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作成日:2022.01.24 最終更新日:2022.01.24

相続人の種類と相続分について、わかりやすい具体例付

相続制度について、特に、相続人の種類と相続分について具体的事例を用いて説明していこうと思います。

法定相続分の確認

相続人の順位

以前、相続には「順位」というものがあることは説明したかと思います。ここまでの内容に関しては、「相続放棄の要件と手続き」というタイトルのコラム記事「2‐3.相続人の順位」をご覧ください。

 https://atlas-law.jp/column/2019/

相続の順位については、民法887条、889条に規定されています。条文には①被相続人の子(とその代襲相続人)、②被相続人の直系尊属、③被相続人の兄弟姉妹(とその代襲相続人)という順で相続が起こると規定されています。
 この順位とは相続の優先順位のことです。つまり、第1順位の相続人(被相続人の子)が相続する場合には、それ以降の順位の人物は相続人とはならないということです。

また、同順位の相続人間では相続分は等しいとされています。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹(いわゆる半血兄弟)の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹(いわゆる全血兄弟)の相続分の1/2とされています(900条4号)。

①に関して、現行の民法上は、実子と養子の間にも、前妻の子と現在の妻の子の間にも差異はありません。前妻は相続人となりませんが、前妻の子は相続人となりますので注意が必要です。

②の場合、被相続人の両親が既に他界しているのであれば被相続人の祖父母(存命の場合)が相続人となります。つまり、被相続人の両親が死亡していても祖父母が生きていれば第3順位の人に相続が起こることは原則としてないということです。

配偶者の扱い

配偶者は常に相続人となります(890条)。つまり、相続が発生した場合に相続人となるのは、配偶者と先順位の相続人ということになります。

各場合での相続分に関しても、民法に規定があります(900条)。具体的には、相続人が①配偶者と子の場合には1:1、②配偶者と直系尊属の場合には2:1、③配偶者と兄弟姉妹の場合には3:1となります。

具体例

ここからは、いくつかの具体的な事例をもとに相続分を確認していこうと思います。ここでは特に記載のない限り、遺産は現金1億円のみで、相続税その他の費用は考慮しないこととします。また寄与分や特別受益といったものもここでは考慮しません。

相続人が被相続人の配偶者と子2人(AとB)の場合

(1)配偶者がいる場合

父母と子供2人といった家族を想像してください。そして父親が死亡した場合がこのケースの典型例です。

今回相続人となるのは配偶者である母とその子(AとB)です。配偶者と子の相続分は1:1で、同順位の相続人がいる場合には等しい割合となるのでAとBの相続分も1:1になります。したがって、このケースでは配偶者が5000万円(1/2)、AとBがそれぞれ2500万円(1/4)ずつ相続することになります。

上で説明したように、子は実子・養子、前妻の子等の区別なく扱われます。したがって、仮にAが実子でBが養子の場合や、Aは前妻の子でBが現在の配偶者の子であるといった場合であっても、結論に影響はありません。

(2)配偶者がいない場合

配偶者が既に死亡している場合や離婚している場合がこのケースにあたるでしょう。今回は父親と子2人の家族で父親が死亡したケースを想定します。

今回の相続人は子(AとB)のみです。したがって、それぞれが等しい割合で相続することになります。つまり、AとBがそれぞれ5000万円(1/2)ずつ相続することになります。

相続人が被相続人の配偶者と両親の場合

(1)配偶者がいる場合

ここではAとBの夫婦において夫Aが死亡したケースを想定してください。2人の間には子供はいませんが、Aの両親(CとD)はともに生きているとします。

今回相続人となるのは配偶者(B)とAの両親(CとD)です。配偶者と直系尊属の相続分は2:1で、同順位の相続人がいる場合には等しい割合となるのでCとDの相続分は1:1になります。したがって、このケースでは配偶者(B)が約6667万円(2/3)、AとBがそれぞれ1667万円(1/6)ずつ相続することになります。

仮にAの両親はすでに死亡していたが、Aの祖父母が生きている場合、上で説明した通り、配偶者とAの祖父母が相続人となります。

(2)配偶者がいない場合

この場合の相続人は直系尊属のみです。そのため、被相続人の父母がともに生きていればそれぞれ等しい割合で(5000万円ずつ)相続します。

被相続人の両親はすでに死亡していたが、被相続人の祖父母が生きている場合、被相続人の祖父母が相続人となるのは上の場合と同様です。

相続人が被相続人の配偶者と被相続人の兄弟姉妹(4人)の場合

(1)配偶者がいる場合

ここではAとBの夫婦において夫Aが死亡したケースを想定してください。2人の間には子供はおらず、Aの直系尊属も全員死亡していましたが、Aには4人の兄弟姉妹(C~F)がいるとします。

今回相続人となるのは配偶者(B)とAの兄弟姉妹(C~F)となります。配偶者と兄弟姉妹の相続分は3:1で、同順位の相続人がいる場合には等しい割合となるのでC~Fの相続分は等しくなります。したがって、このケースでは配偶者(B)が7500万円(3/4)、C~Fがそれぞれ625万円(1/16)ずつ相続することになります。

仮にCとDはAと父母を同じくする兄弟で、EとFはAと父のみを同じくする兄弟であった場合(例えば、Aの亡き父は再婚しており、ACDが前妻との子で、EFは後妻との子であった場合)には、EとFの相続分はCとDの相続分の半分になります。

文字だけだとわかりにくいと思いますので、もう少し説明を加えます。

この事例では、Aの配偶者Bは遺産の3/4である7500万円を相続することになりますので、C~Fは全員で2500万円を相続するということになります。そしてこれらを4人で分ける際に、C:D:E:F=2:2:1:1になるということです。
したがって、CとDはそれぞれ約833万円(1/12)を、EとFはそれぞれ約417万円(1/24)を相続するということになります。

(2)配偶者がいない場合

この場合の相続人はAの兄弟姉妹(C~F)のみですので、それぞれが等しい割合で2500万円(1/4)ずつ相続することになります。

仮にCとDはAと父母を同じくする兄弟で、EとFはAと父のみを同じくする兄弟であった場合には、EとFの相続分はCとDの相続分の半分になりますので、CとDはそれぞれ約3333万円(1/3)を、EとFはそれぞれ約1667万円(1/6)を相続するということになります。

結語

今回の記事では、具体的な数字を使って相続分を計算してみましたがどうでしたでしょうか。皆さんもご自身の家族構成などを前提に相続分を計算してみると面白いかもしれませんね。
 
今回は以上になります。最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

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