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作成日:2020.09.02 最終更新日:2021.11.19

使用貸借契約

 こんにちは。東京都千代田区神田にあるアトラス総合法律事務所の原澤です。今回は「使用貸借契約」について説明していきます。

 使用貸借契約とは、「当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物について無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還することを約する」(593条)契約です。無償とありますが、金銭等の授受がなされていた場合にすべて使用貸借にあたらないというのではなく、実質的に見て使用収益の対価と認められない場合は、消費貸借契約になります。
家族に自分の家を使わせてあげたり、友人からから本を借りたり、というのが具体例になります。

 消費貸借契約は当事者間の合意によってその効力が発生する諾成契約です。そのため、この合意が成立したら、貸主には「貸す義務」が発生します。そして、この合意に基づいて目的物が引き渡された場合には、借主はその目的物を使用収益できるようになります。この「借主の使用収益を妨げてはいけないという義務」も貸主には発生することになります。

 他方、借主は目的物が引き渡されれば、それを「返す義務」が発生します。また、借主には、契約又はその目的物の性質によって定まった用法に従い、その目的物を使用収益する義務、いわゆる、「用法遵守義務」が発生します。(594条1項)まあこれはざっくりと言えば、“他人の物を使わせてもらってるんだから、あんまり変な使い方しちゃだめよ”的な感じでしょうか。

 ここまでの話からも分かるように、この契約は、借主側から見れば、ある程度長期間にわたって目的物を使わせてもらう契約になります。しかし、この長期間使わせてもらっているからこそ発生する問題があります。こういわれてみなさんはどんなことを想像するでしょうか。。。

 例えば、家を使わせてもらっていたとしましょう。家を長期間使っていれば、例えば電気が切れたり、税金もかかったりしますよね。このお金はどうするのでしょうか。もう少し具体的にすると、このお金は貸主と借主のどちらが負担するのでしょうか。

 上記の具体例で挙げた費用は、目的物を普通に保管していれば必要になるお金ですよね。これを「必要費」と言います。これとは別のものとして、「有益費」と呼ばれるものもあるのですが、ここでは省略します。

 この必要費は借りた側の負担になります。(595条1項)つまり、借りている側の費用負担で切れた電球を買い替えたり税金を負担したりしなければならないということになります。(細かく分けると、「通常の必要費」と「非常の必要費」に分かれ、この話は「通常の必要費」に妥当する話なのですが、まあ、細かいことはいったん置いておきましょう笑)

 
 ここからは、今までの話とは少し変わって、契約の終了の話をします。自分の物を期しているので、貸した側としては当然それを返してほしいですよね。では、いつ「返して!」と言えるのでしょうか。

 貸した側が返してほしいと思ったら必ず返してもらえるというわけではありません。借りている側としても急に返してと言われたら困ってしまいますよね。こういった問題があるので、使用貸借契約の終了について民法にいろいろな規定があります。(597条、598条)

 すべて説明することはできないので(僕がわからないからではなく、スペースの都合上です笑)、ざっくりと説明します。

 まず、借りた側は基本的にいつでも契約を解除することができます。つまり、いつでも返すことができます。多くの場合、この契約は借主が貸しいてほしいから結ばれます。借りている側が必要なくなったならもうこの契約を存続させる必要はないですよね。

 一方で、貸している側からの場合は、ざっくりと言えば、①期間が定められていた場合はその期間が経過した時、②使用目的が定められていたらその目的が達成されたとき、③期間も使用目的も定められていない場合はいつでもという感じでしょうか。

 また、借りている側が死亡した場合、使用貸借は相続しません。つまり、使用貸借契約は終了します。これは、当事者間の関係を重視したからだと言われます。「あの人だから無償で貸したんだよ!」という貸した側の気持ちを尊重しようということですね。

 具体的事例で考えてみましょう。大学生のA君はレポートに使おうと同級生のB君から1週間だけという条件で本を借りました。この合意によって契約は成立し、1週間が経過したらB君は返してくれと言えるようになります。もちろんこの期間経過の前にレポートが終わったA君が自分からその本を返すことは可能です。

 今回は以上になります。次回は「賃貸借契約」について説明していこうと思います。

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