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【コラム】「請負契約」

2021-07-30

 こんにちは。東京都千代田区神田にあるアトラス総合法律事務所の原澤です。今回は「請負契約」について説明していきます。この契約は、名前自体は聞いたことがなくてもみなさんも日常生活の中でそれなりに行っている契約だと思います。では、この契約について説明していきます。

 

 

 

 請負契約とは、「当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約する」契約です。(632条)前回説明した雇用契約と雰囲気が似ていますよね。似ているもの同士を理解するにはその異同を理解することが大切です。そのため、ここでは、雇用契約と請負契約の異同についてふれてみます。

 

 

まず、類似点から。

 これは、役務提供型といって何らかの行為をすることが契約内容になっていることです。雰囲気が似ていると感じたのはこの点が原因だと思います。

 

 

 次に相違点です。これはいくつかあるのでそのうちの一部のみ説明します。

 1つ目は、条文をよく見るとわかることなのですが、請負は仕事を完成させることが契約目的となっています。つまり、請負は仕事が完成しないと報酬をもらうことができないということになります。他方で、雇用契約の場合は、労務の提供さえ行っていれば何か成果を出すことができなかった場合でも報酬をもらうことができます。

 

 2つ目は、契約当事者の関係性です。みなさんも何となくそんなイメージはあると思いますが、雇用契約について被用者は雇用者に対して従属的な地位にあります。他方で、請負契約の場合には、請負人は注文者から独立して仕事を行うことができます。

 

 

 

 ここからは請負契約と報酬の話をします。上でも少しふれましたが、請負契約では仕事が完成しなくては報酬を受け取ることができません。(633条参照)しかし、これを貫くと例えば家を完成させるという仕事が99%のところまで完成していたのにも関わらず、それがあと少しのところで壊れてしまった場合、報酬は全くもらえないということになってしまいます。さすがにこれは請負人がかわいそうですよね。

 

そこで、仕事の結果が可分なものであり、その部分で注文者が利益を受ける場合にはその割合分の報酬を請求することができます。(634条)家を建てる場合に一部で注文者が利益を受けるかはわかりませんが、もし、例えば50%出来上がった時点で上記の要件を満たすのであれば、50%の部分について報酬を請求することができます。

 

 

 

 具体的事例を見てみましょう。大学生のA君は就職活動に備えて自分のスーツをクリーニングに出すことにしました。このクリーニングの契約も請負契約にあたります。お店側はスーツをきれいにするという仕事の完成を、A君はそれに対してお金を払うことになります。

 クリーニングの場合は、服を預ける時点でお金を払い、後ほど引き取るだけという場合も多いと思います。これは今まで説明した仕事の完成がないと報酬がもらえないということと矛盾してますよね。しかし、報酬の前払いを当事者間で特約しておけば、報酬を先に受け取ることができます。一般的にはこの特約が結ばれていることが多いと思います。

    

  

 今回は以上になります。次回は「委任契約」について説明します。

  

  

 

【コラム】「雇用契約」

2021-07-21

 こんにちは。東京都千代田区神田にあるアトラス総合法律事務所の原澤です。今回は「雇用契約」について説明していこうと思います。ここでは、労働契約法などの労働法制の適用により民法上の規律と異なる点も存在するため、特に指摘がない場合には、民法上の雇用契約についての話だと思ってください。

 

 雇用契約とは、「当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約する」契約です。(623条)典型的なのはアルバイトとかですね。僕が今この事務所で働いているのも雇用契約なんだと思います。

 雇用契約を締結する場合、雇う側は「働いてほしい」という、雇われる側は「給料が欲しい」という考えを持っているのが通常かと思いますが、この「給料」はどのタイミングでもらうことができるのでしょうか。

 民法624条1項を見てみましょう。

 労働者は、その約した労働を終わった後でなければ、報酬を請求することができない。

 ここに規定されている通りではありますが、働いてから給料を請求することができるようになるということです。これは、「ノーワーク・ノーペイの原則」(働いていない部分の給料はもらえないということ)を明らかにしたものといえそうです。もっとも、2項による例外はあります。

 

