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コラム

COLUMN
作成日:2021.12.28 最終更新日:2022.01.24

不在者財産管理人、失踪宣告について

身近な人がいなくなってしまった場合

あなたの配偶者や親族など身近な人の中に、喧嘩をして突然家を飛び出して行ってしまいそれきり行方が分からない方や、久しぶりに会いに行ったら夜逃げでもしたのか、今までの住所におらず親族の誰もその人の行方が分からなくなってしまった、というような方はいないでしょうか。
このような場合、その人がもはやあなたにとってはどうでもいいと思うような人だとしても、放っておくと法律上様々な点で問題となってくることがあります。

例えば、相続や失踪した配偶者の財産処分といった場面があります。
まず、相続の場面においては、その行方不明者が相続人の一人となっていると、その人の生死が分からないために相続人が確定できず、遺産分割手続きが進められなくなってしまいます。
次に、失踪した配偶者の財産処分という場面についてです。これは、わかりやすく言うと、いなくなってしまった配偶者の口座から生活費を引き出したり、配偶者名義の不動産の売却をしたりすることです。
このような行為についても、基本的に口座や不動産はいなくなってしまった配偶者名義のままであり、配偶者が権利を有するため残された者はこれらにつき権利を有しない以上、勝手に引き出したり売却したりすることはできません。

しかし、このような場合、いなくなった人がいつ帰ってくるのか、またそもそも生きているのかすら分からない場合にも、その人の帰りを待たないと手続きが何も進められない、財産の処分ができないとなると、残された人にとってあまりにも酷です。そこで、そのような場合に残された人たちだけで手続きを進めるための方法が「不在者財産管理」(民法25条1項)と「失踪宣告」(民法30条)という制度です。

不在者財産管理制度とは(民法25条1項)

不在者財産管理制度とは、その財産を管理すべき本人がいなくなってしまった(不在者となった)場合、本人に代わってその財産の管理・保存をすべき人を家庭裁判所が選任するという制度です。

手続きの流れ

① 申立て

不在者財産管理人選任の申立てを家庭裁判所にします。

② 裁判所による調査

裁判所による調査が行われます。この際、裁判所は本当に不在者とされるものがいないのかを判断するため、申立書や申立人自身への聴取、不在者の親族への照会などを行います。

③ 審判

②で集めた各情報をもとに、不在者と認めるべきか、また、誰を管理人とするかを裁判所が具体的に判断します。

④ 結果の連絡

管理人を選任するかしないかを裁判所が決定すると、その結果が審判書という形で申立人に連絡されることとなります。
※裁判所への申立てから結果の連絡(①~④)がなされるまで、おおよその目安として1~2カ月ほどかかります。

⑤ 権限外の行為許可

財産管理人を選任したうえでさらに財産管理人の権限外行為を行いたい場合は、上記の不在者財産管理人選任申立てに加えて、権限外行為許可の申立て(民法28条)を行います。同申立ての結果が出るまでは、約1カ月の期間を要します。

以上がおおまかな流れとなります。しかし、これだけでは具体的にどのような場合に申し立てができるのか、どうしたら申立てが認められるのかなど具体的なことについては分からないと思います。そのため、以下でより詳しく不在者財産管理人制度の説明をしていきたいと思います。

不在者とは

「不在者」とは、従来の住所又は居所からいなくなってしまい、そう簡単には帰ってくる見込みがない者を言います。そのため、家出をして1週間帰って来ていない、というような程度では不在者と認められることは難しいです。

申立てることのできる人

この制度の申立ては、誰でもすることができるわけではありません。申立てができる人物は、不在者の法律上の利害関係人及び検察官です。
法律上の利害関係人の例として、不在者の債権者や、不在者と共に共同相続人となっている者、不在者の配偶者などの人物が挙げられます。反対に、単に不在者の友達であったり、近隣住民であったり不在者財産管理人の選任

申立てがされると、裁判所は不在者とされている人が本当に見つからないのかを申立人本人や警察本部、法務局など各方面に確認を取ることとなります。そして、裁判所による調査によっても不在者が見つからないとなった場合に、不在者財産管理人の選任がなされることとなります。

では、どのような人が不在者財産管理人となるのでしょうか。
この点、本制度の目的が不在者の財産を不在者がいない間に誰かが代わりに管理、保護してあげる点にあることから、不在者財産管理人となれるのは、不在者の財産を保護できる者で、かつ、そのような能力を現に有している者である必要があります。そして、選任にあたっては、申立人の方から「候補者」を推薦することもできます。もっとも、その候補者が不在者の財産保護に適しないと家庭裁判所に判断される人物であった場合には、家庭裁判所が勝手に適していると思われる者(その地域に所属する弁護士など)を選任することとなります。

