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作成日:2020.06.17 最終更新日:2021.11.09

相続と登記

 こんにちは。東京都千代田区神田にあるアトラス総合法律事務所の原澤です。
今回は、「相続と登記」というテーマで相続法改正について説明していきたいと思います。これは、大まかにいえば、不動産が相続される場合、その不動産についての権利が第三者との関係でどうなるのかという話です。
 物権法の不動産の対抗要件の問題も関係しますが、この点についての詳しい説明はせず、必要な範囲で適宜説明していこうと思います。

 

 物権法についての説明はしないといったばかりではありますが、まずは物権法の原則についての説明から始めます。大前提として、不動産に関する権利の得喪及び変更は、その登記がなされないと第三者に対抗することができません。(民法177条)ここでいう「対抗」とは、自分の権利を主張できないという意味になります。例えば、Aが土地をBから買った場合、普通はその土地の所有権は買った人に移転、つまり、その土地はAのものになります。しかし、その土地についての所有権移転登記がなされていない場合、Bが同じ土地をCに売ってしまった場合、AとしてはCに対して「その土地は自分のものだ!」と主張できないことになります。
 上記のような事例を、二重譲渡事例と言ったりしますが、そもそもAのものになったはずの土地をどうしてBがCに売れるのかという話は、物権法の話になってしまうのでここでは置いておきます。また、正確には「第三者」も定義があるのですが、ここでは省略します。

 この話からも分かるように、不動産についての権利を取得しても、その登記がなされていないと、基本的には「第三者」に対抗できません。これは、改正後も続いていくルールになります。そして、それは、相続によって不動産の権利移転が発生した場合でも、法定相続分と異なる権利を取得したのであれば、基本的に異なりません。

 しかし、改正以前は、一部の類型の場合登記なくして第三者に対抗できるとされていました。例えば、「Aに相続させる」旨の遺言があった場合などです。この場合、被相続人の意思を尊重すれば、登記などなく対抗させようというのは自然だと思います。しかし、AのほかにBという相続人もいて、そのBが自分の相続分にあたる部分についてCに譲渡していた場合、CとしてはAに対抗することができません。第三者からしてみれば、遺言の内容なんてふつうわからないのに、それによって自己の権利が左右されるのは納得できないですよね。この場合のCの保護についてどうするかという問題がありました。

 そこで、そのような相続による権利変動で不測の損害を被る第三者保護の要請もあり、民法899条の2が規定されました。同条1項によると、自己の相続分を超える部分については、登記なくして第三者に対抗することができなくなります。上の例だと、Aは登記をしていなかった場合、自分の法定相続分を超える部分についてはCに対抗できなくなります。

この規定は、これまでの運用と結論から逆になる場合もあり、実務上だけでなく、司法試験等の資格試験上も大きな影響があるのですが、その点についてはどうでもいいですね笑

 

今回は以上になります。次回は「相続分の指定と債権者の権利行使」について扱います。

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