 では、雇用期間はいつ終了するのでしょうか。ここも労働法制による修正は考慮せずに、民法の話をしていきます。

①まず、雇用期間が5年を超える場合又は終期が不明確な場合には、5年を経過した後であればいつでも契約を解除することができます。(626条1項)もっとも、この場合、どちら側から解除するのかによって予告しなければいけない期間がそれぞれ規定されています。(同条2項 使用者の場合3か月、労働者の場合2週間)

②雇用期間の定めがない場合には当事者はいつでも解約の申し入れをすることができます。(627条1項)もっとも、使用者側からの解約申し入れの場合には一定の規制がなされています。(同条2項、3項)

③また、「やむを得ない事情がある場合」には雇用期間が定められている場合であっても直ちに解除することができます。

 

 一通りの説明は終わったので、具体的事例で見てみましょう。

 大学生のA君は生活費や遊興費を稼ぐためにアルバイトを始めることにしました。条件としては、「1日8時間、週5日間勤務、給料は月20万円」ということで合意しました。雇用契約は合意のみで成立する諾成契約であるため、この合意によって契約は成立です。そのため、A君はスタッフとして働いていくことになります。

 

 今回は以上になります。今回の説明では民法上の雇用契約についての説明をしてきましたが、実際に現実になされているのは労働法制の影響を受ける場合も多く、この説明とは異なる部分も出てくると思います。もし気になる方は、労働契約法や労働基準法といった法律にも目を通してみてください。次回は「請負契約」について説明します。

  

  

 

【コラム】「賃貸借契約」②

2021-07-13

こんにちは。東京都千代田区神田にあるアトラス総合法律事務所の原澤です。今回は前回に引き続き「賃貸借契約」について説明していこうと思います。前回が賃貸借契約の始まりについて扱ったため、今回はその継続中~終了の部分について扱おうと思います。

 

 

 

まずは、賃貸借契約の継続中の話をします。賃貸借契約は諾成契約ですので、当事者の合意によって契約が成立します。そして、契約の効果として、両当事者には様々な権利義務関係が生じることになります。

 

 

賃貸人(貸した側)には、ざっくりと言うと、その目的物を使わせる義務が発生します。代表的なところでは、「使用収益させる義務」や「修繕義務」なんかがあります。「使用収益させる義務」は使用貸借のところで出てきた貸主の「貸す債務」と似ていますが、賃貸借契約の場合には、「借主が使用収益できる状態に置く」積極的な義務が発生します。

 

また、修繕義務とは、「目的物の使用収益に必要な修繕を負う義務」のことを言います。これは、「使用収益させる義務」の一態様ですが、606条1項本文に規定されているものになります。

例えば、借りていた家が台風によって水漏れが発生してしまった場合、このままではその家に住むことはできませんよね。そこで、賃貸人はこの状態を修繕する義務を負うことになります。具体的には、業者等に頼んで水漏れを修繕するといった感じでしょうか。

 

 

他方、賃借人(借りた側)にも様々な義務が発生します。

 

まずは賃料の支払い義務です。民法上は後払いが原則(614条)となっていますが、実際には当事者間の契約で前払いとなっている場合が多いようです。

例えば、令和2年9月分の賃料を支払う場合、後払いの場合は9月の末日に、前払いの場合は8月の末日に賃料を支払うことになるのが一般的かと思います。

 

また、用法遵守義務というものも発生します。これは、使用貸借のところでも出てきましたが、「変な使い方はしないでよ」といった感じのものです。例えば、増改築禁止やペット飼育禁止なんて決まりがあった場合に、これに反すると用法遵守義務違反に当たり得ます。

 

あとは、契約が終了したら目的物を返還する義務なんかも発生します。このほかにもたくさん義務が発生しますが、この辺にしておきましょうか。

 

 

 

では、ここからは賃貸借契約の終了について説明します。ここも借地借家法が適用されると話が変わってくるため、適用がないという前提でお願いします。

 

 

まずは、賃貸借契約に期間が定められていた場合、更新がなされなければ、その期間満了によって終了します。

例えば、令和2年10月末日までという内容で賃貸借契約を締結した場合、令和2年の10月末日でこの賃貸借契約は終了します。

 

