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【コラム】未成年について

2021-04-19

こんにちは、東京神田にあるアトラス総合法律事務所の加藤です。

 

今回は未成年者が一人でできる(法律)行為についてお話をしたいと思います。

 

 まず「未成年者」とは、年齢が20に満たない者のことを言います。これは皆さんご存知の通りかと思いますが、民法の第4条で規定されています。

 

 この未成年者が法律行為をするには原則その法定代理人の同意が要ります(民法第5条1項本文)。法定代理人は、親がいる場合にはその親がなる場合がほとんどで、親がいない場合には未成年後見人を付けられます。そして、未成年者が勝手に単独でした法律行為は取り消すことが出来ます(同条2項)。

 ではお小遣いを使って飴とかジュースも買えないの?という疑問があるかもしれませんが、ここで例外があります。

 それは、法定代理人が目的を定めた、もしくは定めないで処分を許した財産は未成年者は自由に処分できるということです(民法第5条3項)。つまり、「これで飲み物でも買ってきなさい」や「自由に使っていいよ」言われたとき、そのお小遣いは自由に使えるということです。

 他の例外としては、特定の営業を許された未成年者はその営業に関して成年者と同一の行為能力を有するとされています(民法第6条1項)。また、単に権利を得たり、義務を免れたりする法律行為(未成年者に不利にならないような法律行為)は単独でできます(民法第5条1項但書)。

 

 おおまかに未成年者が一人で出来ることは分かっていただけたでしょうか。

 

ちなみに年齢に関連して、「うるう日に生まれた人は年を取らないの?」「なぜ4月1日生まれの人は前の学年なの?」という疑問があります。

これには今までお話してきた民法と、年齢計算ニ関スル法律という法律が関係してきます。これらの法律では、人は誕生日の前日が終わる瞬間に歳をとるとされています。つまり、うるう日生まれの人は2月28日、4月1日生まれの人は3月31日、が終わる瞬間に歳をとっています。だから、うるう日生まれの人も歳をとるし、4月1日生まれの人は前の学年なんですよね。

 

もし未成年者に関して、またそうでなくともなにか法的なお困りごとがございましたら、お気軽にアトラス総合法律事務所にご相談ください。             

                               以上

   

   

 

【コラム】補助制度について

2021-04-14

こんにちは、東京神田にあるアトラス総合法律事務所の加藤です。

 

今回、補助人制度のお話を少しさせていただければと思います。

 

これまで、後見、保佐制度の概観を紹介させていただきました。

それらは独りで法律行為をすることに不安がある人に手伝い人を付け、それらの人々の保護を図り、適切な法律行為を促す制度でした。

 

もっとも、この点補助制度も異なりませんが、被補助人は「事理弁識能力が不十分」である人がなることが出来ます。つまり、後見人や保佐人を付ける程ではないが、たまに、もしくは少しだけ、独りで法律行為をするのに不安がある人が被補助人となります。

 

 この点、被補助人となるような人は被後見人や被保佐人ほど判断能力がないわけではないので、補助の審判は本人の同意がなければできません(民法第15条2項)。本人が嫌がっているのにある日「今日から私があなたの補助人です!」なんてことはできません。

 

 そして、補助の審判(裁判所で補助人を付けるかどうか決めること)では、被補助人が単独で出来ないことを決めます。例えば、土地などの不動産を売買するとき及びお金を借りるときは補助人の同意が必要ですよ、などと決めるわけです。

 よって、被補助人はこの審判の際に決められていない事項については基本的に単独でなし得ます。また、これらの事項は保佐で同意を要する事項の中から任意に決めることが出来ます。ここが後見や保佐と少し異なります。

 

また、補助も保佐制度と同様に、補助人が被補助人の利益を害さないのにも関わらず同意をしないときは、裁判所が代わって許可を出すことが出来ます(民法第17条3項)。また、同意が必要な行為を被補助人が勝手に単独で行ってしまったとき、取り消しが可能なのも後見や保佐の制度と同様です(民法第17条4項)。

 

 ちなみに、後見や保佐の審判を受けられる人(事理弁識能力が欠けていたり、著しく不十分な人)は補助の審判を受けられません。そのような事由がある者についてはより強い保護が必要であり、後見や保佐の制度によるべきだからです。

