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コラム

COLUMN
作成日:2024.10.31 最終更新日:2024.11.25

住所も電話番号も分からない兄を探し出し母子感染を否定した例

B型肝炎訴訟を諦めない

ご相談の経緯

依頼者は40歳ころに体調不良で病院に行ったところ、自身がB型肝炎に感染していることを初めて知りました。また、同時に肝臓がんになっていることも判明し、そのまま手術をすることとなりました。

65歳ころに、B型肝炎訴訟により給付金を貰える制度があるということをラジオで知り、自分もその対象なのではないかと考え、弁護士に依頼してみることにしました。しかし、依頼者は農業をやっていたため仕事上でインターネットを利用する機会はなく、プライベートでも使う機会はなかったため、インターネットを使って近場の弁護士を探すことができませんでした。そこで、どのようにして弁護士を探そうかと考えていたところ、弊所のB型肝炎相談会のお知らせが地方新聞に掲載されているのを発見し、同相談会に参加することとしました。

ご相談者:65歳の男性
症状:肝臓がん
給付金額:3600万円

問題となった点及び弊所での対応

母子手帳が行方不明に

B型肝炎訴訟においては、満7歳までに集団予防接種を行っている必要があり、このことを証明するために、母子手帳を提出する必要があります。もっとも、本件依頼者の母子手帳は母が管理していたため本人は母子手帳の在処を知らず、また、母はずいぶん昔に亡くなってしまっていたため母子手帳がどこにあるのか誰も分からない状態でした。

ですが、母子手帳が無いとしても、直ちに給付金を貰えないと決まってしまうわけではありません。
母子手帳が無い場合の代替資料として、集団予防接種に関する陳述書等を提出することで集団予防接種を受けたことを証明することができます。そこで、集団予防接種に関する陳述書を本人に書いていただこうとしましたが、本人は接種当時幼かったため、予防接種を受けたことに関する記憶が全くないとのことでした。そこで、依頼者と仲の良かった姉に、依頼者の集団予防接種に関する陳述書の作成に協力していただくこととしました。

これにより、母子手帳が無い中でも代替資料を用意することができました。

早逝した母のカルテが処分されていた

B型肝炎訴訟で給付金が認められるためには、感染の原因が集団予防接種である必要があります。そして、B型肝炎に感染するもっとも有力な原因は、B型肝炎の母親から生まれてくる際に、その母親の血液により感染する母子感染であるとされています。そのため、B型肝炎訴訟においては、この有力な感染原因である母子感染を否定する必要があります。そして、母親がB型肝炎に感染していないことは、母親の血液検査結果がHBs抗原陰性(B型肝炎にかかっていない状態のこと)であることにより証明できます。

しかし、本件依頼者の母親は30年前に病気で亡くなっており、カルテが既に破棄されていることが予想されました。それでも、一応かつて通院していた病院にカルテ開示請求をしましたが、やはりあまりにも古いカルテであったため保存期間を過ぎており、母親がB型肝炎に感染していたかが分かる資料は取得できませんでした。

このように母親の血液検査結果が用意できない場合には、年長の兄姉がB型肝炎に感染していないことが分かる血液検査結果により代替が可能となります。これは、仮に母親がB型肝炎に感染していた場合には高確率でその子は母子感染するところ、年長の兄弟がB型肝炎に感染していない場合には、母親はB型肝炎に感染していなかった可能性が高いと考えられるからです。

そこで、今回は依頼者の年長の兄姉に血液検査のお願いをすることとしました。
依頼者は3人兄弟の末っ子で、姉と兄が一人ずついました。もっとも、姉だけは父の連れ子であり、本人及び兄とは異母姉弟の関係でした。異母兄弟である姉は、依頼者の母親と血のつながりはないため、姉に血液検査をしてもらっても母子感染を否定することはできません。そこで、今回は共通の母を持つ兄に血液検査のお願いをすることとなりました。

