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【ブログ】典型契約④

2019-03-20

典型契約④

こんにちは。東京都千代田区神田にある法律事務所,アトラス総合法律事務所の佐々木です。今回も,前回に引き続き,典型契約の一例を紹介したいと思います。

前回までに紹介した,贈与,売買と同様に物を移転する形の典型契約として,「交換」があります。交換というと何か聞いたことありそうなワードではありますが,民法にしっかりと明記されていますので,一緒にみていきましょう。

民法586条1項は,「当事者が互いに金銭の所有権以外の財産権を移転することを約すること」で交換契約の効力が生じるとあります。ということは,日常的に使う意味での交換,例えば赤ちゃんのおむつ交換などは,赤ちゃんから何か財産権を移転するものではなく,民法上の「交換」にはあたらなそうです。また,「互いに金銭の所有権以外の財産権を移転」とあるので,売買のように一方が金銭を支払うものとは異なる類型になります。

ラーメン屋の事例で「交換」の例を考えてみます。

司法試験受験生の苦学生A君は,ラーメン屋店主Xの作るラーメンを食べたかったが所持金がなかったことから,Xに対し,「この本をあげるからラーメンを食べさせて下さい!」と言い,Xは,「しょうがねぇ,いつも来てくれているAの頼みだ!その本をもらうから,ラーメン食っていきな!」と言った。
ここでは,金銭の所有権の移転はなく,A君は本,Xはラーメンという財産権の移転を約していることになり,交換契約といえます。

次回も,民法が定める典型契約の類型を紹介していきたいと思います。

【ブログ】典型契約③

2019-02-20

こんにちは。東京都千代田区神田にある法律事務所,アトラス総合法律事務所の佐々木です。
 前回は,民法の典型契約のうち,贈与(民法549条)の事例を紹介しました。今日は,みなさんにとっても日々の生活の中で関わりの深い,売買契約(民法555条)をみていきます。

 まず,条文をみてみますと,「当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し,相手方がこれに対してその代金を支払うことを約すること」で売買契約が成立します。贈与の場合もそうなのですが,これ売ります,これ買います,という意思の合致のみで契約が成立します。しかし何か違和感ありませんか。というのも,この条文によれば,実際に物を渡すことも,実際にお金を支払うことも契約の成立には必要ではないことになります。

 ラーメン屋の事例でいえば,ラーメン店の店主Xが製麺所Yとの間でYから麺を仕入れる代わりにXがその代金を支払う合意をした,時点で契約が成立します。その後はお互いに,店主XはYに代金を支払うこと,製麺所YはXに麺を納入すること,が契約内容になり,XYは合意した契約内容に拘束されることになります。

 次回以降も私のブログでは,典型契約の各類型を説明していきます。

  

【ブログ】典型契約②

2019-02-05

 こんにちは。東京都千代田区神田にある法律事務所,アトラス総合法律事務所の佐々木です。
前回の私のブログでは,私たちの生活に関係の深い法律として民法があること,民法は契約類型をいくつか明記しており,それは典型契約と呼ばれていることを説明しました。
今日は,それら典型契約のうち,贈与契約を民法の条文とともに見ていきます。

贈与契約(民法549条)とは

 民法の条文をみると,「当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し,相手方が受諾をすること」によって,贈与となると書いてあります。何のこっちゃって感じですよね。例によって,ラーメン屋の事例で説明します。

 事例:司法試験受験生のA君が2018年度の司法試験に合格し,A君がよく行くラーメン屋の店主Xが,A君が司法試験に合格したお祝いに,「お金はいいからこれ食べな!」とラーメンを無料でA君に提供したのに対し,「ありがとうございます!頂きます!」とA君はそれを受け取った。

民法の条文に引き付けると,この事例では,店主XのA君に対するラーメンの無料提供の意思の表示,「お金はいいからこれ食べな!」という発言が,「自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示」したことになります。これに対し,A君がラーメンを受け取る意思の表示,「頂きます!」という発言が,「相手方が受諾をすること」にあたります。

次回も典型契約の各種類型を,ラーメン屋での事例を元に説明していきます。

 

【ブログ】再逮捕

2019-01-21

こんにちは、東京都千代田区神田にあるアトラス総合法律事務所の志喜屋(シキヤ)です。

今回は、前回お話しした逮捕に関連して、再逮捕についてお話しします。

・再逮捕の禁止
いったん逮捕が終了して身体拘束を解かれた被疑者を、同じ事実で再び逮捕することは、原則として許されません。なぜ再逮捕が原則として許されないにかといいますと、もし同じ事実で逮捕を繰り返せるなら、前回お話ししたように、法律が逮捕・勾留について定めた厳しい時間制限が無意味になってしまうからです。

・再逮捕禁止の例外
もっとも、再逮捕禁止の原則にも、一定の場合には例外が認められます。なぜ例外が認められるのかといいますと、再び身体拘束をして捜査を行う必要性が生じる場合があることは否定できず、また、原則として禁止されている趣旨は身体拘束の不当な蒸し返しを禁止することにあるので、それに当てはまらないのであれば再び身体拘束を認めても支障はないからです。