 

これで後見、保佐、補助の制度の概観の紹介が終わりました。なんとなくでもこれらの制度の違いが分かっていただけたらと思います。                

                                    以上

   

   

【コラム】保佐制度について 

2021-04-01

こんにちは、東京神田にあるアトラス総合法律事務所の加藤です。

 

今回、制限行為能力者制度の一つである保佐制度についてお話しさせていただければと思います。

 

 この世の中には大人(成年)であっても、認知症や精神障害などを持っているがために自分一人では法律行為(契約や贈与等)を行うのに不安がある人がいます。にも関わらず、その人たちを放置しておけば、その人にとって不利な条件で契約や贈与をさせられてしまう恐れが生じます。そこで、適正な法律行為の形成を目指すため創設されたのが後見、保佐、補助制度です。

 

 法律行為をするのに不安がある人(被保佐人)にそれを手伝う人(保佐人)を置くという点では、前回お話しした後見制度と異なりません。では、何が異なるのか。それは判断能力の程度です。法律上、保佐開始の審判を受けるのは「事理弁識能力が著しく不十分である者」とされています。「事理弁識能力」とは、自分のした行為の結果が法的にどのようなものかを認識できる程度の能力です。つまり、後見人を付ける程ではないけれど法律行為をするのにとても不安がある人が保佐を受けられます。

 

では、保佐を受けた人(被保佐人)は何が制限されるのでしょうか。

この点、被保佐人は被後見人と異なり、原則保佐人の同意なくとも法律行為をなし得ます。もっとも、何でもできるとなると保佐制度の意味がなくなってしまうので、もちろん例外があります。例外として、被保佐人がお金を借りたり、不動産などの大きな買い物をするには保佐人の同意が必要です。

この同意が必要な行為は民法第13条1項に列挙されており、保佐人が被保佐人の利益を害さないのにもかかわらず同意しないときは裁判所が被保佐人の請求により保佐人に代わって許可を出すことも出来ます(民法第13条2項)。

そして、被保佐人が同意が必要な行為を勝手にしてしまった場合、取り消すことが出来ます(民法第13条3項)。なので、被保佐人が散歩がてら5000万円のマンションを購入してきた、なんてとき保佐人はその契約を取り消すことが出来るんです。

 

 どうでしょうか、後見制度との違いは分かったでしょうか。原則と例外が入れ替わっている点がポイントかもしれません。

 例えば今回のような保佐の申立、その他法的なお困りごとがございましたら、お気軽にアトラス総合法律事務所にご相談ください。                 

                         以上

  

  

【コラム】成年後見制度について

2021-03-30

こんにちは、東京の神田にあるアトラス総合法律事務所の加藤です。

 

今回は成年後見制度について少しお話ししたいと思います。

 

まず「後見人」とは、社会で生きていく上で必要となる法律行為をするのに不安のある人(認知症や生まれつき知的障害を持つ人)を手助けする人です。

後ろから見守る人、と考えるとイメージしやすいですよね。でも実際には見守るというより、裁判所の審判を受けて決められた後見人が主に法律行為をします。そして、この手助けされる側の人を「被後見人」と呼びます。未成年には多くの場合、もともと親などの法定代理人がついていますから、成年の人に後見人をつけて保護する制度が「成年後見制度」なんですね(民法第7,8条)。

 

この成年被後見人について、原則有効に法律行為をするには後見人の同意が必要となります。にもかかわらず、被後見人が勝手に法律行為をしてしまった場合、取り消すことが出来ます(民法第9条)。

 

では、成年被後見人はいかなる法律行為もできないのでしょうか。例えば、知的障害を持った方は(有効に)大好物のどら焼きを買えないし、好きな人と結婚できない(取消せてしまう)のでしょうか。

この点、例外として被成年後見人でも「日常生活に関する行為」については単独ですることが出来ます(民法第9条但書)。また、身分行為などをする際には、被成年後見人の行為制限についての規定は適用されないことになっています。なぜなら、これらの行為は本人の意思を尊重するべき事柄だからです。よって、どら焼きも買えるし、結婚も出来るんです(まぁ、もちろん相手方の同意は必要ですが。)。

