こんにちは。東京都千代田区神田にある法律事務所,アトラス総合法律事務所の関根です。今回は、共有関係はどのように生じるか説明したいと思います。
共有状態とは、数人が持分を有して1つのものを共同所有することを言います。共有状態は、人の意思によって生じる場合と、自分の意思とは関係なく生じる場合があります。
1 人の意思で生じる場合
例えば、大学生の兄弟が2人で半額ずつ出し合って1つの車を買う場合、「この車は2人のものであり、仲良く一緒に使おう」という意思に基づいて、車を共同購入したと考えられます。この「2人のものである」という意思そのものが、共有状態を発生させているといえます。
2 自分の意思とは関係なく生じる場合
相続の場合、故人の死亡によって当然に相続関係が生じます。相続人が複数ですと共同相続となり、相続財産は共有状態となります。
例えば、故人の相続人として、ABC3人の兄弟がいたとします。このとき相続財産が故人の持家のみとします。法定相続では、この家を3人で平等に共有することとなり、各3分の1の持分権を相続します。
さらに、この3人のうち長男Aが亡くなったとします。ここで長男Aに配偶者Eと子FGがいたとします。法定相続分によって、持家3分の一の持分権が妻に半分、FGに4分の1ずつ相続されます。そうすると、持家の共有関係は妻Dが6分の1、子EFが各12分の1、BCが各3分の1ずつとなります。
Aだけでなく、BCも死亡したとします。BCの相続人が複数人いると、さらに持分権が相続されます。相続人の数は、EFGHIJKLMN……と、どんどん増えていきますし、一人当たりの持分権もどんどん少なくなっていきます。
相続が続くと、1つの不動産について、何十人もの共有状態が生じることになります。共有状態にある不動産を売るには、全員の同意が必要ですので、何十人分もの同意書を得なければなりません。仮に、価格にして100円相当の持分しか有していない人だけが同意していなくても売れません。こういう時はいわゆる「ハンコ代」を支払って同意してもらうケースが多く、その値段も不相当に高額なものとなりやすいため、親族間での争いの種となりやすいのです。
共有状態になると、処分に苦労しますし、放置すれば、共有関係はどんどん複雑化してしまいます。
次回はこのような問題点と対処方法についてご説明させていただきたいと思います。