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作成日:2023.09.27 最終更新日:2023.10.13

知らなかった借金が発覚!相続放棄できる?借金の調べ方・注意点も解説

相続には預貯金や不動産など、プラスの財産が多いイメージがありますが、ご家族が借金を遺したままご逝去されるケースも少なくありません。住宅ローンなどのように、家族が借金の存在を生前から知っている場合には落ち着いて対応ができますが、場合によっては相続開始後に、家族が全く知らなかった借金が発覚することもあります。

では、もしも被相続人の財産の中に、借金が発覚した場合には、一体どのように対応すれば良いでしょうか。今回の記事では、知らなかった借金と「相続放棄」をテーマに詳しく解説します。

3ヶ月経過後に借金が発覚しても相続放棄が認められるケース

相続放棄は、相続の開始を知った日から「3か月以内(熟慮期間)」に家庭裁判所で申述を行う必要があります(民法915  Ⅰ)。しかし、被相続人が生前に、家族に内緒で借金をしていた場合、3か月を過ぎてからその存在が発覚することがあります。

急に届いた督促状や、生前にお金を貸した個人からの問い合わせにより、借金の存在を家族が初めて知るというケースも少なくありません。もしも3か月を過ぎてしまっていても、以下に挙げるようなケースでは、相続放棄が認められています。

ケース①:相当の理由があって借金がないと信じていた場合

被相続人が生前、借金をしているような様子が全くなく、住まいに督促状や問い合わせも無かった場合には、ご家族は借金の存在を知る術がありません。亡くなられたことにより返済がストップし、督促状届くのは熟慮期間を過ぎてから、ということも珍しくありません。

また、被相続人が単身世帯であり、非同居の家族が相続人となった場合にも、借金の存在は全く知らないことも多いでしょう。こうしたケースでは、知らなくても仕方がないと家庭裁判所が判断することはあり、3か月を超えても相続放棄が認められやすくなっています。

ケース②:相当の理由があって相続財産が全くないと信じていた場合

被相続人によっては、預貯金や現金、不動産などのプラスの財産を全く遺すことなく、亡くなられることがあります。承継すべき財産がない以上、相続放棄をする必要もありません。その後、相続開始を知った日から3か月を超えて「借金」が発覚した場合には、家庭裁判所が相続放棄を認めることが多くなっています。

ケース③:相続財産の調査が著しく困難な事情がある場合

被相続人が生前にどの程度の財産を遺したのか、調査が難航することがあります。被相続人と相続人が長年交流のない状態であったり、相続権の移動により、あまり面識のない親族の相続人となったりした場合には、相続財産の調査が困難になりがちです。困難と言える事情があるケースも、家庭裁判所に伸長の申立てをおこなうこと(民法915  Ⅰイ)で、家裁は3か月を超えた相続放棄を認めています。

熟慮期間の3か月を過ぎてしまった場合については、「相続放棄期限の3ヶ月が経過してしまったらどうなる?」で詳しく解説していますので、参考にしてください。

被相続人の財産・借金を調査する方法

相続放棄の多くは、借金を理由に行われています。しかし、被相続人が生前に家族に内緒で借金を重ねていた場合には、相続開始後の財産調査に難航することがあります。また、借金の有無が分からない場合でも、遺産分割協議や相続税の納付が予想される場合には、相続人が遺した相続財産を正しく把握する必要があります。では、被相続人の財産や借金は、どのように調査するのでしょうか。

保有財産を調べる方法 

まず、被相続人が保有していた財産を調査しましょう。保有財産を調べるコツは、まず以下の3つに焦点を当てて調べることがおすすめです。

1.預貯金
多くの方は給与の受取や公共料金の支払いなどに、「預貯金口座」を開設しています。現金は持っていなくても、預貯金口座にお金を預けている方は多いでしょう。預貯金には、普通預金や定期預金があります。近年はネットバンキングの利用者も多いため、ネット銀行も視野に入れて預貯金口座を調べてみましょう。

通帳やキャッシュカードなどから辿れますが、生前に転勤などで引越し歴のある方は、現地の地方銀行などに口座があることも多いためご注意ください。

2.不動産
住まいや土地、田畑など、不動産も多くの方が所有している財産です。不動産は所有していると登記が行われているため、「権利書」が存在しています。また、固定資産税の支払い明細や、名寄帳などの取得でも所有している不動産がわかります。