 

  成年後見制度について、ざっくり紹介させていただきました。次回は保佐制度のお話を軽くさせていただけたらと思います。

後見人等の制限行為に関して、また、それ以外でも法的なお困りごとがございましたら、お気軽にアトラス総合法律事務所にご相談ください。

 

 

                                     以上

  

  

【コラム】制限行為能力者制度

2021-03-10

制限行為能力者制度について

 

こんにちは。はじめまして、東京の神田にあるアトラス総合法律事務所の加藤です。

 

はじめましてなので軽く自己紹介をさせていただきたいと思います。

 

自分は今大学の四年に在籍していて法学部です、この4月から都内のロースクールに通う予定です。

中学の頃からテニスをしていて、ディズニーが大好きです。今は入園制限があり、この時期を乗り越えて行けることを楽しみにしています。すごく猫派です。

 

さて今回、制限行為能力者制度についてお話ししたいと思います。

長くて堅苦しい名前の制度ですが、できるだけ分かりやすくお話ししようと思いますのでどうぞ最後までおつきあいください。

 

皆さんは普段、何気なくコンビニでジュースを買ったり、観光でホテルに泊まったりしていますよね。

 

でもそれって誰もができることなんでしょうか。

実はこれには、法律上の「行為能力」が関係してきます。

 

 まずこの「行為能力」とは、法律行為を単独でなすことのできる能力ないしは地位をいいます。

ですので、この「行為能力」がない、例えば小学生のような未成年の子供や重度の認知症の方はできる法律行為に制限がうまれてきます。

 このように行為能力に制限がある人のことを法律上「制限行為能力者」と呼びます。

そして、そのような制限行為能力者は一般に世の中を生きづらい立場にあります。なのでその人たちの法律行為を手伝う別の特定の人を定めましょう、というのが制限行為能力者制度です。

 

そして、基本的に制限行為能力者がした法律行為は取り消すことができます(民法5条2項、9条等)。子供や認知症の方が散歩、徘徊帰りに何千万もする土地を買って来たら困りますよね。まぁそんなことはないとは思いますが、そんな時は取り消すことができます。

 

法律で定められている制限行為能力者制度は概ね以下のもので、概観をご紹介します。

 

  • 未成年者

皆さんもご存じの通り、日本の法律上人は年齢20歳をもって成人とされます(民法第4条)。よって、20歳未満の人は未成年者です。

この未成年者は原則契約などの法律行為をするには法定代理人の同意が必要です。では子供は親の同意がないと駄菓子も買えないのかと思われるかもしれませんが、原則には例外が付き物です。例外として、法定代理人が処分を許した財産は自由に処分ができる(自由に使える)ことになっています(民法第5条3項)。なのでお小遣いを貰った子供は駄菓子が買えます。

  • 成年後見人

では、自分の名前も分からない重度の認知症の方はどうなのか。ここで有用なのが後見人を定める手続きです。

後見人とは、上述した法律行為を手伝う人のことです。後見人は任意にも定めることができますが、裁判所による後見開始の審判を受けるのが一般的です。後見開始の審判を受けた人(上の例でいう認知症の方など)は被後見人といいます。

ではどのような人が被後見人になるのかについて、民法は「事理弁識能力を欠く状況にある者」としています。

「事理弁識能力」とは、自分のした行為の結果が法的にどのようなものかを認識できる程度の能力です。少しややこしいですが簡単な例でいえば、このジュースを買えば(売買契約)その代わりに代金を支払う義務(代金支払債務)を負うなぁ、などといったことです。

 

  • 保佐人、補助人

でも、さすがに自分の行為について法的にどうなるかわかりそう、でもそのまま放置しておくのは不安な人(例えば軽度の認知症等)はどうするのか。

このような場合のために上記の事理弁識能力の程度の差で段階的に法は各制度を設けています。具体的には、事理弁識能力が著しく不十分な人は保佐人を、不十分な人は補助人を置くことができます。