また、期間の定めがない場合には、各当事者はいつでも解約の申し入れをすることができます。(617条1項)もっとも、実際に契約が終了するのはその賃貸借契約の内容によって一定の期間が経過したときになります。(同項各号参照)

 

 

ここまでは期間がらみの終了事由ですがここからは少し違います。

 

 

まずは、目的物が全部滅失した場合には当然に賃貸借契約が終了します。(616条の2)

例えば、火事や災害で借りていた家が壊れてしまった場合などが当たります。賃貸借契約は目的物を使用収益することを契約の内容とするため、それができなくなった以上契約を存続させる必要はないと考えられたようです。

 

また、一方当事者の債務不履行による解除もあります。例えば、賃借人が賃料を払ってくれない場合なんかがこれにあたります。貸している側としては賃料を払ってくれない人に貸していてもしょうがないので、契約を解除して新しい人に貸したりしたいですよね。こういった場合に貸している側から契約を解除することができます。

 

ここまでの説明を聞いて、「例えば賃料の支払いが1日遅れただけでも解除されちゃったら困る」と思った方もいるのではないですか?

これに関しては心配する必要はありません。詳しい説明は省きますが、「信頼関係破壊の法理」というものがあり、当事者間の信頼関係が破壊されていると言えないような場合には、契約の解除を認めないとされています。もっとも、これは絶対に解除されないというわけではないため、1年も2年も賃料を払っていなかったらもう信頼関係は破壊されていると認定されることは十分にあると思います。

 

 

今回は以上になります。次回は「雇用契約」について説明します。

  

  

 

【コラム】「賃貸借契約」①

2021-07-07

 こんにちは。東京都千代田区神田にあるアトラス総合法律事務所の原澤です。今回は、「賃貸借契約」について説明します。賃貸借契約は説明することが多いので、①賃貸借契約の開始、②賃貸借契約の継続中及び終了の2回に分けて説明していきます。

 また、現実の賃貸借には借地借家法という法律が適用される場合も多く、純粋な民法上の賃貸借とは多少異なる場合もありますが、今回のブログでは、特に言及がない限り民法上の賃貸借についての説明をします。

 

 

 

 賃貸借契約とは、「当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対して賃料を支払うこと及び引き渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約する」(601条)によって成立する契約です。

 

 具体的事例で考えてみましょう。といってもこれはみなさんも経験したことあるであろう家を借りるやつがそれにあたります。大学1年生のA君は東京の大学に進学することになったので、大学の近くに家を借りることにしました。大家さんとの間で、賃料や期間等を決めてその部屋を借りることになりました。これで賃貸借契約は成立します。

(大学1年生ってことはまだ未成年では?と思った方、とても鋭い着眼点ですが、今回はその辺の細かいことは気にしないでください笑)

 

 

 

 

これまで、「消費貸借」・「使用貸借」・「賃貸借」という3つの貸借型契約と言われる契約類型の説明をしました。これらの契約の違いについて賃貸借のところで話をすると言っていたので、ここで簡単に説明します。

 

 まず、消費貸借と使用貸借・賃貸借は、借りたそのものを返すのかどうかという点で異なります。前者は借りたものは使ってしまって、同種・同等・同量の物を返す契約ですが、後者は借りたそのものを返さなければなりません。

 また、使用貸借と賃貸借は有償契約か無償契約かという点で違っています。これはざっくりと言えば、賃料を払わなければならないかという点が違っているということであって、払わなければいけないのが賃貸借、払わなくていいのが使用貸借ということです。

 

 

 

今回の説明はほぼ終わりましたが、最後に一つだけ。「敷金」と呼ばれるものについての話です。

 

敷金って家を借りるときに当然に払わなければいけないものだと思っていませんか?実はそんなことないんですね。民法上どこにも「賃貸借契約を締結する際には敷金を交付しなければならない」なんて条文はありません。ということは、敷金の交付は何か別の契約によるものなのではないかということになりそうです。

 

上述のように敷金は払わなくてもいい可能性があるものですし、なんと賃貸借契約が終了したときに全部または一部は返ってくる可能性があるものなんですよ。僕の先輩は自分がいかに信用できる人かを大家さんに熱弁して敷金なしにしてもらったことがあるそうです笑