頼みの綱である兄と連絡が取れない

依頼者と兄は幼い頃から仲が良かったものの、年を重ねるごとに連絡を取る頻度は減っていき、母の13回忌以降は全く連絡を取っていないとのことでした。それでも、母の葬式や法事で会った際には変わらず良好な関係であったことから、自分が頼めば兄も協力してくれるはず、とのことで依頼者自身が兄に協力をお願いすることとなりました。

しかし、今回久しぶりに電話をかけてみたところ、電話がつながりませんでした。兄は転勤の多い仕事に就いており、引っ越しに伴い家の電話番号が変わっていたようでした。また、転勤により各地に居所を移していたため、依頼者は兄の現住所も分からず、連絡の取りようがないとのことでした。

そこで、弊所で兄の現住所につき調査したところ、依頼者の言っていた通り兄は転勤の多い方だったようで、依頼者が知っていた最後の住所から更に何度も住所を変更していました。そして、弊所による調査の結果、無事兄の現住所を特定することができました。

特定できた住所宛に、依頼者自らが、B型肝炎訴訟のために血液検査に協力してほしい旨の手紙を送ったところ、手紙を見た兄からすぐに依頼者に連絡が来ました。兄は、「弟が困っているなら力になる」と快くご協力くださいました。
そして、血液検査を行っていただいたところ、その結果はHBs抗原陰性であり、この血液検査結果により母子感染を否定することができました。

病院閉鎖によりカルテが取得不可能

B型肝炎訴訟においては、請求者の感染原因が集団予防接種以外にないかを確認するために、病院のカルテを証拠として提出する必要があります。もっとも、複数の病院にカルテ開示請求を行っていたところ、依頼者がかつて通院していた病院の一つが既に閉鎖していることが判明しました。同閉鎖病院について調査すると、その後別の名前の病院になって引き継がれていたことが判明しました。もっとも、当時の病院への受診記録が引き継がれた病院には無く、通院の事実が確認できない以上、不存在証明書を発行してもらうことができませんでした。

その後、各所に連絡を取り、現状取得可能な資料を用いることで、病院が閉鎖していてカルテを取得できないことを説明し対応しました。

ご兄姉のご協力の甲斐もあり和解が成立

ご兄姉の方々がご協力してくださったおかげで、不足していた資料の代わりとなる資料を用意することができ、無事に3600万円で和解が成立しました。無事に和解が成立したことを依頼者がご兄姉に伝えると、お二人もとても喜んでくださったとのことでした。

兄の連絡先が分からないとなった際、依頼者は兄の連絡先を調べる術がない以上、給付金は諦めるほかないかもしれない、と考えていました。ですが、そこで弊所が兄の住所を特定し、最終的に和解成立に導いたことで、依頼者は弁護士にお願いして本当に良かったとおっしゃってくださいました。

弁護士からのメッセージ

B型肝炎訴訟では必要資料を用意するにあたり、ご家族の協力を得る必要がある場合が多々あります。ですが、年を取るにつれて疎遠になってしまったために連絡が取れない家族がいるというケースは少なくありません。そして、それにより資料が用意できないとしてB型肝炎訴訟を諦めてしまう人もいます。
しかし、弁護士はそのようなご家族の住所を調べる方法を持ち合わせています。そのため、自分では連絡を取る方法がないからといってB型肝炎訴訟を諦める必要はありません。弁護士であればお力になれる場合もありますので、一度ご相談ください。

このように、弁護士は単に本人に代わって訴訟を行うというだけではなく、訴訟を行う上で必要となる周辺の問題についても対処できる場合があります。ご自分でB型肝炎訴訟を行うことに不安がある方、一度自分でやってみたが問題に直面してしまい諦めかけている、というような方はぜひ弊所にご相談ください。

一般人の目からはどうにもならないと思われる問題でも、弁護士が代わりに行うことで解決できるかもしれません。

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