こんにちは。東京都千代田区神田にあるアトラス総合法律事務所の原澤です。これまで10回以上にわたって、民法に規定されている典型契約について説明してきました。前回の和解契約で一通り典型契約の説明は終わったため、今回は「非典型契約」について軽く説明していこうと思います。
非典型契約とは、その名の通り典型契約ではない契約類型です。これについて規定した民法の条文はありません。もっとも、民法に契約類型が規定されていないからといって、そういう契約が直ちに無効ということはありません。契約自由の原則からも当然のことと言えるかもしれませんね。
非典型契約を具体的にあげたらきりがありません。例えば、「旅行契約」なんてものがあげられます。企業間や企業と従業員との間で結ばれることの多い「秘密保持契約」なんてものもあります。
非典型契約であった場合でも、契約の成立自体は基本的には典型契約の場合と変わらず当事者の合意によってできると思われます。では、契約当事者間で何か問題が発生した場合はどうなるのでしょうか。
当事者間で何か特約が定められていた場合は、その特約が強行法規に反しない限り特約が優先されます。これは典型契約であっても変わりません。そうすると、これまで説明してきた民法の規定の多くは当事者間に特約がなかった場合のルールとして機能すると言えそうです。
例えば、賃料の支払いは後払いが原則です。(614条)しかし、実際は特約で前払いとされていることが多いです。これがどのように当事者間を拘束するのかを見てみましょう。
上で言ったように特約が優先されますので、賃料は前払いをすることになります。もっとも、この特約がなかった場合であっても、614条があるので後払いで賃料を支払うことになります。
しかし、非典型契約の場合は特約がなかった場合に戻るべき民法の規定がありません。そのため、何か争いが起こってしまった場合に何を基準にして解釈すればよいかが不明ということが言えそうです。
この場合は似ている典型契約の規定を参照しながら解釈していくということになるのでしょうかね。
なんか話に方向性がない感じになってしまいましたが、まとめると、典型契約以外にも契約はたくさん存在しているということです。
今回はこれで以上になります。また典型契約についてのブログは今回で最後になります。お付き合いいただきありがとうございました。