もっとも、申立全体の8割程度は後見制度であり、保佐、補助は未だ圧倒的に少ないといわれています。

〈意思能力について〉ここで、「意思能力」というものを聞いたことがある人は何が違うのか、と思うかもしれません。これに関しては、その能力の意義、程度は同じであると考えられています。もっとも、意思能力の無い者のした法律行為は無効であるとされているので、取り消さずともその者がした契約等は効力を生じないのです。また、意思能力の有無の判断も実質的です。つまり、能力の判断の要素や効果が異なるので完全に同一とは言えません。

 

どうでしょうか、なんとなく制限行為能力者制度が分かっていただけたでしょうか。

 

後見人等の制限行為に関して、また、それ以外でも法的なお困りごとがございましたら、お気軽にアトラス総合法律事務所にご相談ください。

 

                                    以上

【コラム】「交換契約」

2021-03-01

こんにちは。東京都千代田区神田にあるアトラス総合法律事務所の原澤です。これまでに引き続き典型契約について具体的事例を用いつつ説明していこうと思います。今回は、「交換契約」について扱います。

 

 

 

交換契約とは、「当事者が互いに金銭の所有権以外の財産権を移転することを約する」契約類型です。いわゆる物々交換ってやつですね。民法には、この契約について直接規定している条文が、586条の1つしかありません。前回の売買契約とは一方当事者が移転させるものが金銭なのか、それ以外の財産権なのかという違いがあります。しかし、逆に言えば差はそれだけであるため、基本的には売買契約の規定が準用され、売買契約と同じように扱えばいいということになります。

 

 

具体的事例をあげてみます。

 

大学生のA君は、友人のB君とクリスマスプレゼントをお互いに持ち寄って交換しようということになりました。A君は万年筆を、B君は服を準備して当日持っていくことにしました。そして、お互いが持ってきたプレゼントを交換しました。

この事例では、A君は万年筆、B君は服という金銭以外の財産権を移転することを約しているため、交換契約が成立していることになります。

 

 

 

 

交換契約についての説明は以上になりますが、最後に一つ余談にお付き合いください。

 

みなさんが日常的に行っている行為の中で、交換にあたりそうだけど、先ほどの定義からすると当たらないのではないかというものがあります。それは何でしょうか?

 

 

 

 

探してみればいろいろとあるかもしれませんが、ここでは僕が思いついたものをあげさせていただきます。

 

答えは両替です。

 

これは金銭同士の交換ですよね。つまり金銭の所有権以外の財産権を移転しているわけではありません。でも別に1000円札10枚を1万円で買っているわけではないですよね。いったいこれは交換契約なのでしょうか?もしくは無名契約にあたるのでしょうか?

 

これは僕もわかりません。みなさんはどうだと思いますか?ぜひ考えてみてください。

 

 

 

今回は以上になります。次回は、「消費貸借契約」について説明します。

  

  

 

【コラム】「売買契約」

2021-02-26

 こんにちは。東京都千代田区神田にあるアトラス総合法律事務所の原澤です。

今回は、「売買契約」について説明します。これは日常に最も密接な契約の一つと言えるのではないでしょうか。以下、具体的事例を示しながら説明していこうと思います。

 

 

 

 「売買契約」とは、売主が買主に財産権の移転を約束し、買主がこれに対して代金を支払うことを約束することによって成立する契約です。(民法555条)これは、当事者の意思表示の合致によって成立する諾成契約です。

 

 具体例をあげます。大学生のA君は、授業で使う教科書買うためにB書店に行き、C教授の「民法総則」という教科書を買いました。これは当然売買契約です。そして、なにも売買契約がなされるのは本屋だけではありません。コンビニで何かを買うことも当然売買契約ですし、ネット通販でもそれは変わりません。

 

 

 最初の本屋の事例に戻ります。この場合、みなさんはどの時点で売買契約が成立してると思いますか?

①本を手に取った時、②レジに本をもっていった時、③お金を払った時、④会計を済ませ書店から出た時、このうちどれだと思いますか?

