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コラム

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作成日:2018.06.18 最終更新日:2023.03.06

もしも裁判所から書面が届いたら?

今回は、「もしも裁判所から書面が届いたら」という内容で書いてみます。
難しい法律論にはあまり立ち入らず、簡単に説明していきますね。
 
みなさんは、裁判所から何か書面が届いたことがありますか。
あまりないかもしれませんが、もし自分のところに届いたらという想像もしながら読んでいただければ幸いです。
 
では、裁判所から書面が届く場合には、どのような場合があるのでしょうか。以下では数種類の書面をピックアップして説明していこうと思います。

訴訟提起

例えば、誰かから訴えられたときはどうでしょう。
具体的な例を挙げると、Aさんは、友人のBさんから、1年後に返すという約束で200万円を借りました。
Bさんは1年後にAさんがちゃんと返してくれるのか心配だったので、Aさんに200万円を貸す際に、Aさんの弟のCさんにAさんの連帯保証人になってもらっていました。
1年後、BさんがAさんに200万円を返すように何度求めてもAさんは全く返そうとしません。
そこで、困ったBさんは弁護士に相談し、連帯保証人のCさんを被告として裁判所に訴えました
(訴える人を「原告」、原告から訴えられる人を「被告」といいます。)、という設定で考えてみましょう。
さて、この後、被告のCさんには、裁判所からどのような書面がどのような方法で届くのでしょうか。
 
Bさん(及び弁護士)は、裁判所に訴える際、訴える内容(誰に何を請求するのか等)を記載した「訴状」という書面を、裁判所に提出します。このとき、裁判所分と相手方のCさん分の計2通を提出します。

そして、この訴状を受け取った裁判所は、裁判所分は保管し、Cさん分を「特別送達」という厳格な方法でCさんに郵送します。この書面は、基本的に裁判所の茶封筒に入っていて、「〇〇裁判所」や「特別送達」という文字が入っています。そして、郵便局の人が、原則として本人(Cさん)に手渡しで渡してサインをもらいます。渡し間違いがあったら大変なことになる書面ですから、書面の渡し方が民事訴訟法や郵便法という法律で厳格に決まっているのです。ということはみなさん、裁判所から請求はがきやEメールで書面が届くことはありませんし、ましてやラインで届くなんてこともありません。このような方法で裁判所(を語った誰か)から書面が届いたら、間違いなく「詐欺」です。警察に言いつけて、やっつけてもらいましょう。

さて、Cさんに届いた裁判所からの書類の中には、Bさん(及び弁護士)が作成した訴状とともに、裁判の初回の日程が書かれた書類や反論を書くことができる書類が入っています。Cさんは、中身を確認してBさんから訴えられたことを知り、自分ひとりで対応する自信がなければ、弁護士に対応を依頼することになる、というのが一般的な流れになると思います。

なお、訴えの被告となった場合には訴状が届きますが、調停などの相手方となった場合には、訴状ではなく「申立書」が届けられることになります。

訴訟告知

裁判所から届く書面は、訴状に限られません。ここでは、時には「訴訟告知」という手続きに関する書面が届くこともあるでしょう。

訴訟告知書とは、簡単に説明すると、「現在、あなたに関係する裁判が裁判所で行われていますよ。」ということをお知らせする書面です。訴状と何が違うのかというと、訴状は、被告(原告から訴えられる人)に対して送られてきます。しかし、訴訟告知書は、もうすでに原告(訴える人)と被告との間で訴訟が始まっているときに、この訴訟に関係のある人に対して送られてきます。分かりにくいですよね、先程の例で説明します。

先程の具体例では、BさんがCさんを相手として訴訟を提起しているので、原告はBさん、被告はCさんです。AさんはBさんから訴えられていないため被告でもないですし、もちろん原告でもありません。訴訟に全くかかわっていません。

こんなとき、Cさんは、訴訟告知という制度を利用して、Aさんに対して訴訟告知書を送ることが考えられるのです。訴訟告知書は、訴状のときと同じように、裁判所に提出して、裁判所が特別送達でAさんに送ることになります(民事訴訟法53条3項、民事訴訟規則22条を参照)。

ここで、少し本題とはずれますが、訴訟告知制度について説明していこうと思います。

訴訟告知とは、係属中の訴訟について利害関係を有し、当該訴訟に参加しうる第三者に対して訴訟の係属を告知することを言います。(民事訴訟法53条1項)

告知を受けた第三者としては、その訴訟に参加しなければいけないわけではありません。つまり、訴訟告知の制度に、第三者を強制的に訴訟に巻き込むまでの力はないということです。

それでは、訴訟告知は何のために行われるのでしょうか。

参加する方か参加される方かによってその機能は異なりますが、訴訟告知を行う側としては、「参加的効力」を発生させることがその目的の一つとなります。

参加的効力とは、簡単に言うと、実際には参加していなくても、参加することができた時に訴訟に参加したものとして、Aさんにも補助参加人として裁判の効力を及ぼすものです。(民事訴訟法53条4項、46条)

例えば、この訴訟で主債務が存在するという判断がなされた場合、のちにCさんからAさんへ求償請求を行うときには主債務の存在が前提となる(=AB間の保証契約は存在しなかったという主張は認められない)ということになります。

証人尋問

ここからは、証人として裁判所に呼び出された場合について説明していこうと思います。

具体例としては、これまでの例を用いると、Aさんに対して訴訟告知をするのではなく、証人として発言してもらうことにしたという場合を想定してください。このときのAさんの対応について説明します。

一般的には、証人は事前に当事者との打ち合わせがあると思いますので、裁判所からの呼出状で自分が証人として呼ばれていることを知ることはないと思います。

しかし、事前の打ち合わせができない証人が申請された場合には、裁判所から呼出状が届きます。

呼出状が届いた場合、正当な理由なく尋問期日への出頭を拒絶することは原則としてできません。10万円以下の過料に処せられたり(民事訴訟法192条1項)、勾引される(民事訴訟法194条1項)場合があります。

したがって、Aさんとしては、正当な理由がない限り証人尋問期日に出頭することになります。証人尋問手続の流れ等は機会を改めて説明したいと思います。

一部ではありますが、裁判所から届く書面について説明しました。基本的には無視すると不利益になる場合が多いと思われますので、もし、裁判所から何か書面が届いたら弁護士へ相談することをお勧めします。

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