 

 

 

話が少しそれてしまいましたが、今回は以上になります。次回は賃貸借の続きを説明しようと思います。

  

  

 

【コラム】「使用貸借」

2021-07-01

 こんにちは。東京都千代田区神田にあるアトラス総合法律事務所の原澤です。今回は「使用貸借契約」について説明していきます。

 

 

 

 使用貸借契約とは、「当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物について無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還することを約する」(593条)契約です。無償とありますが、金銭等の授受がなされていた場合にすべて使用貸借にあたらないというのではなく、実質的に見て使用収益の対価と認められない場合は、消費貸借契約になります。

家族に自分の家を使わせてあげたり、友人からから本を借りたり、というのが具体例になります。

 

 

 

 消費貸借契約は当事者間の合意によってその効力が発生する諾成契約です。そのため、この合意が成立したら、貸主には「貸す義務」が発生します。そして、この合意に基づいて目的物が引き渡された場合には、借主はその目的物を使用収益できるようになります。この「借主の使用収益を妨げてはいけないという義務」も貸主には発生することになります。

 

 他方、借主は目的物が引き渡されれば、それを「返す義務」が発生します。また、借主には、契約又はその目的物の性質によって定まった用法に従い、その目的物を使用収益する義務、いわゆる、「用法遵守義務」が発生します。(594条1項)まあこれはざっくりと言えば、“他人の物を使わせてもらってるんだから、あんまり変な使い方しちゃだめよ”的な感じでしょうか。

 

 

 ここまでの話からも分かるように、この契約は、借主側から見れば、ある程度長期間にわたって目的物を使わせてもらう契約になります。しかし、この長期間使わせてもらっているからこそ発生する問題があります。こういわれてみなさんはどんなことを想像するでしょうか。。。

 

 

 

 例えば、家を使わせてもらっていたとしましょう。家を長期間使っていれば、例えば電気が切れたり、税金もかかったりしますよね。このお金はどうするのでしょうか。もう少し具体的にすると、このお金は貸主と借主のどちらが負担するのでしょうか。

 

 上記の具体例で挙げた費用は、目的物を普通に保管していれば必要になるお金ですよね。これを「必要費」と言います。これとは別のものとして、「有益費」と呼ばれるものもあるのですが、ここでは省略します。

 

 この必要費は借りた側の負担になります。(595条1項)つまり、借りている側の費用負担で切れた電球を買い替えたり税金を負担したりしなければならないということになります。(細かく分けると、「通常の必要費」と「非常の必要費」に分かれ、この話は「通常の必要費」に妥当する話なのですが、まあ、細かいことはいったん置いておきましょう笑)

 

 

 

 

 ここからは、今までの話とは少し変わって、契約の終了の話をします。自分の物を期しているので、貸した側としては当然それを返してほしいですよね。では、いつ「返して!」と言えるのでしょうか。

 

 

 貸した側が返してほしいと思ったら必ず返してもらえるというわけではありません。借りている側としても急に返してと言われたら困ってしまいますよね。こういった問題があるので、使用貸借契約の終了について民法にいろいろな規定があります。(597条、598条)

 

 すべて説明することはできないので(僕がわからないからではなく、スペースの都合上です笑)、ざっくりと説明します。

 

 

 まず、借りた側は基本的にいつでも契約を解除することができます。つまり、いつでも返すことができます。多くの場合、この契約は借主が貸しいてほしいから結ばれます。借りている側が必要なくなったならもうこの契約を存続させる必要はないですよね。

 

 一方で、貸している側からの場合は、ざっくりと言えば、①期間が定められていた場合はその期間が経過した時、②使用目的が定められていたらその目的が達成されたとき、③期間も使用目的も定められていない場合はいつでもという感じでしょうか。

 

 また、借りている側が死亡した場合、使用貸借は相続しません。つまり、使用貸借契約は終了します。これは、当事者間の関係を重視したからだと言われます。「あの人だから無償で貸したんだよ!」という貸した側の気持ちを尊重しようということですね。

 

 

 