3.金融資産
株式投資などを行っている場合は、預貯金口座以外の金融資産が見つかります。株券、ゴルフ場の会員権などが該当するほか、銀行や信用金庫などへの出資金も金融資産です。投資信託なども該当します。

この他に、車両や骨とう品なども財産に含まれます。相続放棄を検討されている場合、被相続人が遺した財産を捨ててしまったり、売却したりすると、単純承認をしたとみなされるため、方針が決まるまでは整理に留めるようにご注意ください。

借金を調べる方法

被相続人が遺した借金を調べるためには、一体どうすれば良いでしょうか。以下2つをご参考ください。

1.信用情報機関に照会を行う
消費者金融やカードのローン枠などで借金をしている場合、「信用情報機関」に照会を行うことで、借金の有無を調べることが可能です。信用情報機関には、借り入れている方の氏名や住所、残債や滞納状況が登録されています。現在日本には、以下3つの信用情報機関があります。個人情報のため、普段は開示請求者には厳しい制限が設けられており、生前は家族からの開示請求は受付していません。しかし、法定相続人の場合は開示請求が可能です。

・CIC (株式会社シー・アイ・シー)
クレジットカード会社や信販会社などが加盟

・JICC (株式会社日本信用情報機構)
クレジットカード会社や消費者金融会社などが加盟

・KSC(全国銀行個人信用情報センター)
銀行や信用金庫などが加盟

開示請求は日数を要することもあるため、お早めに手続きを開始されることがおすすめです。

2.個人間の借入の場合
個人からの借り入れは、信用情報機関に登録されないため、情報を掴むことに難航する場合があります。遺品の中に、借用書や督促状が眠っていないか、確認をされることがおすすめです。個人からの借金は、被相続人の死去の情報を知った方からの問い合わせで判明するケースもあります。預貯金口座から毎月個人宛に送金するような履歴が見つかったら、借金の可能性もあります。

■借金の調査における注意点とは
被相続人がひょっとして借金をしているかも…と思っても、知人や親族にその存在を問い合わせてしまうと、架空の借金があることにされ、返済を求められるおそれがあります。また、闇金融など、悪質な業者からの借り入れが疑われる場合はご自身で対応するよりも、弁護士などの専門家に相談されることがおすすめです。

被相続人が個人事業主、経営者だった場合には、連帯保証人となっていることも多いため、慎重に調査を進めましょう。

知らなかった借金の発覚後に相続放棄する際の注意点

相続開始後、熟慮期間を過ぎた後に知らなかった借金が発覚した場合でも、相続放棄が認められる可能性もない訳ではありません。しかし、実際に申述する際には知っておきたい注意点があります。

単純承認とみなされる行為はしないこと 

被相続人の遺した財産を使ったり、破棄したりする行為は単純承認とみなされるため避けましょう。なお、常識の範囲内での葬祭費用の支払いなどは、単純承認とはみなされません。

借金の返済をしないこと 

督促がある日突然届くと、驚いて借金の返済に応じてしまう方もいます。しかし、被相続人に代わって、被相続人の預貯金口座などから返済を行ってしまうと、相続をしたとみなされます。まずは相続放棄を検討していることを伝え、速やかに方針をまとめましょう。

相続放棄後は相続権が移動する

相続放棄は相続人全員が一斉にまとめて申述するものではなく、一人ひとりが申述します。この時、放棄後に相続権が移動することにより、今まで相続人ではなかった方が相続人となる場合があります。しかし、相続人となったことは家庭裁判所から通知されることはありません。トラブルを防ぎたい場合、次に相続人となる方には予め伝えておくことがおすすめです。(なお、伝える法的義務はありません)

「3か月という期限は知らなかった」では相続放棄が認められないことも 

相続放棄は熟慮期間が3か月である、とまだまだ世間一般には知られていないかもしれません。しかし、熟慮期間を知らなかったため手続きが遅れた、と言う理由では相続放棄は認められません。

相続放棄ができないケースについて、以下のリンクで解説しています。

→「相続放棄できないケースとは?失敗しない手続きのポイントを解説

まとめ

この記事では、相続人が知らなかった借金が発覚した場合に、相続放棄ができるのか、という視点で詳しく解説しました。熟慮期間である「3か月」を超えても、相続放棄が認められるケースはあります。とはいえ、単純承認とみなされる行為があった場合などは認めてもらえない可能性が高いでしょう。

また、借金の調査は難航することも多く、調査を急いでも熟慮期間を過ぎてしまうこともありますので、被相続人が遺した相続財産の全容がわからない場合には、まずは弁護士にご相談ください。

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