こんにちは。東京都千代田区神田にあるアトラス総合法律事務所の原澤です。これまでに引き続き典型契約について具体的事例を用いつつ説明していこうと思います。今回は、「交換契約」について扱います。
交換契約とは、「当事者が互いに金銭の所有権以外の財産権を移転することを約する」契約類型です。いわゆる物々交換ってやつですね。民法には、この契約について直接規定している条文が、586条の1つしかありません。前回の売買契約とは一方当事者が移転させるものが金銭なのか、それ以外の財産権なのかという違いがあります。しかし、逆に言えば差はそれだけであるため、基本的には売買契約の規定が準用され、売買契約と同じように扱えばいいということになります。
具体的事例をあげてみます。
大学生のA君は、友人のB君とクリスマスプレゼントをお互いに持ち寄って交換しようということになりました。A君は万年筆を、B君は服を準備して当日持っていくことにしました。そして、お互いが持ってきたプレゼントを交換しました。
この事例では、A君は万年筆、B君は服という金銭以外の財産権を移転することを約しているため、交換契約が成立していることになります。
交換契約についての説明は以上になりますが、最後に一つ余談にお付き合いください。
みなさんが日常的に行っている行為の中で、交換にあたりそうだけど、先ほどの定義からすると当たらないのではないかというものがあります。それは何でしょうか?
探してみればいろいろとあるかもしれませんが、ここでは僕が思いついたものをあげさせていただきます。
答えは両替です。
これは金銭同士の交換ですよね。つまり金銭の所有権以外の財産権を移転しているわけではありません。でも別に1000円札10枚を1万円で買っているわけではないですよね。いったいこれは交換契約なのでしょうか?もしくは無名契約にあたるのでしょうか?
これは僕もわかりません。みなさんはどうだと思いますか?ぜひ考えてみてください。
今回は以上になります。次回は、「消費貸借契約」について説明します。