まずはお気軽にお電話ください
Tel. 03-3526-5677

ブログ

blog
作成日:2023.08.08 最終更新日:2023.08.08

司法試験と法律事務所の案件の共通点

アトラス総合法律事務所事務員の多良雄一郎と申します。
私は昨年から勤務を開始し、令和5年度の司法試験を受験しました。
相続に関する短答知識や民法の要件事実的思考など、法律事務所事務員の仕事を通して司法試験に役に立ったことは色々ありますが、この記事では事実の使い方の面で司法試験に役に立ったことについて書いていきたいと思います。

司法試験は何のためにあるのでしょうか。

司法試験は実務家の登竜門です。
司法試験は、実際に起こった生の事案を題材とする事例について、論理的に思考し、限られた時間内に確実に処理できるかを問う試験だと思います。
他方で、法律事務所の案件では、実務で現に生じている紛争について、論理的に思考し、弁護士が主張立証を展開していくことで紛争の解決を図っていきます。
このように考えると、司法試験も法律事務所の案件も実際に生じている生の事案が検討対象となっている点で共通していると思います。

事実の使い方

事実の抽出

司法試験の問題では、事実が確定しており、その事実をどう法的に評価するかという点が問われています。
他方で、法律事務所の案件では事実が確定しておらず、依頼者からのヒアリング等により事実を拾い上げていかなければならない場合も多々あります。
しかし、事実から適切なものを抽出する必要がある点では司法試験でも法律事務所の案件でも共通していると感じました。
すなわち、法律事務所の案件で準備書面の原案を起案する際、依頼者からヒアリングした事実をそのまま反映しても主張立証との関係で不要なものもあるため、主張立証との関係で必要な事実の取捨選択をしなければなりません。
また、司法試験ではどの要件との関係でどの事実を使うのかの取捨選択をしなければなりません。
現に過去の司法試験の採点実感には、問題文の事実関係から重要な意味を有する事実を適切に拾い上げ、これを適切に評価することが求められている旨記載されています。
私は、法律事務所事務員の仕事を通して、要件検討との関係で必要な事実を適切に抽出する力を磨くことができたと思います。

事実の評価

事実の法的評価の仕方について、学部やロースクールの授業等で深く勉強する機会はあまりないですよね。
基本書や問題集の模範解答ではA という事実に対しA′という評価の仕方しか書かれてない場合も多いと思います。
しかし、法律事務所の案件では、事実の法的評価の点で原告と被告が争いを繰り広げます。
新谷先生は、ソクラテスメソッドを通して、事実をどう法的評価するか、それに対し相手方は反論としてどのような法的評価を主張してくることが想定されるか、さらにそれに対し再反論としてどのような法的評価を主張するか等を質問してくださいました。
それにより、多角的に考えて事実を評価する力を磨くことができたと思います。
また、準備書面の原案を起案する際、裁判所の判断の傾向を探るために関連する裁判例の原告・被告の主張、裁判所の認定事実、判旨を読み込むのですが、原告、被告、裁判所それぞれで事実評価も三者三様であるため、優秀答案を3つ読むような感覚で裁判例を読み込んでいました。
これもまた、多角的に考えて事実を評価する力を磨くことにつながったと思います。
過去の司法試験の採点実感には、積極(自己に有利な事実)、消極(自己に不利な事実)の双方の事実を拾いつつ、反対の結論となる事情にも目を向けながら丁寧に当てはめを行っている答案は、出題意図を的確に捉えているものとして高い評価をしている旨記載されています。
このように司法試験で必要とされる、双方の事実について評価を加えてあてはめる力は自分で基本書等を読むだけで身に付くものとは言い難いです。
上記のように実際に議論等を通じてアウトプットしたり、裁判例の詳細を読み込んだりすることは司法試験にとっても非常に有益なものだったと思います。

最後に

司法試験では、判例を意識できる問題は判例のあてはめを参考にあてはめることで一定の評価を得られると思います。
他方で、判例を意識できない問題は自分で事実を取捨選択し、事実を適切に評価して妥当な結論を導く能力が特に必要になってくると思います。
妥当な結論を導くには事実をどう評価するのがベストであるか。
私は、事実の評価の仕方も多種多様で正解があるものばかりではない法律事務所の1つ1つの案件について真剣に考えることで、事実の法的評価の仕方について深く学ぶことができたと思います。
司法試験受験生は勉強をしていく中で時には自分の将来に不安を感じる場面もあると思います。
法律事務所で働きながら学ぶことで、これまで勉強してきた知識が仕事に役に立ち、逆に仕事が司法試験に役に立つといった経験をすることもしばしばあります。
そういった経験をすることで、司法試験の勉強をする際にも、今勉強していることが将来役に立つんだというような前向きな気持ちをもって勉強に励むことにつながり、結果として勉強のモチベーションにつながるといった考え方もあることがお伝えできれば嬉しいです。

 

CONTACT

まずはお気軽にご相談ください

電話で相談する
Tel.03-3526-5677
営業時間:平日9:30~19:00
メールで相談する
お問い合わせはこちら

アトラス総合法律事務所
〒101-0044 東京都千代田区鍛冶町1-8-1 SRビル7F
電話:03-3526-5677/FAX:03-3526-5678