こんにちは。東京都千代田区神田にある法律事務所,アトラス総合法律事務所の佐々木です。今日は,民法上非常に重要な,債務不履行についてお話をしていきます。
契約による債権・債務の発生
私たちは,朝,電車に乗るために鉄道会社と契約をして電車に乗って会社に向かい,雇用契約の下に会社で仕事をし,パン屋さんでパンを買うという契約をして食事をし,賃貸借契約を結んだ住居に帰る,といったように幾つもの契約が生活の中にあるということを特に意識せずに生活しています。
法律的に考えると,私たちは様々な契約目的の実現のためにある面では債権者となり,ある面では債務者となって生活していることになります。これは契約を結んだ結果,契約の効果により債権・債務が発生しているということです。
債務不履行とは
民法415条は,「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは,債権者は,これによって生じた損害の賠償を請求することができる。」と書いてあります。債権者が損害賠償請求をすることができる根拠の条文です。
ここでいう「債務者がその債務の本旨に従った履行」がされていない状態のことを債務不履行といいます。
結んだ契約内容が実現されている限りでは,「債務の本旨に従った履行」がされていることになり,債務不履行の問題にはなりません。問題となるのは,「債務の本旨に従った履行」がされないときです。
債務不履行状態の類型
債務不履行の状態は伝統的に以下の類型に分かれると言われています。
・履行遅滞
・不完全履行
・履行不能
これらの状態は,全て民法415条にいうところの,債務の本旨に従った履行がされていない状態,債務不履行状態です。そして,債務不履行になった原因が天変地異などではなく債務者が悪いとえる事情がある場合,債務不履行が原始的瑕疵ではなく後発的不能の場合(今後説明します)には,債務不履行責任の問題となります。
次回以降は,債務不履行の各類型をもう少し詳しくみていきたいと思います。