 具体的事例で考えてみましょう。大学生のA君はレポートに使おうと同級生のB君から1週間だけという条件で本を借りました。この合意によって契約は成立し、1週間が経過したらB君は返してくれと言えるようになります。もちろんこの期間経過の前にレポートが終わったA君が自分からその本を返すことは可能です。

 

 

 

 

 今回は以上になります。次回は「賃貸借契約」について説明していこうと思います。

  

  

【コラム】「消費貸借契約」

2021-06-25

こんにちは。東京都千代田区神田にあるアトラス総合法律事務所の原澤です。今回も典型契約について説明していこうと思います。今回扱うのは、「消費貸借契約」です。

 

今回から貸借型契約と呼ばれる類型に入ります。具体的には、今回扱う「消費貸借契約」、次回以降に扱う「使用貸借契約」、「賃貸借契約」があります。それぞれの契約の異同については、賃貸借契約の回で説明しようと思います。

 

 

 

 消費貸借契約とは、「当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還することを約して相手方から金銭その他の物を受け取る」契約になります。(民法587条)

 要するに、借りた物をいったん使ってしまって、その借りた物と同等なものを返すということですね。現在では、目的物はほとんどが金銭ですが、制定当時は味噌や米といったものを借りるという場合も想定されていたそうです。

 

 

 消費貸借契約には、目的物の引き渡しまでして効果が発生する要物型の消費貸借契約(587条)と、引き渡しを必要とせず当事者の合意によってその効果が発生する諾成型消費貸借(書面による消費貸借、587条の2)があります。

 

 

 まずは、諾成契約としての消費貸借契約から見ていきましょう。

 

 合意により消費貸借契約を成立させることを意図した当事者が、その合意を書面によってした場合、目的物の引き渡しをしなくても合意の時点で契約が成立します。この場合、諾成契約としての消費貸借契約が成立することによって、貸主には「貸す義務」が発生します。そして、貸主から金銭等が引き渡されたら借主には「返す義務」が発生します。

 

 

 次に、要物契約としての消費貸借契約を見ていきましょう。

 

 これは、借主が目的物を受け取った時に契約が成立します。そして、借主には「返す義務」が発生します。上記の類型との違いは、貸主の「貸す義務」の有無になります。要物契約型の場合、契約が成立するためには目的物を引き渡していることが必要であるため、契約によって、目的物を「貸す義務」が発生するということにはなりません。

 

 

 具体的な事例で見てみましょう。大学生のA君は、どうしてもほしい服がありました。その服は3万円。でも、A君は先月バイトをほとんどしていなかったため、今、1万円しか持っていません。どうしても諦めきれなかったA君は友人のB君からお金を借りることにしました。A君たちは特に法律に詳しいわけでもなく、友達同士だからと、口頭だけで貸し借りの合意をし、書面を作成しませんでした。

 

 

 この事例は上述の類型のうち要物型の消費貸借契約にあたりそうです。そのため、B君がA君にお金を渡した時点で契約が成立し、A君には、その借りたお金を返す義務が発生します。

 

 

 

 今回の説明はほとんど終わりなのですが、最後に一つだけ。

 

 お金を借りたことのある人は「利息」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。この利息、お金の貸し借りがあったら当然に発生すると思っていませんか?

 

 実は、消費貸借契約は無利息が原則なのです。ちゃんと民法にもそう書いてありますよ!(589条1項)

 

そうだとすれば、お金を借りた場合に利息は払わなくていいのか?

 

これは、多くの場合に答えはNOだと思います。民法の条文をよく見てみてください。

 

 589条① 貸主は、「特約がなければ」借主に対して利息を請求することができない。

 

そうなんです。大体の場合は、この特約として利息についての規定が定められています。(また、商人間の取引の場合は特則があります。(商法513条))したがって、結局利息は払わないといけないんですね。

 

 

 

今回は以上になりなす。次回は「使用貸借契約」について説明します。

 

 

【コラム】未成年について

2021-04-19

こんにちは、東京神田にあるアトラス総合法律事務所の加藤です。

 

今回は未成年者が一人でできる(法律)行為についてお話をしたいと思います。

 

 まず「未成年者」とは、年齢が20に満たない者のことを言います。これは皆さんご存知の通りかと思いますが、民法の第4条で規定されています。

 