実際のところは、申立人が推薦する候補者(ただし、申立人自身や利害関係を有しない不在者の親族)が選任されることが多いです。なぜなら、近親者以外の人で、不在者の財産をしっかり守ってあげようと考え、行動してくれる本制度の趣旨に合致するような一般人はなかなかいないからです。また、他には申立てを行った地域に所属する弁護士が選任されることが多いです。

不在者財産管理人が選任されると

不在者財産管理人が選任されると、管理人は不在者にしか本来許されないはずの行為のいくつかを裁判所の許可なくして行うことが可能となります。それは、保存行為、利用行為、改良行為(民法28条、103条)です。これは、例えば建物の壊れた個所の修繕、不在者を被告とする裁判への応訴、不在者の有する建物を賃貸してお金を得る行為などです。分かりやすく言うと、不在者の財産の価値を減少させずに維持したり、上昇させたりするような行為であれば不在者財産管理人として行えます。
反対に、建物を売ったり、口座からお金を引き出したりするような行為は財産価値の減少を伴うため、当然にはできません。ですが、このような行為についても、以下のような方法を用いることで行うことが可能となります。

権限外行為許可(民法28条)

前述の通り、不在者財産管理人は選任されただけでは保存行為といったこと財産価値が減少しないような行為しかできません。しかし、それでは、不在者に取り残された配偶者や子供の生活費といった、当然に必要となる費用すらも不在者の口座から引き出すことはできません。また、不在者が相続人の一人となっている遺産相続協議についても、不在者がいないためにいつまでも協議が成立しないこととなってしまいます。そこで、このような不都合に対処するために権限外行為許可という制度があります。

これは、不在者が従来住んでいた場所の家庭裁判所に申し立てて、管理人が本来できないはずの行為も管理人が出来るようにするための制度です。
この申立てを行い、裁判所から許可を貰えた場合には、管理人は上記のような生活費の引き出しや遺産分割協議の成立といった行為をすることができます。
しかし、当然のことですが、申立てをすればどんなこともできるというわけではありません。先ほど説明した通り、不在者財産管理人の制度目的は、不在者がおらず財産の管理ができない場合の不在者財産保護にあります。そのため、たとえ「配偶者ら家族の生活費の支出」という客観的には正当な財産処分行為であったとしても、それがひと月100万円のように生活水準に比してあまりにも高額な場合、それは財産の保護を図るべき管理人の任務に反し、散財していることとなるため裁判所からの許可は出ません。
同様に、遺産分割協議の場面においても、不在者には本来法定相続分の相続権があるのに、法定相続分を下回る相続割合で遺産分割を行うというような不在者に著しく不利な内容の遺産分割協議をすることは原則としてできません。もっとも、不在者が死亡している可能性が高く、もはや帰ってくる可能性がほとんどないというような特別な事情がある場合には、そのような者に相続をさせても意味はないため、生存が確認できている他の相続人に不在者の相続分を分け与えるといった方法を取ることも可能です。

権限外行為として、他には相続放棄・承認、訴訟行為、不動産の売却行為、投資行為など、あらゆる財産の処分につながる行為があります。これらも、裁判所による許可をもらうことで、行うことができるようになります。

不在者が見つかった場合

不在者本人の所在が分かった場合には、財産管理人が管理していた財産を不在者に引き継がせ、管理人の職務は終了します。
仮に、不在者が死亡していることが判明した場合には、不在者の相続人、あるいは相続人がいない場合には相続財産管理人に、不在者の財産を引き継がせることとなります。

失踪宣告制度とは(民法30条)

失踪宣告とは、不在者の生死が長期にわたって不明な場合に、法律上、その人は死亡したものとみなす制度です。先ほどの不在者財産管理人制度が、不在者が生きていることを前提として代わりに財産管理を行う者を定める制度であったのに対し、失踪宣告は不在者が死んでいることを前提として手続きを進めいていく制度です。

手続きの流れ

①申立て

家庭裁判所に失踪宣告の申立てをします。

②裁判所による調査

裁判所が警察や失踪者の親族に確認をして、失踪者が本当にいなくなったのかを調査します。

③公示催告

これは、官報という国の発行する新聞のようなもので、国民全員に広く呼びかけを行うために用いられます。これを用いることで、もしも失踪者とされている人が生きている場合には、生きていることを裁判所に伝えるように促します。
・普通失踪の場合は3カ月以上の間
・特別失踪の場合は1カ月以上の間

④審判

公示催告期間に誰も裁判所への連絡を行わなかった場合、失踪宣告の審判に移ります。この段階で、失踪宣告の審判書が申立人に送達されます。この審判書は、この後の手続きで必要となってくる大切な資料です。
失踪宣告の審判書が申立人に送達されてからさらに2週間の不服申立て期間を経ると、ようやく審判が確定となります。

