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作成日:2020.10.07 最終更新日:2021.11.27

寄託契約

 こんにちは。東京都千代田区神田にあるアトラス総合法律事務所の原澤です。今回は「寄託契約」について説明します。雇用、請負、委任と続いた役務提供型契約の最後の類型になります。では、説明に入っていきましょう。

 寄託契約とは、「当事者の一方があるものを保管することを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって効力を生じる」契約になります。この場合、物を預けた側を「寄託者」、預けられた側を「受寄者」といいます。

 寄託契約とは、ざっくりと言ってしまえば物を預かってもらう契約になります。報酬の有無は契約の成立には関係ありません。これだけ言われると、イメージがしやすい簡単な契約類型だと思いますよね。しかし、日常的な事例では、賃貸借契約と紛らわしい事例が存在します。
賃貸借契約、覚えているでしょうか?ざっくりと言えば、土地とか建物とかを借りてその対価として賃料を支払う契約ですね。この一見すると似ているとは思えない2つの契約ですが、以下の事例ではみなさんはどちらの契約だと思いますか?

①銀行の貸金庫を利用する契約
②駅でコインロッカーを利用する契約

 実は、この事例はどちらも賃貸借契約とされます。一方の持ち物をもう一方に預かってもらうというわけではなく、一方がある場所を保管場所として利用させ、もう一方はその場所を利用する対価としてお金を支払っているということになります。法律って難しいですね笑

 では、この寄託契約はいつ終わるのでしょうか。いや、これでは不正確ですね。当事者は、どのタイミングでなら預けた物を返してくれと請求又はもう預かるのは嫌だと言うことができるのでしょうか。

これに関しては、民法に規定があります。

 まず、寄託者はいつでも返還請求をすることができます。(662条1項)民法の考え方としては、預かってもらう側がもう返してほしいということならば、返してもらえばよいだろう。もしそれで預かっている側に不利益なことがあれば、それは損害賠償で調整(662条2項)しようということのようです。

 これに対して、受寄者は返還時期の定めがない場合はいつでも返還することができますが、その定めがあった場合には、やむを得ない事情がない限りはその期限前に返還することはできないということになっています。(663条)

 具体的事例に即して一つ寄託契約に関する問題を考えてみましょう。

 大学生のA君は、大学でフットサルサークルに所属しています。A君は、同じサークルのB君から、「今度の練習で使うボールとかビブスとかを預かっといてくれ」と頼まれ、これらのものを自宅で預かることにしました。しかし、これが意外と場所をとったため、A君は無断で友人のC君にこれらを預かってもらうことにしました。このA君の行動には何か問題があるでしょうか。

 これは、AB間で寄託契約が成立していることを前提に、受寄者は自分で預からなくてはいけないのか、他人を使ってもよいのかという問題です。

 結論的には、B君の承諾なくしてC君に保管させたA君の行動は民法の規定に反する可能性があるということになります。問題となる条文は658条です。気になる方は参照してみてください。したがって、この条文により、受寄者は原則として、自分で保管しなくてはいけないということになります。

今回は以上になります。次回は「組合契約」について説明します。

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