離婚問題は、単に籍が抜けるだけではなく、婚姻費用や財産分与、親権の帰属や養育費、また面会交流の取り決めなど様々な法律問題が関わるため、ご事情を丁寧におうかがいした上で、離婚解決に向けたあなたにとって最適な方法をご提案致します。
離婚、男女問題について
- 配偶者が浮気していて、離婚を考えている。離婚は認められるのか
- 離婚の原因は自分にあるが、その場合でも離婚はできるのか
- 相手が主張している離婚条件は、自分にとって不利なものなのではないか
- 離婚はしたいが、財産分与で配偶者に自社の株式は渡したくない
- 親権を取得したい
- 別居期間中に住宅ローンを自分が立て替えている。これらの費用を清算したい
夫婦関係の現状から、離婚という選択肢が頭をよぎったとき、これらの問題や不安にぶつかる方は多いのではないでしょうか。
近年、日本では3組に1組の夫婦が離婚をしているといわれています。そのため、人々の生活の中でも離婚は特に身近な法律問題となってきています。
しかし、身近になっているとはいえ、実際に離婚をしようと思い立った時、まず何をしたらよいか分からない人がほとんどだと思います。相手方の反応や離婚に伴って生じる問題、生活環境の変化などの不安から、離婚へ踏み切れなくなってはいないでしょうか。
当事務所は、今までこのような不安を抱えた多くの方々から離婚の案件を依頼され、解決に導いて参りました。
不倫やDV、浪費、性格の不一致など、離婚を求める理由は夫婦によって様々です。いずれにしても、この問題を解決するプロセスは法律相談から始まり、交渉、調停、裁判という段階を踏んで進められていくこととなります。
法律相談
何らかの理由で離婚をしたいと思った場合には、まず初めに弁護士と相談をすることとなります。この段階では、すでに調停の呼出状が届いた等の事情がない限り、離婚についての一般的な説明や具体的な事実関係の聴取にとどまる場合が多いです。
夫婦間の事情は複雑ですし、婚姻関係が長期間にわたるとなおさらですので、ただちに離婚すべきだとか、離婚はだめだなどとは断言することは難しいです。
そのため、この段階では相談者から聴取したお話をもとに、そもそも離婚ができるか否か、離婚した場合のメリット、デメリットを詳細に説明させていただくこととなります。そのうえで、離婚に向けて進めていくか否かを最終的にご本人に決めていただきます。
交渉
法律相談の後、受任が決まるとおおよその場合、次は相手方との交渉が始まります。ここでは、依頼者の希望を把握したうえで、相手方の意見や弁解を聞き出します。そして、最終的に両者が離婚に合意し、離婚協議書等の書面の形で取りまとめができれば解決となります。この段階で離婚が成立した場合には、協議離婚となります。
しかし、この段階で解決するケースは必ずしも多くありません。なぜなら、交渉は相手方に離婚を強制できるものではありませんし、そもそも交渉の申し出を無視されてしまい、交渉の場にすら出てきてもらえないことも多いからです。また、意見の隔たりが大きければ両者の意見は平行線のままとなり、時間を浪費することにもなりかねません。
調停
離婚の協議が成立しない場合、後述の裁判離婚をすることとなります。しかし、裁判をする前に、まずは調停をします。調停とは、裁判までしなくても話し合いで解決できないか?と試みる場です。ここでは、裁判のように勝ち負けを決めるのではなく、話合いによりお互いが合意することで紛争の解決を図ります。
調停手続では、一般市民から選ばれた調停委員が、裁判官とともに紛争の解決に当たっていきます。ここで裁判所を交えて話し合った結果、夫婦間で離婚の合意がなされれば解決となります。
この段階で離婚が成立した場合には、調停離婚となります。
裁判
調停までの段階で両者の間に離婚の合意が成立しなかった場合には、裁判離婚に移行します。これは夫婦間に離婚の合意がないにもかかわらず離婚を認めるというものであるため、裁判所もなんとなくで離婚を認めることはできません。法律で決められた条件、すなわち離婚原因を満たしたときにのみ認められます。
また、裁判の段階になると、もはや当事者の話し合いではなく、裁判官が離婚の可否、親権の帰属や財産分与額、慰謝料額などを決定してくれます。
裁判離婚の場合には、訴訟上のルールに則って、主張を整理、証拠の収集、提出が必要不可欠となります。また、家事調査官の調査や当事者の尋問なども十分あり得ますので、この段階では弁護士を立てることは必要不可欠だと思われます。
そして、この裁判段階になると、調停や交渉の段階に比べて当事者の負担も大きくなってきます。例えば、証拠の収集にあたっては、第三者である裁判所が納得できるくらいの証拠を集めなくてはなりません。そのため、離婚を求める理由が相手方の不倫である場合には、相手方の不倫現場を押さえるために探偵を雇ったり、相手方と不倫相手とのメッセージのやり取りを記録したりしなくてはなりません。他にも、相手方のDVを理由に離婚を求める場合には、DVの証拠として医師による診断書を取得する必要があります。
