【ブログ】遺言書の撤回 1
~東京 千代田区 神田の弁護士新谷朋弘より~
皆様こんにちは,アトラス総合法律事務所代表弁護士のあらやです。今,世間で注目の話題を取り上げ,ブログでつづりたいと思います。
さて,今回は「遺言書の撤回」について触れてみたいと思います。
遺言書を作成するにあたって,遺言者は残された親族のことを十分に考えた上で,内容を練られていることかと思います。その後,遺言書を作成してから月日が経てば,遺言者の置かれている状況に変化が生じ,それにあわせて遺言書の内容を見直したり,改めたりする状況が訪れるかもしれません。その場合に,新たに遺言書を作成することになるかと思いますが,以前に作成された遺言書の効果はどうなってしまうのでしょうか。
この点について,遺言書は法律上,遺言の方式に従い,いつでも遺言の全部又は一部を撤回することが出来ると定められています(民法1022条)。
これを簡単に言い換えると,新しい遺言書の中に,「以前に作成された遺言を撤回する。」という内容の文言を入れることで,以前の遺言書が破棄されることになり,古い遺言書は撤回されることになります。
遺言書の方式については,以前のコラムで触れた様に,自筆証書遺言や公正証書遺言などの方式がありますが,遺言を撤回する場合には,破棄したい遺言書の方式に揃える必要はありません。例えば,最初に公正証書遺言で作成しても,自筆証書遺言で新たに遺言書を作成して撤回することが可能です。
遺言を撤回する場合,遺言の内容を全部撤回する場合はもちろんのこと,遺言の内容の一部を撤回する場合には,明確且つ一義的に分かるように,撤回する部分を指摘することがとても重要となります。
次回のコラムでは,遺言書に撤回の記載が無い場合にも撤回の効果が生じるケースについて触れたいと思います。