 

 

 

 

③だと思った人が多いのではないでしょうか。僕も予備校の体験授業で同じような質問をされたときは③と答えました。ですが、正解は③ではありません。

 

売買契約とはどういった契約だったでしょうか。両当事者の意思表示の合致により成立する諾成契約でしたね。つまり、意思表示が合致した時点が契約の成立時点となります。上記の事例で、意思表示が合致した時点はいつでしょうか。これは、考え方にもよるかもしれませんが、一般的には、レジに商品を提示した時点だろうと思います。したがって、②の時点で売買契約が成立したと評価されることになります。

 

 

じゃあ、③は何なの?って思う方もいるかもしれません。僕も最初はそう思いました。

 

結論から言うと、買主が負った義務を履行しているということになります。もう少し詳しく説明します。

 

売買契約が締結されると、売主も買主もそれぞれある一定の義務を負うことになります。売主としては「財産権を移転する義務」を、買主としては「代金を支払う義務」を負うことになります。その他にも義務は発生しますが、今回は説明を省略します。

 

先ほどの本屋の事例で考えてみましょう。A君の相手方となる契約当事者はB書店という前提で話を進めます。売買契約が成立すると、売主たるB書店は本を引き渡さなければならず、買主たるA君は代金を支払わなければならないということになります。

 

この説明からもわかるように、③の時点ではすでに契約が成立し、成立した契約に基づく義務を履行している段階になります。

 

 

 

 

売買契約には、付随する様々な問題がありますが、(例えば、不良品を買ってしまった場合など)長くなってしまうため今回は説明を省略します。興味のある方は調べてみてください。

今回はこれで以上になります。次回は、「交換契約」について説明します。

   

  

 

【コラム】「贈与契約」

2021-02-17

 こんにちは。東京都千代田区神田にあるアトラス総合法律事務所の原澤です。

今回から前回紹介した典型契約をちょっと詳しく見ていこうと思います。今回は「贈与契約」について説明していきます。

 

 

 

 「贈与契約」は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思表示をし、相手方がこれを受諾することで成立する契約です。(民法549条)ざっくりと言えば、「これあげる」というやつですね。贈与契約は、当事者の合意のみで成立する諾成契約と言われる類型であり、言ってしまえば、口約束でも有効に成立し、贈与者は財産権移転義務を負います。

 

 もっとも、贈与契約は書面にしておかないと効力が弱いものになってしまいます。(550条参照)これは、書面を要求することで、権利関係を明確にして後日に紛争を防止するとともに、軽率な贈与の予防が目的と言われています。平たく言ってしまえば、あとで言った言わないの争いが起きないようにする、本当にあげていいのか贈与者によく考えてから行動させるということですね。

 

 

 贈与契約には「定期贈与」、「負担付贈与」、「死因贈与」といった種類のものがあります。「定期贈与」は一定期間ごとに財産を贈与する場合、「負担付贈与」はもらう側も一定の義務を負う場合、「死因贈与」はあげる側が死亡したときに効力が発生する場合です。

 

 

 

 具体的な事例で説明します。と言ってもこれはみなさんの日常にも結構近い契約類型なのではないでしょうか。

 

 大学に無事合格したA君は、おばあちゃんからお祝いとしてお金をもらいました。これもお金という財産を、おばあちゃんがA君にあげるという意思表示をし、A君がそれに同意しているので立派な贈与契約です。

 

 また、高校の卒業旅行に行ったA君は、家族に対してお土産としてお菓子を買ってきました。これもお菓子という財産を、A君がかぞくにあげるという意思表示をし、家族がそれに同意しているので贈与契約成立ということになります。

 

 

 ここで悩ましい問題があります。A君はバレンタインデーにBさんからチョコレートをもらいました。これも当然贈与契約が成立しています。しかし、バレンタインデーをもらったA君としては1か月後にお返しをすることになりますよね。

 ここで質問です。これは先ほど紹介した贈与契約の類型のどれかにあたりそうな気がしませんか??

