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作成日:2021.03.04 最終更新日:2022.05.10

担保物権制度⑥ 質権2

 こんにちは。東京都千代田区神田にあるアトラス総合法律事務所の原澤です。今回も前回に引き続き「質権」について説明していきます。

 

 ではまずは質権の発生要件から説明します。前回も説明したように質権は約定担保物権といい、法律上当然に発生する法定担保物権とは異なります。では、当事者間でどのような行為があれば質権は発生するのでしょうか。

 まずは動産質権・不動産質権について説明します。通説的な見解によれば、これらは、当事者の合意のほかに目的物の引渡しがなされて初めて効力が発生するとされています。そして、動産質については占有の継続が効力の存続要件となります。つまり、動産質は占有が継続している間でないと効力がないということですね。他方で、不動産質に関しては、一旦効力が生じた後は登記を具備することで第三者にも質権を主張することができます。

 では、債権質の場合はどうでしょうか。債権は目に見えなければ物理的に占有することもできないものです。したがって、債権質は当事者の合意だけで効力が発生します。そして、債権質の場合、対抗要件は通常の債権譲渡の場合と同じ(通知又は承諾)になります。もっとも、有価証券のように個別に要件が規定されているものもあります。

 では、ここからは質権の効力について説明していきます。

まず、質権には「留置的効力」が認められます。これは留置権のところでも軽く説明しましたが、被保全債権の弁済を受けるまでは目的物を留置することができるというものです。もっとも、権利質では目的物の占有が観念できないため、この留置的効力も観念できません。

次に、「優先弁済権」が認められます。これは先取特権のところでも説明したような気がしますが、他の債権者より優先的に債権の回収をすることができるというものです。また、質権者は果実から債権に充当することも可能です。(350条が準用する297条)

ここで「質流れ」という現象について少し説明します。

質流れとは、債務者が弁済しない場合に質物を自分の物にしてしまうというものです。これができれば、質権者は簡単に担保目的を達成することができます。しかし、質屋等一定の場合を除き、設定行為又は弁済期前の合意により質流れの合意をすることは禁止されています。(349条)

次に、質権の消滅について説明していきます。

質権も担保権ですので、被担保債権が消滅した場合には消滅します。(付従性)他方で、被担保債権等の譲渡があった場合でも質権は消滅しません。(随伴性)
また、動産・不動産質権に関しては、物権共通の消滅原因によっても消滅します。例えば、目的物の滅失などがこれに当たります。

最後に、「転質」というものについて簡単に触れておきます。転質とは、簡単に言えば、質権者が質物をさらに質権に入れることです。転質をすること自体には設定者の承諾は不要です。(348条)もっとも、承諾がある場合とない場合とで、何か問題が起きた場合の処理などが異なるとこにはなります。

ちなみに、設定者の承諾があるものを「承諾転質」、ないものを「責任転質」と呼んで区別することが多いと思います。

 

今回は以上になります。次回からは「抵当権」を説明していきます。
よろしくお願いします。

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