊娠したものと考えるのは合理的だという点から,婚姻成立から200日後に生まれた子と離婚から300日以内に生まれた子は,婚姻中に懐胎した子として,嫡出子の扱いを受けることが原則になっています。

 2 待婚期間がなければどうなるのか?  

 例えば,女性が夫と離婚し,待婚期間を無視して,離婚から60日(約2か月)経って,新しい夫と再婚したとします。さらに,再婚から210日(約7か月)経って,子が生まれたという場合,その子は 離婚後300日以内に生まれているという点では,前の夫の嫡出子という扱いになりますが,婚姻成立後200日経過後に生まれているという点では現在の夫の嫡出子ということになります。

 嫡出の推定が重複するわけでして,これを避けるために,待婚期間が必要だというように考えられてきました。

 しかし,単純に考えると,このような重複を避けるためには100日待たせれば足りるので,180日も待たされる必要はないことは強く言われてきたところです(計算上は100日待てば,再婚後200日経過した後は,再婚後の夫の子,それ以前ならば離婚前の夫の子と明確に峻別できる)。

 また,そもそも,極端な話,DNA鑑定等で,誰の子かは確定できるので,待婚期間そのものが時代にそぐわず,合理性がないのではないかと言われてきました。

 3 私見

 率直に言うと,民法733条は違憲でしょう。180日も再婚を禁止する必要がないのは,民法772条から明白であり,100日待たせれば,嫡出推定の重複は避けられるのですから,民法733条は女性の婚姻の自由を過剰に制約しており,憲法13条の幸福追求権(婚姻の自由)に反し違憲となります。

 また,女性だけにこのような規制をしているという点で,憲法14条の法の下の平等や26条の両性の平等に反している点も考えられますが,これは待婚期間の違憲性をどう説明するかにもよるでしょう(後述のように,待婚期間自体に合理性を見出すなら,女性にのみ再婚禁止の制限を加えること自体は合理的な差別になりうるので,平等原側には反しないとも判断できる)

 4 最高裁判所の判断のポイント

 最高裁も年内に憲法判断するようですが,実務や学説の動向に鑑み,違憲判断は必至と思われます。

 本当の争点は,違憲の結論は当然としても,待婚期間が長すぎるから違憲とするのか,待婚期間そのものに合理性がなく,違憲とするのかという点でしょう。

 前者なら,待婚期間を100日と修正すればよいことになりますが,後者なら民法733条を削除しなければならないし,民法772条を前提とすると,嫡出推定が重複した場合,誰が父親になるのかわからなくなってしまいますので,何らかの対応が求められます。

 (民法772条の嫡出推定そのものも改廃するのか,嫡出推定が重複したらDNA鑑定を義務付けるとか)

 最高裁の結論のみならず,その理由づけが重要であること,違憲判決が出た後に,国会がどのような対応をするのかが注目ですね(*´▽`*)。

 

ページの上部へ戻る

Copyright(c) 2015 アトラス総合法律事務所 All Rights Reserved.