 

 

 A君としては1か月後にBさんにお返しをあげるという義務を負う「負担付贈与」にあたるかもしれません。

 

 

 実際にはどうなるのかはわかりませんし、日常でいちいちこんなことを考えていたら、「変な人」と言われるかもしれません。しかし、ふとした時に自分が今やったことが法律上はどんな意味があるのかなんて考えてみると面白いかもしれませんね。

 

 

 

 今回は以上になります。次回は「売買契約」について扱います。

  

  

 

【コラム】民法上の契約類型「契約」

2021-02-10

 こんにちは。東京都千代田区神田にあるアトラス総合法律事務所の原澤です。

今回からは、民法上の契約類型について、事例を用いて説明していきたいと思います。

 

僕が現在大学生なので、大学生を主人公として、大学生の日常に関連付けた事例で説明していこうと思います。多少苦しいところも出てくると思いますが、お付き合いください笑

 

 

そもそもですが、「契約」って何でしょうか?

 

とりあえずは、「当事者の合意に基づく債権の発生原因」とでも認識していれば大丈夫です。つまり、当事者間の意思が一致していることが前提となり、片方の人の一方的な意思で契約が成立することは原則としてないと言えます。

「じゃあ、当事者の合意に基づかないで債権が発生することもあるのか?」って思った勘のいい方もいるかもしれません。もちろんその場合もありますが、今回はその点についての説明は省略させていただきます。

 

 

では、本題に入ります。といっても、今回は総論としてざっくりと説明をするにとどめ、次回以降契約類型ごとに説明をしていこうと思います。

 

 

みなさんは、「契約」と言われたら、何種類の契約を想起できるでしょうか?

例えば、日常に近いところとしては、「売買契約」なんてものがありますね。また、地方から都心部に出てきている人は家を借りている人が多いのではないでしょうか。これは「賃貸借契約」という類型にあたりそうです。

 

このように、私たちは日常生活の中で当たり前に契約を締結しているということがわかります。この「契約」には、上に挙げたもの以外にも様々なものがあります。民法典の「契約」の章には13の契約類型が規定されています。これらの契約を「典型契約」又は「有名契約」と呼びます。

次回以降のブログでは、この典型契約を中心に説明していこうと思います。ちなみに、典型契約は民法のみにあるわけではなく、商法などにもあるのですが、今回は民法上の典型契約を扱いますので、以降「典型契約」と出てきたら、民法上の典型契約を想起してください。

 

 典型契約とは、贈与、売買、交換、消費貸借、使用貸借、賃貸借、雇用、請負、委任、寄託、組合、終身定期金、和解の13類型になります。

 

 聞いたことがあるものもあれば、全く聞いたことのないものもあるのではないでしょうか。(終身定期金って何なんですかね…)

 

 典型契約は、この中でさらに分類することができます。今回は詳しい説明は省略しますが、一例だけ挙げておきます。例えば、売買と賃貸借を比べてみると、売買は目的物が自分のものになりますが、賃貸借は目的物を返さなければなりません。つまり、この二つの契約は別々の類型に分類されるということになります。

 

 

 しかし、世の中には、この類型に当てはまらない契約もたくさんあります。というか、「典型契約」は、無数に存在する契約類型のうち、典型的なものを挙げただけなので、そのどれにも当てはまらないやつがあるのは当然と言えるのかもしれません。このタイプの契約は「非典型契約」又は「無名契約」と呼ばれます。

 

 

 

 今回は以上になります。次回以降は個別の類型について説明をしていきます。まずは、「贈与契約」について扱います。

  

   

 

【コラム】続 民法改正

2015-05-25

続 民法改正について

 前回お話ししたこと以外にも,民法の重要な改正がありますので,引き続き検討してみたいと思います。

① 賃貸借

 賃貸借では,敷金の返還を巡って,よく問題になりますが,敷金を定義しました。 そこでは,どのような名義であろうと,賃料債務をはじめ,賃貸借に基づいて発生する債務を担保する目的で賃借人が賃貸人に交付する金銭と定義していますので,敷金以外の名目で交付される金銭は法律上敷金とされ,返還時期や返還額は民法で定められることになります。

 敷金以外では,保証金,権利金,礼金等が賃貸借契約でよく見られますが,これらも法律に従った形で返還義務を負う可能性が出てきます。

 また,判例で確立された自然損耗,経年変化による損傷は原状回復義務から除外することを明文化します。

 これらは,賃借人保護の観点から整備したものですが,改正によって,月々の賃料相場は上がるリスクも生じます。また,一応最高裁で決着済みの更新料の適法性については,今のところ,民法改正では触れていないようです。

