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作成日:2020.11.02 最終更新日:2021.12.02

和解契約

こんにちは。東京都千代田区神田にあるアトラス総合法律事務所の原澤です。これまで民法に規定されている13個の典型契約について具体的事例を用いつつ説明をしてきました。今回で13個目です。今回は「和解契約」について説明します。

和解契約は、「当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約する」契約です。(695条)和解は既に存在している契約に関する争いを終結させるという性質のもので、当事者間に新たな法律関係を作り出していたこれまでの契約類型とは少し雰囲気が異なっていますね。

みなさんが耳にしたことがあるであろう「示談」が和解契約にあたる場合が多いです。もっとも、示談であれば必ず和解契約というわけではありません。その理由、みなさんはわかりますか?

上述の695条をよく見てみてください。「当事者が互いに譲歩」することが要件になっていますね。つまり、片方の当事者だけが一方的に自分の権利を放棄するような場合は、和解契約ではないということになります。

では、ここからは具体的事例に即して和解契約の問題点について見ていきましょう。

大学生のA君は同級生のB君に対して、以前に1万円を貸したと認識しており、B君に対して1万円を返してほしいと言いました。B君としてはお金を借りたこと自体は間違いないが、借りたのは5000円だけだったはずだと思っています。2人は金額に関して一向に主張を曲げません。そこで、いつまでも揉めていてもしょうがないし、A君がB君にお金を貸したことは間違いないので、間を取って7500円を返すことで合意しました。

互いに譲歩して争いを終結させることに合意しているため、これで和解契約は成立します。では、これに以下の事情を付け足してみましょう。

B君がA君に7500円を返してあの揉め事は終結しました。しかし、後日発見されたLINEの文面が再び争いを呼ぶことになりました。そのLINEには「今度返すから1万円貸してくれ(>人<)」という文面が残されていました。そこでA君はこれを証拠としてB君に1万円返すように請求することはできるのでしょうか。

和解には「確定効」と呼ばれる効力が存在します。これは、和解の対象とされたことがたとえ事実と反していた場合であっても和解した通りに確定するというものです。言い換えれば、和解の対象となった事項については、仮に事実に反していたとしても、もう一度争うことはできないということになります。

上記の事例の場合、貸した金額について和解したA君は、仮に1万円貸していたことが証明できたとしてもそれについて再度争うことはできないということになります。つまり、1万円を返せと請求することはできません。

もっとも、この確定効は「和解の対象」となったものについて生じます。そのため、当事者が前提として争わなかったことについては、錯誤等を主張して争うことが可能です。判例には、特選ジャムを渡すという和解契約をしたが、実際に渡されたジャムの品質が低いものだった場合に錯誤の規定が排除されなかったというものがあります。興味がある方は、ぜひ実際の判例を見てみてください。

今回は以上になります。次回は、「非典型契約」について軽く説明します。

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