【コラム】「請負契約」

2021-07-30

 こんにちは。東京都千代田区神田にあるアトラス総合法律事務所の原澤です。今回は「請負契約」について説明していきます。この契約は、名前自体は聞いたことがなくてもみなさんも日常生活の中でそれなりに行っている契約だと思います。では、この契約について説明していきます。

 

 

 

 請負契約とは、「当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約する」契約です。(632条)前回説明した雇用契約と雰囲気が似ていますよね。似ているもの同士を理解するにはその異同を理解することが大切です。そのため、ここでは、雇用契約と請負契約の異同についてふれてみます。

 

 

まず、類似点から。

 これは、役務提供型といって何らかの行為をすることが契約内容になっていることです。雰囲気が似ていると感じたのはこの点が原因だと思います。

 

 

 次に相違点です。これはいくつかあるのでそのうちの一部のみ説明します。

 1つ目は、条文をよく見るとわかることなのですが、請負は仕事を完成させることが契約目的となっています。つまり、請負は仕事が完成しないと報酬をもらうことができないということになります。他方で、雇用契約の場合は、労務の提供さえ行っていれば何か成果を出すことができなかった場合でも報酬をもらうことができます。

 

 2つ目は、契約当事者の関係性です。みなさんも何となくそんなイメージはあると思いますが、雇用契約について被用者は雇用者に対して従属的な地位にあります。他方で、請負契約の場合には、請負人は注文者から独立して仕事を行うことができます。

 

 

 

 ここからは請負契約と報酬の話をします。上でも少しふれましたが、請負契約では仕事が完成しなくては報酬を受け取ることができません。(633条参照)しかし、これを貫くと例えば家を完成させるという仕事が99%のところまで完成していたのにも関わらず、それがあと少しのところで壊れてしまった場合、報酬は全くもらえないということになってしまいます。さすがにこれは請負人がかわいそうですよね。

 

そこで、仕事の結果が可分なものであり、その部分で注文者が利益を受ける場合にはその割合分の報酬を請求することができます。(634条)家を建てる場合に一部で注文者が利益を受けるかはわかりませんが、もし、例えば50%出来上がった時点で上記の要件を満たすのであれば、50%の部分について報酬を請求することができます。

 

 

 

 具体的事例を見てみましょう。大学生のA君は就職活動に備えて自分のスーツをクリーニングに出すことにしました。このクリーニングの契約も請負契約にあたります。お店側はスーツをきれいにするという仕事の完成を、A君はそれに対してお金を払うことになります。

 クリーニングの場合は、服を預ける時点でお金を払い、後ほど引き取るだけという場合も多いと思います。これは今まで説明した仕事の完成がないと報酬がもらえないということと矛盾してますよね。しかし、報酬の前払いを当事者間で特約しておけば、報酬を先に受け取ることができます。一般的にはこの特約が結ばれていることが多いと思います。

    

  

 今回は以上になります。次回は「委任契約」について説明します。

  

  

 

 

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