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作成日:2021.09.21 最終更新日:2022.05.11

担保物権制度⑦ 抵当権2

 こんにちは。東京都千代田区神田にあるアトラス総合法律事務所の原澤です。今回も、前回に引き続き「抵当権」について説明していきます。今回は、前回より少し複雑な事案を全手に説明をしていきたいと思います。よろしくお願いします。

 

 抵当権についての基本的な性質は前回説明しましたので、それを前提に説明していきます。今回扱うのは、①抵当権侵害に対する対応、②共同抵当です。

 まずは、抵当権侵害に対する対応についてです。抵当権とは、目的物の価値を把握する担保権です。つまり、抵当権者としては、「目的物が○○円の価値を持つだろう」という想定の下、抵当権を設定することになります。
 しかし、目的物の価値は不変のものではなく、様々な要因によって増減していきます。目的物の価値が減少する事情がある場合、抵当権者としては、その価値が下がらないように何か手を打ちたいと考えるのが普通でしょう。では、抵当権者はいかなる手段をとれるのでしょうか。

 まず、抵当権者はその抵当権に基づいて妨害排除請求ができるとされています。これは例えば、抵当不動産に不法占有者がいる場合に、抵当権を根拠として不法占拠者に対して明渡しを求めることができるということです。
 判例は、一定の要件の下では、この不法占拠者に当たる者が適法な賃借人であっても明渡しの請求ができると判断しています。

 また、抵当権者は、抵当不動産から抵当権の及んでいる物が分離・搬出されようとしている場合に、これを阻止することもできるとされています。例えば、山林に抵当権が設定されている場合に、山林の通常の用法を超える木々の伐採に対してこれを阻止することができるということです。

 さらに、抵当権者は、すでに搬出されてしまった物をもとの場所に戻すように請求することも可能とされています。このとき、抵当権者の下へ返還を求めることができるかについては争いがありますが、抵当権設定者の適切な管理が期待できないような場合には、これが可能とされています。

 次に、共同抵当についてです。1つの債権の全額が1つの不動産によって担保できるとは限りません。このような場合に、1つの債権を担保するために、複数の不動産に抵当権を設定することを「共同抵当」といいます。
 α債権を担保するために、甲不動産と乙不動産に抵当権を設定することは、当然共同抵当ですが、日本では、土地と建物は別個の不動産として扱われるため、甲土地と甲土地上の乙建物に抵当権を設定することも共同抵当ということになります。

 共同抵当をめぐる問題は、配当の際に顕在化することが多いです。以下、具体例をもとに説明していきます。
 
 Bは甲土地(6000万)と乙土地(4000万)を所有しており、A、C、Dから金銭を借りています。AはBに対して5000万円の債権(α債権)を有しており、これについて甲土地及び乙土地に順位1番の抵当権を設定しています。CはBに対して2000万円の債権(β債権)を有しており、これについて甲土地に順位2番の抵当権を設定しています。DはBに対して2000万円の債権(γ債権)を有しており、乙土地に順位2番の抵当権を設定しています。

 少し複雑ではありますが、この事例をもとに説明をしていきます。

 まず、前提として、抵当権者Aは、先に甲または乙の一方を競売することも、甲と乙を同時に競売することも可能です。1つずつ競売をすることを「異時配当」、同時に競売をすることを「同時配当」と言います。

 同時配当の場合、抵当不動産の価格に応じて案分されて配当がなされます。(392条1項)本件で甲土地と乙土地の価値は3:2なので、Aは甲土地から3000万円、乙土地から2000万円の配当を受けることになります。
 この場合、第2順位の抵当権者であるCとDはともに債権の全額について配当を受けることができます。

 他方で、Aが甲土地から先に競売をして配当を受けた場合、甲土地から5000万円の配当を受け取り、第2順位のCは1000万円しか配当を受けることができなくなってしまいます。

 これでは、先順位の抵当権者(A)の選択により後順位の抵当権者(C、D)の地位が異なる結果となってしまいます。これを調整するのが、392条2項です。

  債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、ある不動産の代価のみを配当すべきときは、抵当権者は、その代価から債権の全部の弁済を受けることができる。この場合において、次順位の抵当権者は、その弁済を受ける抵当権者が前項の規定に従い他の不動産の代価から弁済を受けるべき金額を限度として、その抵当権者に代位して抵当権を行使することができる。

同項は長めの条文ですが、ここに書いてあることは、要するに以下のように処理をするということです。

まず、先順位抵当権者であるAは甲土地から5000万円全額の配当を受け取ります。この結果、Cは1000万円の配当を受けることになる。そして、Cは、同時配当を受ければAが乙土地から配当を受けたであろう限度(2000万円)で、Aの抵当権に代位することになります。つまり、Cは残りの被担保債権額(1000万円)について乙土地から配当を受けられるということになります。

共同抵当の配当に関しては、さらに細かく場合分けをすることができますが、今回はあまり複雑にならないようにこの辺でとどめておきます。

 

今回は以上になります。

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