② 保証

 昔は,保証は書面すら必要なく,合意だけで成立するとされていたところ,現民法では書面がなければ成立しないとされています。 しかし,書面を要件としても,軽々にサインしてしまったがために,多額の負債を負い事実上(連帯)保証債務だけで破産に至るケースが後を絶たたないため,公正証書で保証意思を確認できない限り,保証契約は成立しないとしました。

  保証意思を厳格に問うことで,安易な保証を防止する趣旨ですが,事業の借入のための保証に限定されています(住宅ローンの保証やプライベートな借入などは含まれない)。 また,会社が借入れを行う際に取締役が保証する場合や主債務者の事業に従事している配偶者が保証する場合など金融の必要性が高い場合には,現行法通り書面でよいとされました。

  なお,保証契約そのものと保証意思の確認は別ですから,保証契約そのものは公正証書で作成する必要はございません。 公証人の方々としては,新たなビジネスチャンス到来といったところでしょうね。

③ 法定利率

 法定利率は,民法では年利5%,商法では6%と設定されています。 しかし,これを,民法上は3%として,商事法定利率は廃止することとしました。 この低金利のご時世,利率が高すぎるとのことですが,これは実務上一番問題かもしれません。

 法定利率は,遅延損害金の基準にもなっており,訴状起案するときには,請求の趣旨には確実に記載しますので,改正を知らずに,「年5分(6分)の割合による金員の支払いを求める」とか書いて出すと,裁判所から補正を求められます。 しかも,3年ごとに見直す方向で検討されているらしく,金利について常に関心を持つ必要があります。

④ 瑕疵担保責任

1) 現民法では,大論点だった瑕疵担保責任。司法試験受験者なら当然に理解しておく必要があった重要論点です。

 周知のとおり,瑕疵担保責任の法的性格から問題になり,それと関連して瑕疵修補などの追完請求権の可否や損害賠償の範囲,時効等様々な論争がありましたが,このたびの改正で,判例,通説的理解だった法定責任説を放棄し,契約責任(債務不履行の特則)という理解のもと,条文に変更を加えています。

 隠れた瑕疵という法律用語はなくなり,隠れていようがいまいが,当該物の種類,品質,数量において契約の内容に適合しないときには,債務不履行責任が生じることを前提に,代替物の引き渡しや目的物の修補などの追完権を明文で認めています。

 また,解除や損害賠償請求権も認められることが法定されます。契約責任説の論理的帰結として,損害賠償の範囲は信頼利益のみならず履行利益まで及ぶということになるでしょう。

2) さらに,請負の瑕疵担保責任の規定はほぼ削除されるようです。

 現行法では,請負契約の担保責任は,要件や解除,時効などの点で特有の規定がありましたが,基本的には売買の規定で対処するようです。 すなわち,請負人は種類または品質に関して契約の内容に適合しない場合に,責任を負うことになります。

 解釈上問題になっていた瑕疵が重要でない場合において,その修補に過分の費用を要するときには修補請求を制限する規定(民法634条)や土地の工作物については解除ができない規定(民法635条但書)はなくなりますので,要は請負人の仕事が契約内容に適合しない場合には,建物の建築だろうが解除し,建て直せといえることになります(但し,軽微な不履行は除く)。 

 また,請負人の仕事が未完成であっても,一定の要件のもとで,途中までした仕事完成とみなして,その限りで報酬請求することができるという規定を置きました。 請負契約を巡る裁判でよく争点になる仕事の完成,報酬の支払いを拒むための口実として何かとケチをつけて仕事の未完成を主張する注文者がいますが,当該規定により,途中放棄の場合でも,未完成部分をその限りで完成として,注文者が利益を受ける程度で支払いを請求できます。

 そもそも,完成の定義自体が曖昧で,未完成だから全額の報酬を拒むというのはいかがなものかとは思っていましたが,本改正により,当該争点の扱いも変わってくることが想定されます。この規定ができても,出来高で,報酬を支払う特約は契約書に入れておくべきでしょう。

アトラス総合法律事務所 弁護士 清水 祐

  

  

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