皆さんはじめまして。東京都千代田区神田にあるアトラス総合法律事務所事務員のソーシアー アレキサンダー大和と申します。
今回は連結決算についてご説明をしていこうと思います。
連結決算とは
上場企業は、金融商品取引法第24条に基づき、事業年度ごとに企業集団の状況などに関する内閣府令の定める重要な事項を記載した有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければなりません。
これは、上場企業が社会に対して強い影響力があり、投資家やその他の利害関係者に対して重い説明責任を負っていて、企業グループ全体の透明性を高めることが必要とされているからです。
連結決算は、親会社と子会社で構成される企業グループ全体の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー等の状況を、あたかも単一の企業体であるかのように統合的に示す財務報告手法といえますが、上記有価証券報告書の内容に含まれることになります。
なお、非上場企業でも、一定規模の大会社(資本金の額5億円以上など)のうち、有価証券報告書提出義務を負う会社は、連結計算書類作成・提出義務があります(会社法第444条3項)。ただし、提出先は株主総会です。
連結決算ができない場合
原則的に連結決算の義務が課される上場企業においても、連結決算の対象となる子会社の性質によっては、連結決算をしてはならない子会社が存在します。
まず、支配が一時的な子会社の場合です。企業会計基準では、支配が継続的に及ぶことが連結の前提とされているため、一時的な目的のために保有されている子会社(例えば、短期間での売却を前提とした事業取得でその売却計画が確実な場合等)については、連結の対象から除外されます。
次に、連結することにより利害関係者の判断を著しく誤らせるおそれのある子会社の場合です。
企業会計基準における支配の有無は、投資家などの経済的な利害関係人への影響を考慮しての規律ですから、子会社の損益が親会社に帰属しない場合(例えば、ある子会社がある匿名組合事業の営業者となり、当該匿名組合の事業を含む子会社の損益のほとんどすべてが匿名組合員に帰属し、当該子会社及びその親会社には形式的にも実質的にも帰属せず、かつ、当該子会社との取引がほとんどない場合)には、連結の対象から除外されます。
連結決算からの除外が許容される場合
打って変わって、原則的に連結決算の義務が課される上場企業においても、子会社の性質によって連結決算からの除外が許容される場合が存在します。
売上高、総資産、当期純利益、剰余金の各指標を用いて、量的にみてグループ全体との比較で子会社の重要性が乏しいこと、中長期の経営戦略上、非常に重要な子会社であるとは言えないことの両方を満たす場合にこれに該当し、当該子会社を連決決算の対象から除外することが許容されます。
前者については、共通の数値基準はないため実質的な判断となりますが、社内規程等において一定の割合を決定して連結範囲の妥当性を判断している会社が多いと考えられます。
また、後者についても、当該グループ全体の経営戦略から重要といえるか否かの判断がなされるため、共通の基準はなく、実質的な判断となります。
その他
このように決算内容に限らず、決算の規律にも様々なものがございます。そして、専門家の判断は必要不可欠です。企業法務において、何かお困りごとがございましたら、まずは弁護士にご相談されることをお勧めいたします。