 この未成年者が法律行為をするには原則その法定代理人の同意が要ります(民法第5条1項本文)。法定代理人は、親がいる場合にはその親がなる場合がほとんどで、親がいない場合には未成年後見人を付けられます。そして、未成年者が勝手に単独でした法律行為は取り消すことが出来ます(同条2項)。

 ではお小遣いを使って飴とかジュースも買えないの?という疑問があるかもしれませんが、ここで例外があります。

 それは、法定代理人が目的を定めた、もしくは定めないで処分を許した財産は未成年者は自由に処分できるということです(民法第5条3項)。つまり、「これで飲み物でも買ってきなさい」や「自由に使っていいよ」言われたとき、そのお小遣いは自由に使えるということです。

 他の例外としては、特定の営業を許された未成年者はその営業に関して成年者と同一の行為能力を有するとされています(民法第6条1項)。また、単に権利を得たり、義務を免れたりする法律行為(未成年者に不利にならないような法律行為)は単独でできます(民法第5条1項但書)。

 

 おおまかに未成年者が一人で出来ることは分かっていただけたでしょうか。

 

ちなみに年齢に関連して、「うるう日に生まれた人は年を取らないの?」「なぜ4月1日生まれの人は前の学年なの?」という疑問があります。

これには今までお話してきた民法と、年齢計算ニ関スル法律という法律が関係してきます。これらの法律では、人は誕生日の前日が終わる瞬間に歳をとるとされています。つまり、うるう日生まれの人は2月28日、4月1日生まれの人は3月31日、が終わる瞬間に歳をとっています。だから、うるう日生まれの人も歳をとるし、4月1日生まれの人は前の学年なんですよね。

 

もし未成年者に関して、またそうでなくともなにか法的なお困りごとがございましたら、お気軽にアトラス総合法律事務所にご相談ください。             

                               以上

   

   

 

【コラム】補助制度について

2021-04-14

こんにちは、東京神田にあるアトラス総合法律事務所の加藤です。

 

今回、補助人制度のお話を少しさせていただければと思います。

 

これまで、後見、保佐制度の概観を紹介させていただきました。

それらは独りで法律行為をすることに不安がある人に手伝い人を付け、それらの人々の保護を図り、適切な法律行為を促す制度でした。

 

もっとも、この点補助制度も異なりませんが、被補助人は「事理弁識能力が不十分」である人がなることが出来ます。つまり、後見人や保佐人を付ける程ではないが、たまに、もしくは少しだけ、独りで法律行為をするのに不安がある人が被補助人となります。

 

 この点、被補助人となるような人は被後見人や被保佐人ほど判断能力がないわけではないので、補助の審判は本人の同意がなければできません(民法第15条2項)。本人が嫌がっているのにある日「今日から私があなたの補助人です!」なんてことはできません。

 

 そして、補助の審判(裁判所で補助人を付けるかどうか決めること)では、被補助人が単独で出来ないことを決めます。例えば、土地などの不動産を売買するとき及びお金を借りるときは補助人の同意が必要ですよ、などと決めるわけです。

 よって、被補助人はこの審判の際に決められていない事項については基本的に単独でなし得ます。また、これらの事項は保佐で同意を要する事項の中から任意に決めることが出来ます。ここが後見や保佐と少し異なります。

 

また、補助も保佐制度と同様に、補助人が被補助人の利益を害さないのにも関わらず同意をしないときは、裁判所が代わって許可を出すことが出来ます(民法第17条3項)。また、同意が必要な行為を被補助人が勝手に単独で行ってしまったとき、取り消しが可能なのも後見や保佐の制度と同様です(民法第17条4項)。

 

 ちなみに、後見や保佐の審判を受けられる人(事理弁識能力が欠けていたり、著しく不十分な人)は補助の審判を受けられません。そのような事由がある者についてはより強い保護が必要であり、後見や保佐の制度によるべきだからです。

 

これで後見、保佐、補助の制度の概観の紹介が終わりました。なんとなくでもこれらの制度の違いが分かっていただけたらと思います。                

                                    以上

   

   

【コラム】保佐制度について 

2021-04-01

こんにちは、東京神田にあるアトラス総合法律事務所の加藤です。

 