⑤公示公告

2週間の不服申立て期間を経て失踪宣告が確定すると、そのことを官報を用いて再び国民全体に知らせます。この公告が行われると、失踪者の本籍がある役所へ、裁判所から失踪宣告がされた旨の通知が行きます。しかし、これだけではまだ戸籍から消されるという効果は生じません。

⑥確定証明書の取得

裁判所へ、失踪宣告の審判が確定したことを証明してもらうための、確定証明書を出してくれるように申請します。これは、次の手順で必要となってくる大事な資料です。

⑦失踪届の提出

失踪者の本籍のある市区町村役場、あるいは申立人の住所地である市区町村役場において、先ほど取得した確定証明書、失踪宣告の審判書謄本、失踪者の戸籍謄本、失踪届を提出します。これでようやく、失踪者が戸籍上「死亡」したという戸籍の変更手続きが行われます。そして、失踪届の提出は審判が確定してから10日以内に市区町村役場へ提出しなければなりません。

失踪宣告の大まかな手続きの流れは以上の通りです。そして、上述した通り、失踪宣告は公告期間として長い期間が必要になるため、手続きが全て完了するには一般的に6カ月から1年の期間を要するとされています。相続が開始してから失踪宣告を開始すると、最悪の場合、失踪宣告の手続きが完了するまでの1年間、相続手続きが全く進められないということも起こりえます。そのためにも、早い段階から連絡の取れない人や行方の分からない人などにつき調査し、失踪宣告の申立てを行うなどして、いざという時に円滑に相続ができるように備えておきたいですね。
では、具体的にどのような人が失踪宣告の申立てができるかなど、より具体的な事項を以下で説明したいと思います。

類型

①普通失踪(民法30条1項)

生死不明の状態が7年間以上続いている場合を言います。
例えば、家出をしてそのまま一切連絡が取れなくなり、生死も分からないような場合です。
生死不明になった時から7年が経過した時点で申立てができるようになり、その7年を経過した時点で死亡したものとみなされます。

②特別失踪(民法30条2項)

死亡の原因となるような重大な危険に見舞われ、そのまま生死が分からなくなる場合を言います。
例えば、乗っていた飛行機が墜落してそのまま遺体が確認できなかったというような場合です。
死亡の原因となるような事件などに見舞われ、その事件が収束してから1年経っても生死が分からないような場合に申立てができ、事件収束から1年経過時点で死亡したものとみなされます。

申立てができる人

不在者と法律上の利害関係を有する者をいいます。すなわち、失踪宣告がなされることで、権利義務関係に変動が生じるような場合です。
例えば、不在者の配偶者や推定相続人などがこれにあたります。反対に、たとえ親族であっても、相続人にあたらないような関係の人は、失踪者との間で利害関係が生じない以上、申立人と認められないこともあります。

失踪宣告の効果(民法31条)

失踪宣告がなされると、その者が法律上死亡したという効果が生じます。
失踪宣告は、単にその人の「死亡」という効果しか生じさせません。しかし、特に相続の場面では、「死亡」は重大な意味を持ちます。例えば、相続は人が「死亡」することにより開始されます。また、遺産分割の場においては、相続人全員が揃っている必要があるため、一人でも生死不明な人がいるとその一人のためにいつまでも協議が整わなくなるという不都合が生じますが、失踪宣告により「死亡」とみなせば、その人がいなくても協議をすることができます。

失踪者が見つかった場合(民法32条)

失踪者が見つかる場合として、①生きたまま見つかるパターンと、②死亡していることが判明したパターンがあります。①の場合、失踪者とされていた本人または利害関係人の請求により失踪宣告を取り消します。また、②の場合にも、失踪宣告により失踪者が死亡したものとして一応定められた日と、実際に死亡した日が異なる場合には、同じく失踪宣告の取り消しの請求を行います。
これにより、失踪宣告を行う前の状態に戻ります。

高齢者消除

余談となりますが、高齢者消除という制度について少しお話します。
一般的に、その人が死亡したかどうかは戸籍を見ると分かります。
しかし、その中にはまれに「死亡」という記載ではなく、「高齢者消除」という記載がされていることがあります。これは、行方不明などにより生死が不明で、死亡が確認されていないために戸籍上生存していることとなってはいるが、戸籍上の年齢が120歳を超えているような、死亡の蓋然性が高い者に対して行われる行政措置です。
これがなされると、戸籍上は除籍したこととなります。しかし、これは便宜上戸籍から消されたにすぎず、この高齢者消除をもって法律上の「死亡」の効果は生じません。
そうなると、先ほど述べた「死亡」が重大な意味を持つ相続などの場面では、相続が開始されない、遺産分割協議が進められないといった、上述のような問題が生じることとなります。
そのため、高齢者消除がされているだけでは足りず、失踪宣告により、法律上「死亡」の効果を生じさせる必要があります。

 

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