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コラム

COLUMN
作成日:2021.08.26 最終更新日:2023.03.06

離婚原因と離婚の種類

第1話 はじめまして

今回は離婚について、日本の法律の仕組みを簡単に説明しようと思います。

(1)自己紹介

こんにちは。アトラス総合法律事務所の荻野です。
同事務所に入所したての新米ですが、頑張って書いてみようと思います。

(2)結び

みなさんは、どのような場合に離婚ができるかご存知ですか?
まず、離婚にはいくつか種類があります。その中には、ある条件が認められる場合にのみ離婚が認められるものもあります。「結婚相手はこんなにひどい人だから離婚したい!」と思っていても、その条件を満たさない場合には離婚することができないこともあります。
次回からは、離婚の種類や離婚ができる条件(離婚原因)について詳しく解説していきたいと思います。

第2話 離婚原因その1

(1)離婚の分類

離婚には、①協議離婚、②調停離婚・審判離婚、③裁判離婚の三種類があります。①から③の順に段階が上がっていくと考えてください。

① 協議離婚(民法763条)

これは、夫婦間で離婚の合意が成立した場合に、市区町村役場に離婚の届出をすることで離婚が成立させるものです。
すなわち、(ⅰ)夫婦相互間に離婚の意思があること、(ⅱ)離婚の届出が必要となります。
日本における離婚の9割がこの協議離婚に当たります。
ちなみに、婚姻の場合も(ⅰ)相互間に婚姻の意思があること、(ⅱ)婚姻の届出が必要です。婚姻の始まりと終わりが同じ手続きなのはわかりやすいですね。

② 調停離婚

離婚の協議が成立しない場合、後述の裁判離婚をすることになります。しかし、裁判をする前に、まずは調停をします。裁判までしなくても、話し合いで解決できないか?と試みる場です。
ここで、裁判所を交えて話し合った結果、夫婦間で離婚の合意がされた場合には、調停離婚が成立します。

③ 裁判離婚(民法770条)

これは、以上の協議離婚、調停離婚を経ても離婚につき合意が成立しない場合に、裁判所が判決により離婚を認めるというものです。また、これは夫婦間に離婚の合意がないにもかかわらず離婚を認めるというものであるため、裁判所もなんとなくで離婚を認めることはできません。法律で決められた条件、すなわち離婚原因を満たしたときにのみ認められます。

簡単にまとめますと…

・協議離婚、調停離婚→夫婦間の合意がある。離婚原因は不要。
・裁判離婚     →夫婦間の合意がない。離婚原因が必要。

となります。

(2)結び

今回の話を聞いて、じゃあ離婚原因ってなに?と思った方もいらっしゃると思います。次回は、その離婚原因にはどのようなものがあるのかについて詳しくお話ししたいと思います。

第3話 離婚原因その2 part1

(1)裁判離婚

前回お話しした通り、離婚原因が必要となる離婚のパターンは裁判離婚のみです。
夫婦間に離婚の合意が成立しない場合には、夫婦間の事情を裁判所が判断して、離婚が相当かを決めます。このときの判断要素が離婚原因です。

(2)離婚原因(民法770条1項)

ア.1号 不貞行為

よくある例として、夫婦の一方が結婚相手以外の人と性的関係を結ぶような場合が挙げられます。
ではなぜこれが離婚原因になるのでしょうか。この点、民法は不貞行為は婚姻関係を破綻させる典型的な例であるため、不貞行為があった場合には原則として婚姻関係が破綻しているものとして、離婚を認めています。
すなわち、一般的に夫婦の一方が結婚相手以外の者と性的関係を持つことは夫婦としてあってはならないことです。そのような状態にあっては、もはや夫婦関係は破綻していると言えるため、これが離婚原因の一つとされています。

イ.2号 悪意の遺棄

これは、故意に一緒に生活をしなかったり、生活費を与えなかったりした場合に認められます。これも1号と同様で、結婚したのにわざと別居をしたり、生活に必要なお金を与えないというのは、同居、協力扶助義務がある夫婦として本来あるべき状態ではなく、そのような状態にあってはもはや夫婦関係は破綻しているといえるため、これも離婚原因の一つとされています。

ウ.3号 生死不明

夫婦の一方の生死が3年以上不明の場合、これも離婚原因となります。
結婚とは、夫婦が共同して生活を営むものです。しかし、一方の生死が長期にわたって不明な場合には、それはもはや一人で生活しているのと変わらず、結婚をしている意味がありません。そこで、このような相手方の生死不明も離婚原因の一つとされています。
例として、夫婦喧嘩をして怒った妻が、夫に行き先も告げずに突如として家を飛び出し、その後3年以上にわたって、行き先どころか生きているのか死んでいるのかすらもわからないような場合がこれにあたります。

