【ブログ】成年後見制度

2020-05-21

こんにちは。東京都千代田区神田にあるアトラス総合法律事務所の原澤です。
今回は、「成年後見制度」について説明していきます。

「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」は一定の範囲の者(本人、配偶者等)の請求により、家庭裁判所で後見開始の審判を受けることができます。(民法7条)そして、後見開始の審判を受けた者は成年被後見人となります。(8条)事理弁識能力を欠く常況にある者とは、具体的には、強度の精神障害者等を指し、意思能力さえない者ということになります。
意思能力がない場合、契約は当然に無効となるはず(3条)です。もっとも、この証明は無効を求める側がしなければならず、それは必ずしも容易ではありません。証明ができなかった場合、その効果を主張することはできないため、結果として制限行為能力者を保護することができません。そこで、この制度が大きな意味を持ちます。後見開始の審判がなされると、専用の登記ファイルに記録されるため、その証明は比較的に容易になります。そのため、理論上は制限行為能力者保護ができるということになります。

成年被後見人は「制限」行為能力者である以上、日常生活に何らかの制限がなされています。成年被後見人には、成年後見人が選任され、後見人が被後見人の財産を管理し、かつ財産上の法律行為を代表します(859条1項)。そして、成年被後見人がした行為は一部の例外を除いて取り消すことができます。(9条本文)
この例外に当たるのが、「日用品の購入その他日常生活に関する行為」(9条但書)です。被後見人の自己決定権を尊重する趣旨の現れであって、日常生活上必要な行為であれば単独で有効な契約を締結することができます。
また、結婚(738条)、離婚(764条)、遺言(962条)等の身分行為も例外の一つに当たります。これも本人の意思を尊重する趣旨だといわれています。
つまり、本人の意思の尊重の要請が特に強いものとされる一定の例外を除いて、成年被後見人は行為能力が制限されているということになります。

成年被後見人が単独でした行為は一部を除き取り消すことができます。では、完全に単独で行ったといえない場合はどうなるのでしょうか?
例えば、事前に後見人から同意が与えられていた場合について考えてみます。この場合、後見人が同意している以上有効に契約を成立させてもいいように感じます。しかし、一般にそのようには考えられていません。前述のように成年被後見人は意思能力を欠いている以上、やはり同意があっても有効な契約を締結することはできません。仮に同意があったとしても、事理弁識能力を欠く常況にある人が同意した通りの契約を結んでくる可能性は高くありません。そうだとすると、同意したところで、おかしな契約が結ばれる可能性が高い以上、被後見人保護のためには有効とすべきではないということになります。
では、事後的な追認があった場合はどうでしょうか。成年被後見人が締結してしまった本来は取り消されうる契約であっても、後見人の追認があれば有効なものとなります。代理権を有する後見人が認めたのであればいいということですね。また、この追認は本人、つまり被後見人であってもすることができます。しかし、この場合は能力を回復し、取消権を有することを知った後でなければなりません。(124条1項)被後見人が能力を回復しないうちに追認しても、被後見人保護の観点からは意味がないことは当然ですから、これは当たり前のことかもしれないですね。

今回は成年後見制度について説明してきました。次回は、「保佐制度」について説明していきます。

 

 

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