【コラム】「賃貸借契約」②

2021-07-13

こんにちは。東京都千代田区神田にあるアトラス総合法律事務所の原澤です。今回は前回に引き続き「賃貸借契約」について説明していこうと思います。前回が賃貸借契約の始まりについて扱ったため、今回はその継続中~終了の部分について扱おうと思います。

 

 

 

まずは、賃貸借契約の継続中の話をします。賃貸借契約は諾成契約ですので、当事者の合意によって契約が成立します。そして、契約の効果として、両当事者には様々な権利義務関係が生じることになります。

 

 

賃貸人(貸した側)には、ざっくりと言うと、その目的物を使わせる義務が発生します。代表的なところでは、「使用収益させる義務」や「修繕義務」なんかがあります。「使用収益させる義務」は使用貸借のところで出てきた貸主の「貸す債務」と似ていますが、賃貸借契約の場合には、「借主が使用収益できる状態に置く」積極的な義務が発生します。

 

また、修繕義務とは、「目的物の使用収益に必要な修繕を負う義務」のことを言います。これは、「使用収益させる義務」の一態様ですが、606条1項本文に規定されているものになります。

例えば、借りていた家が台風によって水漏れが発生してしまった場合、このままではその家に住むことはできませんよね。そこで、賃貸人はこの状態を修繕する義務を負うことになります。具体的には、業者等に頼んで水漏れを修繕するといった感じでしょうか。

 

 

他方、賃借人(借りた側)にも様々な義務が発生します。

 

まずは賃料の支払い義務です。民法上は後払いが原則(614条)となっていますが、実際には当事者間の契約で前払いとなっている場合が多いようです。

例えば、令和2年9月分の賃料を支払う場合、後払いの場合は9月の末日に、前払いの場合は8月の末日に賃料を支払うことになるのが一般的かと思います。

 

また、用法遵守義務というものも発生します。これは、使用貸借のところでも出てきましたが、「変な使い方はしないでよ」といった感じのものです。例えば、増改築禁止やペット飼育禁止なんて決まりがあった場合に、これに反すると用法遵守義務違反に当たり得ます。

 

あとは、契約が終了したら目的物を返還する義務なんかも発生します。このほかにもたくさん義務が発生しますが、この辺にしておきましょうか。

 

 

 

では、ここからは賃貸借契約の終了について説明します。ここも借地借家法が適用されると話が変わってくるため、適用がないという前提でお願いします。

 

 

まずは、賃貸借契約に期間が定められていた場合、更新がなされなければ、その期間満了によって終了します。

例えば、令和2年10月末日までという内容で賃貸借契約を締結した場合、令和2年の10月末日でこの賃貸借契約は終了します。

 

また、期間の定めがない場合には、各当事者はいつでも解約の申し入れをすることができます。(617条1項)もっとも、実際に契約が終了するのはその賃貸借契約の内容によって一定の期間が経過したときになります。(同項各号参照)

 

 

ここまでは期間がらみの終了事由ですがここからは少し違います。

 

 

まずは、目的物が全部滅失した場合には当然に賃貸借契約が終了します。(616条の2)

例えば、火事や災害で借りていた家が壊れてしまった場合などが当たります。賃貸借契約は目的物を使用収益することを契約の内容とするため、それができなくなった以上契約を存続させる必要はないと考えられたようです。

 

また、一方当事者の債務不履行による解除もあります。例えば、賃借人が賃料を払ってくれない場合なんかがこれにあたります。貸している側としては賃料を払ってくれない人に貸していてもしょうがないので、契約を解除して新しい人に貸したりしたいですよね。こういった場合に貸している側から契約を解除することができます。

 

ここまでの説明を聞いて、「例えば賃料の支払いが1日遅れただけでも解除されちゃったら困る」と思った方もいるのではないですか?

これに関しては心配する必要はありません。詳しい説明は省きますが、「信頼関係破壊の法理」というものがあり、当事者間の信頼関係が破壊されていると言えないような場合には、契約の解除を認めないとされています。もっとも、これは絶対に解除されないというわけではないため、1年も2年も賃料を払っていなかったらもう信頼関係は破壊されていると認定されることは十分にあると思います。

 

 

今回は以上になります。次回は「雇用契約」について説明します。

  

  

 

 

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