なお、調停前置主義の下では、離婚訴訟の前に調停を経る必要があり、いきなり訴訟提起しても裁判所は調停に付しますので注意が必要です。
当事務所の方針
離婚問題解決の基本方針として、当事務所は調停を採用しております。それは、数ある離婚の段階の中で調停が最もメリットがある解決方法であるからです。
まず、調停のメリットの一つとして、有意義な話し合いが期待できる点にあります。調停委員を挟んで当事者の言い分を聞き、冷静な話し合いができますので、交渉段階で上手くいかなかった話し合いもこの段階ではまとまり、解決することがよくあります。
また、当事者の意見をすり合わせる中で、夫婦のよりが戻ったケースも多々あります。他には、調停が不調に終わった場合でも、離婚を求める側からすると次の裁判への一里塚にできるという点もあります。
さらに、裁判段階と比べ、時間も労力もあまりかからずに済むというのも調停の優れている点です。もっとも、裁判所を交えるという点で、「大変そう、よく分からない」といった印象を受ける方も多いと思います。しかし、調停に関してはそのようなことはありません。調停は裁判所を交えはしますが、裁判という段階には踏み込んでいません。
そのため、この段階で話し合いがまとまれば、裁判段階のような煩雑な手続き、労力を回避できます。また、調停は前述の裁判離婚とは異なり、当事者が合意さえすれば離婚することができます。そのため、離婚原因が認められないような場合でも、交渉次第で離婚をすることも可能となります。
調停は、必ずしも離婚を前提としない夫婦関係の調整の場ですので、離婚するかどうか迷っている中でも申し立てることができます。そのため、当事務所では離婚問題については積極的に調停を利用することをお勧めしております。
離婚に伴って生じる問題
離婚をすると、ただ単に夫婦関係が解消されるというわけではありません。離婚に伴い、財産分与、慰謝料、税金、養育費、親権など、様々な問題が生じます。以下では、その中でも特に問題となる点につき解説したいと思います。
財産分与
財産分与とは
離婚をする場合、最も争いとなるのがこの財産分与です。財産分与とは、夫婦が結婚後に一緒に築いてきた財産を離婚に伴い、分けることを言います。この財産分与の対象となる財産は、夫婦が一緒に築き上げてきたものがその対象となります。そのため、婚姻前に夫が一人で稼いで貯めた貯金や相続により個人名義で取得した財産などは対象となりません。このような財産分与の対象とならない財産を、特有財産といいます。
また、婚姻中であっても、夫婦が別居をしているような場合には、別居時に築いた財産は財産分与の対象とはなりません。これは、別居をしている時は夫婦として一緒に協力して財産を築いたとは言えず、その時に得た財産は各人の財産だと言えるからです。
分与割合
そして、財産分与の中でもみなさんが特に気になるのが、この分与割合だと思います。結論から言いますと、分与割合は基本的には2分の1とすることになっています。
もっとも、これは絶対のルールではなく、夫婦内での財産形成への貢献度によって変動することがあります。それは、財産分与の基本的な考えが、婚姻後に形成した財産につき、双方の貢献度を考慮して公平な財産分配を行う点にあるからです。
財産分与をするうえで問題となる例
家や車、ペットなど
これらのものは、多くの場合夫婦で一緒に使ったり、飼ったりしているものです。そして、財産分与にあたっては、夫婦で2分の1ずつに分けるのが財産分与の基本的なルールです。しかし、このように1つしかなく、分割したら壊れてしまうようなものを半分に分けるとした場合、どのようにするのでしょうか。
これにはいくつか方法があります。一つは、売ってしまい、その売却代金を半分に分けるという方法です。もう一つは、片方の人に車をあげ、代わりにもう片方の人はそれに見合うお金だったり、家具だったりを貰うという方法です。
専業主婦(主夫)で稼ぎが無い場合
この場合、お金を稼いできているのは相手であるため、離婚に際して何も貰えず、己が身一つで放り出されてしまうのではないかと不安になる人もいるかもしれません。
しかし、そのようなことはありません。財産分与は相手が稼いだお金についても基本的に2分の1がもらえます。なぜなら、専業主婦(主夫)といっても、ご飯を作ったり洗濯物をしたりと家庭のことをすることで働いている方の人を支え、その結果、働いている人は財産を蓄えることができたといえるからです。
そう考えると、専業主婦(主夫)についても財産分与が認められるのは当然と言えます。
会社経営者に特有の問題
ⅰ会社財産
まず、夫婦で一緒に会社経営をしていた場合や夫のみが会社経営をしているといった場合、その会社財産(会社名義の不動産や電化製品など)が財産分与の対象となるかが問題となります。