エ.4号 回復の見込みのない強度の精神病

 精神病の例としては、統合失調症が挙げられます。そして、病気の状態があまりにも深刻で、これによりまともに夫婦生活が送れないような場合には4号により離婚が認められます。
この4号については、夫婦の一方が精神病にかかった場合には、他方の者は精神病にかかったパートナーを支えるべきであり、離婚なんて認めるべきではない!として、これを離婚原因とすることに反対する考えももちろんあると思います。しかし、これを離婚原因から除外すると、不治の精神病にかかり会話もままならないパートナーをもう一方の者が一生介護し続けなければならないこととなります。一方の者にそのような負担を背負わせることはあまりに酷であり、実際上不可能です。そのため、本来互いを支えあうべき夫婦関係が強度の精神病により破綻しているといえる場合には、4号を離婚事由とする離婚が認められます。

(2)次回は770条1項5号

5号は今回紹介したものとは異なり、具体的にどのような場合に離婚原因となるかが条文上は決まっていません。裁判所によって今まで認められてきた例を挙げながらお伝えしたいと思います。

第4話 離婚原因その2 part2

(1)5号 その他婚姻を継続しがたい重大な事由

1号~4号までの離婚事由がない場合にも、様々な事情を考慮して裁判所が離婚を相当と判断した際に離婚を認めることができるのがこの第5号です。しかし、「婚姻を継続しがたい重大な事由」といわれても、どのような場合がこれにあたるのか分からないですよね。

この点、5号の「重大な事由」についても、基本的に1~4号と同様に、その行為が婚姻関係を破綻させるほどのものかという観点から判断しています。つまり、夫婦が婚姻継続の意思を実質的に失っており、夫婦での共同生活を回復することが不可能であると、裁判所の目から見ても明らかな場合に離婚請求を認めるというものです。夫婦関係が破綻している場合には、もはや婚姻を継続する意味はないからです。
これからいくつか具体例を挙げながら説明します。

例えば…

・配偶者からの虐待、侮辱(DV)

夫婦は本来協力して助け合うべき関係です。しかし、この場合にはDVを受けている人は肉体的、精神的なダメージを負わされており、夫婦として本来あるべき姿とは言えません。また、離婚を認めて相手方のDVから脱させてあげる必要があります。そこで、これも離婚原因となりうるとされています。

・性格の不一致

夫婦といえども、お互い別々の人間である以上、考えや価値観の違いというものはどうしても生じてしまいます。夫は妻に専業主婦をしてもらいたいと考える一方で、妻としては仕事が好きだから外へ働きに出たいと考えていたり、妻は家事は夫婦で分担して行うべきだと考える一方で、夫としては家事は妻が全て一人でやるべきだと考えることもあると思います。
このような性格の不一致が夫婦間であり、それが原因でまともな夫婦生活を送れていないような場合には、離婚原因となりえます。

・浪費、借金

夫がギャンブルにハマって生活費まで使いこんでしまい生活がままならなくなってしまっている場合や、遊ぶ金ほしさに借金をし、その返済のせいで生活費が一切残らなくなってしまったというような場合には、まともな夫婦生活ができているとは言えず、離婚原因になりうるとされています。

他にも、怠惰であることや宗教活動にのめりこんでしまったことなど、様々なものが離婚原因になりうるとされています。

(2)770条2項

この条文は、前述の「不貞行為」、「悪意の遺棄」、「生死不明」、「強度の精神病」が認められる場合であっても、裁判所がなお婚姻を継続させた方が良いと判断した場合には裁判所の裁量で離婚の請求を棄却することができるとするものです。
ではなぜ離婚原因があるのに離婚が認められないなんてことがあるのでしょうか。今まで見てきた通り、これらの離婚事由がある場合には離婚を認めるべきだと思えます。
この点、770条2項は「不貞行為」や「悪意の遺棄」などがあった場合でも、なお婚姻関係が破綻しておらず、関係回復の見込みがある場合には婚姻関係の継続を促すという目的の条文です。
例えば、相手方が不貞行為をしても、やっぱりその相手を許してあげようという広い心を持つ人であれば、関係回復の見込みがあるとして770条2項により棄却される可能性があります。
また、少し異なる観点からにはなりますが、「強度の精神病」の場合には、健康な方の者は、相手が今後生活や療養をしていくことができる方法を用意してあげてからでないと、離婚ができないとしています。これは、確かに夫婦関係は破綻していますが、これにより相手が何らの援助もなく放り出されてしまうことを問題視したのだと考えられます。

(3)感想

いかがでしたか?身近なことだけど実は知らなかったということもあったのではないでしょうか?このブログを通して皆さんが離婚についての理解を少しでも深められたら嬉しいです。
夫婦の両方が離婚に納得している場合には、夫婦の共有財産の分与といった手続きにすぐに移ることができ、比較的スムーズに離婚ができます。しかし、夫婦の一方が離婚に納得していない場合には、裁判という大掛かりな方法を取らなければ離婚ができません。そして、離婚事由があると裁判所に判断してもらうにも、証拠を集めたりしなければならず中々大変です。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

離婚決めた方だけではなく、離婚を迷われている方は、まずはぜひお気軽に、弁護士にご相談をされてみてはいかがでしょうか。

 

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