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コラム

COLUMN
作成日:2022.05.23 最終更新日:2023.04.14

民事裁判手続きのIT化で何が変わるのか?

こんにちは。アトラス総合法律事務所、事務員の荻野です。

民事裁判手続きのIT化が今後推し進められていくということが最近話題となっています。そして、民事裁判手続きのIT化として、国は「3つのe」なるものを掲げています。それは「e提出」、「e事件管理」、「e法廷」です。しかし、一般の方からしたら、裁判に関わること自体稀ですから、そもそも現状の民事裁判実務の状況すら分からないというのが実情だと思います。
そこで、現在の民事裁判実務状況がどのようなものなのか、そして、これが民事裁判手続きのIT化により、どう便利になるのかを簡単にお伝えできればいいなと思います。

e提出

民事裁判の現状

現状、民事訴訟をするには、裁判資料を裁判所へ直接提出する必要があります。
例えば、訴えを提起するにあたっては、訴状を裁判所へ持って行って窓口に出すか、郵送で裁判所まで送る必要があります。すなわち訴状という現物を、裁判所の手元に直接届けなければ訴えを提起することができません。しかし、実際に窓口に持って行くとなると、その間の移動時間がかかったり、せっかく裁判所へ持って行ったのに、その場で訴状の不備を指摘され受理してもらえないなどといった問題があります。
また、訴状に限らずその他の準備書面等の裁判資料もやはり裁判所へ直接提出しなければなりませんが、裁判所にも受付時間というものがあり、その時間内に提出しないと翌日まで受け取ってもらえないという時間的制約もあります。

e提出とは

そこで、このような不便さを解消するために導入されるのがe提出です。これは、訴状や書証、答弁書といった裁判資料を裁判所へ直接提出せずとも、インターネットを利用して、オンラインでの提出が24時間365日可能となるというシステムです。

このe提出が可能となれば、今までのような無駄な時間、労力を省け、また、受付時間という時間的制約にも縛られる必要は無くなり、各々が裁判に向けた準備を柔軟に行うことが可能となります。
そして、同制度の実現にあたっては、特に弁護士などの代理人はオンラインでの提出が義務付けられる一方、高齢者などの機械に不慣れな人には、今まで通り書面での裁判資料の提出を認めることとしています。これは、機械に不慣れな人たちが裁判を出来なくなってしまっては本末転倒であるため、このような人たちの裁判を受ける権利を害さないようにするという意図です。

e事件管理

民事裁判の現状

現在の民事訴訟においては、多くの人が訴訟代理人として弁護士を立てて訴訟を行います。そうすると、裁判所や相手方とのやり取りは基本的に代理人が行うため、依頼人は代理人を介して裁判の状況を知る、という事態になりがちです。
また、裁判資料は膨大な量になることがしばしばありますが、これら資料は裁判をするうえでとても重要なものですので、安易に捨てることはできません。そのため、裁判資料を保管する場所を確保する必要があります。

e事件管理とは

そこで今回導入されるのがe事件管理です。これは、裁判所が管理する事件記録や事件情報について、訴訟代理人だけでなく当事者本人もオンラインでアクセスできるようにし、訴状や準備書面、その他証拠などの裁判資料などの記録を簡単に見ることができるようにする制度です。また、期日の進捗状況も確認できることとなっています。

これにより、代理人を介さずとも、依頼者本人も自分自身の裁判が今どのような状況にあるのかを確認でき、裁判手続の透明性を確保することができます。また、裁判所や代理人においても、今まで余儀なくされていた紙媒体での裁判資料の保管という負担から解放されることとなります。さらに、電子情報にすることで、バックアップさえ取っておけば火災等により、裁判資料が失われてしまうといったおそれも回避できるといったメリットもあります。

e法廷

民事裁判の現状

裁判をする上では、口頭弁論期日や弁論準備手続き期日において、原告・被告はもちろん、証人も裁判所の法廷に出席して自己の主張を行うことが原則です。しかし、これだと裁判所から遠い場所に住む一方当事者に多大な負担がかかってしまったり、証人においてもそこまでして証言してあげる必要はないと判断して、貴重な証言を得られなくなってしまったりすることもあります。

そこで、現状では電話会議という仕組みが用いられています。しかし、これは当事者全員が裁判所へ出頭する必要が無いというわけではなく、少なくとも当事者の一方は裁判所へ出頭する必要があります。つまり、裁判官と一方当事者の二人が、他方当事者と一つの電話で話をするというシステムです。そのため、少なくとも一方は、裁判所への出頭という負担を課せられるものでした。

e法廷とは

そこ導入されたのがe法廷です。これは、口頭弁論期日、弁論準備手続期日などの裁判手 続を当事者らが裁判所へ出頭せずとも、テレビ会議やウェブ会議を活用して実施することができるというシステムです。

これにより、今まで少なくとも一方の当事者は裁判所への出頭が必要だった電話会議の必要は無くなり、当事者の双方、さらには証人が裁判所へ出頭せずとも、口頭弁論期日等の裁判手続きを行えるようになります。また、電話会議とは異なり相手の顔や表情を画面を通して見ることができるとともに、裁判資料等もパソコン上で共有することで円滑な話し合いの実現が可能となります。
さらに、ウェブ会議を利用することで、今までは移動時間を考慮したうえで決めていた期日設定が、移動時間を考慮せずに決めることができるようになるため、結果的に裁判期間の短縮にも繋がると見込まれています。

まとめ

今回の民事裁判手続きのIT化は、法律事務所で働く私からしたらとても画期的なものだな、という印象でした。それと同時に、ようやくか、という感想も抱きました。今まで、民事裁判をする際には基本的に全て紙媒体でのやり取りをしており、裁判資料の保管や送付といった作業の煩雑さを常日頃感じていました。この点に関しては、おそらく同業者の多くが同じように感じていたと思います。しかし、オンライン上のデータでのやり取りが当たり前になった現代において、このような紙媒体でのやり取りは、一般的に見てかなり遅れています。この点が改善されたのは、法律家にとってはとてもありがたい点だと思います。
また、上述のように裁判手続きの迅速化が見込まれるところ、従来、裁判は長い時間がかかるというイメージが強くありました。実際、事件解決に年単位での時間がかかる紛争も多いです。ですが、今回の改善により、そのようなイメージが払拭され、国民に対して今までよりも気軽に裁判手続きの利用を促せるようになるのではないかとも思います。
今はまさにIT化への過渡期で、IT化により今まで生じなかった問題が今後生じることもあるかと思います。特に、裁判においては重要な個人情報が多く含まれていることがあります。そのため、そのような情報の管理についての対策が適切に施されたうえでIT化への移行がなされると、国民も安心して裁判を行えるようになるものと思います。

いずれにしても、IT化により今後裁判手続きがどのような変化を遂げていくのかは、法律に携わる者としては非常に楽しみです。 

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