この点、基本的に会社名義の会社財産は、財産分与の対象とはなりません。なぜなら、会社財産は、あくまでも会社が権利を有するものであるため、夫婦という個人とは切り離されて考えられているからです。
もっとも、当該法人が夫婦双方、もしくは夫婦の一方のみで成り立っている個人事業主のような場合には、実質的にその会社財産は、夫婦もしくは夫婦の一方の資産と同視できるため、財産分与の対象となります。
ⅱ自社株
結婚後に取得した自社株も、財産分与の対象となります。そして、自社株が財産分与の対象となると、離婚後も相手方が自社株を保有することになりますので、離婚後において、相手方が会社経営に口出ししてくるという問題があります。
この点、このような問題を回避する方法として、財産分与によって本来相手方に渡さなければならない自社株の代わりに、自社株相当額のお金を支払うことで自社株の相手方への流出を回避することができます。株式は会社の経営権に直結するものですので、財産分与にあたっては特に注意が必要です。
慰謝料
夫婦のいずれかが不倫などの不貞行為や暴力といった離婚の原因となる行為を行った場合、その者は相手方に慰謝料を支払わなければなりません。慰謝料は、離婚の際に行われる財産分与の中で一緒に処理されることが多いです。
また、不倫などをされたが離婚をする気まではない場合には、不法行為に基づく損害賠償請求として、夫婦のうち浮気した人及び浮気相手に対しても請求することができます。
時々、相手が不倫をしたので慰謝料を請求したいが、相手方が慰謝料を払えるだけのお金を持っていないというケースがあります。
この場合、相手がお金を持っていないからと言って、直ちに諦める必要はありません。まとまったお金が無いとしても、今後相手が得る収入から分割払いしてもらう方法があります。また、相手があなたには隠している預金口座や不動産を持っているということもあります。このような場合、弁護士にご依頼いただければ、相手方の財産を見つけ出すことができるかもしれません。
養育費
養育費とは、未成年の子供が成人するまでの間に必要となる経費のことを言います。離婚の際に子供がいる場合、男性であるか、女性であるかにかかわらず、子供と一緒に生活しない方の親が払います。
しかし、離婚後の生活環境の変化から、結局養育費を支払わなくなるケースがとても多いのが現状です。このような場合、弁護士にご相談いただければ、債権回収という手段により未払い養育費につき回収することができるかもしれません。
親権
親権とは、未成年の子が社会人としての社会性を身に着けられるようにするために、監護・養育し、また、子が財産を有するときはその財産を管理するという親が有する権利・義務のことを言います。
親権は、父母が協議上の離婚をする際に父または母のいずれかに定めることとなっていますが、基本的には母親が親権者となります。もっとも、母親の監護を優先すべきでない特別の事情がある場合には、父親にも親権が認められます。
男性からのご相談
離婚の相談と聞くと、女性の相談者が多いイメージを持ちませんか。実は、意外にも男性の相談者も多いです。
自分が稼いできたお金を専業主婦である妻がほとんど取ってしまい、自分はまともな生活すら送れないような金額の小遣いで毎月過ごしている一方で、妻にはブランド物などでお金を浪費されているという方や、いきなり着の身着のまま家を追い出されてしまい、帰る家が無いという経験をされた方はいらっしゃいませんか。
このように、夫婦関係の破綻した生活が日常的に行われているような場合には、離婚をすることが可能です。自分がこのような状態になっているということを、恥ずかしくて他人には相談できないという男性の方は多いと思います。ですが、弁護士には守秘義務がありますし、身内ではない第三者の弁護士の方が実は相談しやすいということもあります。
夫婦関係にお悩みのある方は、女性だけでなく男性でもお気軽にご相談ください。
弁護士に依頼するメリット
離婚は、①協議離婚、②調停離婚、③裁判離婚の三種類に分かれますが、圧倒的に協議離婚が多いと思われます。
協議離婚の場合には離婚届けに判を押せば済むため、簡易迅速な離婚が可能です。しかし、離婚には、親権や財産分与、慰謝料などの重要な問題が付随しますので、これらの問題の解決をせずに離婚だけを先行させるのはやめた方がいいでしょう。
また、当事者間で、感情に任せて話し合いをしてもらちが明かないことが多いです。さらに、親や親族も介入してきて、収拾がつかなくなることもよくあります。
弁護士に依頼した場合には、弁護士があなたの希望する離婚の形に向けた活動を法律論に則って行うため、感情論による時間の浪費、議論の平行線といった問題を回避できます。
また、離婚に伴って生じる親権、慰謝料等の権利についても同時に対応していくこととなるため、あなたが本来得られるはずの権利を知らずに知らずのうちに見落としてしまうというようなことも回避できます。
離婚を考えた際は、ぜひ一度弁護士にご相談ください。あなたにとって最良の解決方法をご提案させていただきます。