今回、制限行為能力者制度の一つである保佐制度についてお話しさせていただければと思います。

 

 この世の中には大人(成年)であっても、認知症や精神障害などを持っているがために自分一人では法律行為(契約や贈与等)を行うのに不安がある人がいます。にも関わらず、その人たちを放置しておけば、その人にとって不利な条件で契約や贈与をさせられてしまう恐れが生じます。そこで、適正な法律行為の形成を目指すため創設されたのが後見、保佐、補助制度です。

 

 法律行為をするのに不安がある人(被保佐人)にそれを手伝う人(保佐人)を置くという点では、前回お話しした後見制度と異なりません。では、何が異なるのか。それは判断能力の程度です。法律上、保佐開始の審判を受けるのは「事理弁識能力が著しく不十分である者」とされています。「事理弁識能力」とは、自分のした行為の結果が法的にどのようなものかを認識できる程度の能力です。つまり、後見人を付ける程ではないけれど法律行為をするのにとても不安がある人が保佐を受けられます。

 

では、保佐を受けた人(被保佐人)は何が制限されるのでしょうか。

この点、被保佐人は被後見人と異なり、原則保佐人の同意なくとも法律行為をなし得ます。もっとも、何でもできるとなると保佐制度の意味がなくなってしまうので、もちろん例外があります。例外として、被保佐人がお金を借りたり、不動産などの大きな買い物をするには保佐人の同意が必要です。

この同意が必要な行為は民法第13条1項に列挙されており、保佐人が被保佐人の利益を害さないのにもかかわらず同意しないときは裁判所が被保佐人の請求により保佐人に代わって許可を出すことも出来ます(民法第13条2項)。

そして、被保佐人が同意が必要な行為を勝手にしてしまった場合、取り消すことが出来ます(民法第13条3項)。なので、被保佐人が散歩がてら5000万円のマンションを購入してきた、なんてとき保佐人はその契約を取り消すことが出来るんです。

 

 どうでしょうか、後見制度との違いは分かったでしょうか。原則と例外が入れ替わっている点がポイントかもしれません。

 例えば今回のような保佐の申立、その他法的なお困りごとがございましたら、お気軽にアトラス総合法律事務所にご相談ください。                 

                         以上

  

  

【コラム】成年後見制度について

2021-03-30

こんにちは、東京の神田にあるアトラス総合法律事務所の加藤です。

 

今回は成年後見制度について少しお話ししたいと思います。

 

まず「後見人」とは、社会で生きていく上で必要となる法律行為をするのに不安のある人(認知症や生まれつき知的障害を持つ人)を手助けする人です。

後ろから見守る人、と考えるとイメージしやすいですよね。でも実際には見守るというより、裁判所の審判を受けて決められた後見人が主に法律行為をします。そして、この手助けされる側の人を「被後見人」と呼びます。未成年には多くの場合、もともと親などの法定代理人がついていますから、成年の人に後見人をつけて保護する制度が「成年後見制度」なんですね(民法第7,8条)。

 

この成年被後見人について、原則有効に法律行為をするには後見人の同意が必要となります。にもかかわらず、被後見人が勝手に法律行為をしてしまった場合、取り消すことが出来ます(民法第9条)。

 

では、成年被後見人はいかなる法律行為もできないのでしょうか。例えば、知的障害を持った方は(有効に)大好物のどら焼きを買えないし、好きな人と結婚できない(取消せてしまう)のでしょうか。

この点、例外として被成年後見人でも「日常生活に関する行為」については単独ですることが出来ます(民法第9条但書)。また、身分行為などをする際には、被成年後見人の行為制限についての規定は適用されないことになっています。なぜなら、これらの行為は本人の意思を尊重するべき事柄だからです。よって、どら焼きも買えるし、結婚も出来るんです(まぁ、もちろん相手方の同意は必要ですが。)。

 

  成年後見制度について、ざっくり紹介させていただきました。次回は保佐制度のお話を軽くさせていただけたらと思います。

後見人等の制限行為に関して、また、それ以外でも法的なお困りごとがございましたら、お気軽にアトラス総合法律事務所にご相談ください。

 

 

                                     以上

  

  

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