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作成日:2023.09.08 最終更新日:2023.09.08

相続放棄期限の3ヶ月が経過してしまったらどうなる?

被相続人が遺した財産は、放棄することが可能です。この手続きは「相続放棄」と呼ばれていますが、相続開始後(相続の開始を知った日から)3ヶ月以内に行う必要があります。相続放棄は手続きをしなければ単純承認をしたとみなされるため、速やかに決断する必要があるのです。

しかし、被相続人が亡くなってから3ヶ月を過ぎた後に、借金が発覚し「相続放棄をしたい」と考える人も少なくありません。そこで、今回の記事では相続放棄の期限である3ヶ月を過ぎてしまったら、どのように対応すれば良いのか詳しく解説します。

相続放棄の期限はいつから3ヶ月?

冒頭に触れたように、相続放棄の期限は「3ヶ月」とされています。では、いつから数えて3ヶ月を超えたら相続放棄の期限を超えてしまうのでしょうか。

相続の開始を知った日から3ヶ月以内

相続放棄の期限とは、「相続の開始を知った日から3ヶ月以内」です。たとえば、同居されている夫婦の場合、夫の死を知るのは亡くなった日当日であることが多いでしょう。一方で、疎遠となっている相続人の場合、相続の開始を知るのは亡くなった当日とは限りません。

相続権の移動により、亡くなった日から数えると3ヶ月を超えて、自身が相続人であると知ることも珍しくありません。「自分が相続人と知った日から、3ヶ月以内」であれば、相続放棄は可能です。

なお、この3ヶ月は相続放棄をするかどうか、じっくりと熟慮できる期間として「熟慮期間」と呼ばれています。

3ヶ月経過したら相続放棄はできないのか?

もしも熟慮期間である3ヶ月を超えてしまったら、相続放棄はできなくなるのでしょうか。
結論から言うと、相続放棄は3ヶ月を超えてしまった場合でも認められることがあります。原則として3ヶ月以内に行う必要はありますが、借金の有無が把握できていない場合や、限定承認にするべきかどうか迷うケースなどでは、3ヶ月を超えても家庭裁判所に認められることが多くなっています。

 3ヶ月経過後でも相続放棄が認められるケース

では、相続放棄が3ヶ月を超えてしまっても、相続放棄が「認められるケース」にはどのような事例が挙げられるでしょうか。主なケースを3つ紹介します。

借金の存在を知らなかったケース

本来相続放棄は、熟慮期間を過ぎると、「相続した」と法的にみなされます。しかし、被相続人が家族にも内緒で借金をしていた場合、熟慮期間を過ぎてから督促状などが届き、借金が発覚することがあります。このような事例では、相続放棄が認められる場合があります。

特別な事情があり相続財産の存在を知り得なかったとわかるケース

家族によっては、生前から没交流となっていることも少なくありません。たとえば、家族の死去を知らされていても、葬祭にも出席せず、遺産分割協議などにも臨んでいない場合には、相続財産の存在も知り得ません。3ヶ月を超えていても、汲むべき事情があれば相続放棄が認められる場合があります。

相続財産が全くないと思っていたケース

被相続人が生前に全く財産を有していなかった場合(預貯金や不動産など)、相続人としては単純承認以前に、もらえるものは何もないと思っていたでしょう。預金がなければ銀行口座から引き出しもできませんよね。財産がないと、単純承認とみなされるような行為は発生しません。(※1)

その後、3ヶ月後超えて相続放棄が必要となった場合には、手続きが認められることがあります。

(※1)単純承認とみなされる行為とは
生前に被相続人が使っていた預貯金口座や証券口座を解約する、所有していた財産を破棄、売却した場合には単純承認とみなされます。相続放棄を少しでも検討している場合には、こうした行為は行わないように注意が必要です。

3ヶ月経過後に相続放棄を受理させる方法

熟慮期間である3ヶ月を超えても、相続放棄を認められる可能性はあります。落ち着いて家庭裁判所に申述することが大切です。

この時、「上申書」と呼ばれる書類を添付することが、有効な方法の1つです。上申書は事情説明書とも呼ばれており、相続放棄の場合は相続放棄が遅れた事情を、家庭裁判所側に説明する内容を記載します。

上申書の書き方はネット上でも多く紹介されていますが、相続放棄が遅れた理由を適切に伝えるためには、ご自身で作成するのではなく弁護士に相談の上で作成することがおすすめです。慎重に記載しなければ相続放棄が認められない可能性もあるためです。

3ヶ月経過前なら熟慮期間の伸長ができる

相続の開始を知った日から3ヶ月以内に相続放棄を行う必要がありますが、この期間は大変短いと言えるでしょう。亡くなった方の遺品整理や、病院や葬儀場への手続きなどを行っていると、あっという間に3ヶ月を迎えてしまいます。また、被相続人が遺した相続財産の総額が分からないことも多く、相続財産の調査を行っている間に、3ヶ月を迎えてしまうケースも少なくありません。では、熟慮期間を超えてしまいそうな場合には、一体どうするべきでしょうか。

すでに文中に少し触れましたが、相続放棄の熟慮期間は延ばすことができます。延ばすことを「伸長」と言い、家庭裁判所に申述を行うことで、認められることが多くなっています。では、どのように手続きをすれば良いでしょうか。

相続の承認または放棄の期間の伸長とは

相続放棄はそもそも、家庭裁判所に対して申立てる必要があります。相続放棄の手続き先は亡くなった方の住所地を管轄する家庭裁判所です。原則として被相続人の「最後の住所地」を管轄する家庭裁判所に手続きを行います。

相続放棄に迷っている、相続財産の調査が終わっていないなどの場合には、「相続放棄の熟慮期間の伸長」を、相続放棄と同様に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で手続きを行います。

手続きのしくみ

相続放棄の熟慮期間の伸長は誰でも行えるものではなく、申立てできる方に条件が設けられています。詳しい手続きのしくみは以下のとおりです。なお、伸長の申述は相続人1人ずつごとに、申述を行う必要があります。(※2023年8月現在)

■申立てができる方
・相続人を含む利害関係人
・検察官

■申立先
相続開始地(被相続人の最後の住所地)を管轄する家庭裁判所

■申立てに必要な費用
収入印紙800円(相続人1人単位)
郵券(裁判所によって指定枚数が異なります)

■必要な書類 
申立書
被相続人の住民票除票(もしくは戸籍の附票)
利害関係者からの申立ての場合は利害関係を証明できる資料
伸長を求める相続人の戸籍謄本

※代襲相続の場合、非代襲者の死亡を証明するために、非代襲者の死亡の記載がある戸籍謄本を用意する必要があります。配偶者・子以外の相続人の方は、基本的に被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本が必要です。詳しくは以下リンクをご一読ください。

→裁判所HP 裁判手続き案内 「 相続の承認又は放棄の期間の伸長」

3ヶ月経過したら弁護士にご相談を!

この記事では、「相続放棄の期限が3ヶ月を経過してしまった場合」について、詳しく解説を行いました。相続放棄は原則として、相続の開始を知った日から3ヶ月以内に手続きを行う必要がありますが、やむを得ない事情で手続きができなかった場合でも、諦める必要はありません。正しく手続きを行うことで、熟慮期間を超えても認められることがあります。

ただし、自己判断による手続きは大変危険です。単純承認をしたとみなされると、相続放棄ができない可能性があります。また、遺されている財産などを考えると、相続放棄ではなく限定承認など別の方法が望ましいケースもあります。

適切に相続手続きを行うためにも、3ヶ月を経過してしまった相続がある場合は、まずお気軽に弁護士にご相談ください。

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