・再逮捕が認められるには?
まず、①新しい証拠の発見などにより犯罪の疑いが復活する、逃げたり・証拠を隠したり壊したりするおそれが再び発生するなど、前の逮捕終了後の事情変更により再逮捕しなくてはならない必要性が生じたことが要求されます。
次に、②犯罪の重さや疑いの程度などの事情から、被疑者の利益を考えてもなお再逮捕は仕方ないといえる程度の高い必要性が認められなくてはなりません。
最後に、③原則禁止の趣旨を害してはならないので、前の逮捕中の捜査経過などにも照らして、再び同じ事実のために逮捕することが不当な蒸し返しに当たらないといえなければなりません。

・再逮捕と別件逮捕
ニュース事情を盛り上げているカルロス・ゴーン氏について、報道などでは特別背任の疑いで再逮捕されたと言われていますが、あれは本当に再逮捕といえるのでしょうか?
まず、ゴーン氏は最初に金融商品取引法違反の疑いで逮捕されていますね。次に、特別背任の疑いで逮捕されています。この、金商法違反の逮捕と特別背任の逮捕は、異なる事実によるものです。
再逮捕は、同じ事実で再び逮捕することをいいますので、特別背任の疑いによる逮捕は再逮捕とはいえません。報道で再逮捕といわれているのは実は、別件逮捕のことをいいます。

次回もぜひ読んで下さい。

【ブログ】逮捕と勾留

2019-01-08

初めまして、東京都千代田区神田にあるアトラス総合法律事務所の志喜屋(シキヤ)と申します。
 
私は、映画・ドラマが好きでほぼ毎日何かしらの映画やドラマを観ています。その中でも特に刑事ものが好きで、刑事手続きについて関心を持つようになりました。

今日はその刑事手続きの中の、逮捕・勾留についてお話しします。一躍時の人となったカルロス・ゴーン氏の件について、逮捕・勾留はニュースで散々取り上げられていますので、皆さんも興味深い話題なのではないかと思います。

まず、逮捕とは、捜査機関(警察、検察)または私人によって、被疑者が逃げたり、罪証(証拠など)を隠したり壊すのを防止するため強制的に身柄を拘束する行為をいいます。
次に、勾留とは、逮捕された被疑者についてさらに身柄の拘束を継続することをいいます。これは、検察官が請求し、裁判官が勾留状というものを発して行います。

逮捕と勾留の違いについてお話しします。逮捕と勾留の最大の違いは、身体拘束の時間の長さです。逮捕が最大72時間であるのに対し、起訴前の勾留は最大20日間、起訴後は、2か月以上身体拘束がなされる可能性があります。
また、逮捕は、身体拘束の時間が短い代わりに、逮捕の違法性を争う手段がありませんが、勾留は、準抗告や勾留の取り消しを請求することによって違法性を争うことができます。

今後も法律の話をできるだけかみ砕いて書いきますので、ぜひ読んでいただけたらと思います。

 

【ブログ】典型契約とは

2018-12-10

こんにちは。東京都千代田区神田にある法律事務所,アトラス総合法律事務所の佐々木です。

以前,契約がキチンと履行されない場合の「債務不履行」について,私の好きな食べ物がラーメンなのでラーメン屋さんでの注文を事例として説明しました。
そして,ラーメン屋さんでラーメンを注文しラーメンの提供を受ける場合のように,特に意識してはいないけれども,私たちは生活の中で様々な契約を結んでいることも書きました。

そんな,私たちが生活の中で知らない間に触れている法律として,民法があります。そこで民法をみてみると,私たちの生活に関係する契約類型をいくつか抜き出して明記しており,民法に記載のある契約は典型契約といわれています。
典型契約としては,贈与(549条),売買(555条),交換(586条1項),消費貸借(587条),使用貸借(593条),賃貸借(601条),雇用(623条),請負(632条),委任(643条),寄託(657条),組合(667条1項),終身定期金(689条),和解(695条)があります。何だかあまり聞いたことがないような契約名称もありますが,これらは一体どんな契約なのでしょうか。本当に現代において典型的な種類の契約なのでしょうか。

次回の私のブログでは,上記の典型契約の中身を少し具体的にみていきます。

 
 
 

【ブログ】日常の出来事

2018-10-22

  こんにちは。東京都千代田区神田にある法律事務所,アトラス総合法律事務所の佐々木です。

 法律事務所では,裁判所との間で書面や電話でのやり取りが日常的に行われていますが,今日裁判所から電話があり,「(幣所の依頼者の相手方である)原告の請求に予備的請求が追加されたので,書面の送達が必要になったから裁判所に副本を取りに来てほしい。」とのことでした。
 幣所の弁護士に伝言すると,「なぜ送達が必要になるのかわかりますか?」と聞かれ,私は即答できませんでした。
 そこで調べると,今回は訴え提起時には1つの請求であったものにもう1つ請求を追加する,訴えの変更(民事訴訟法143条1項)のケースでした。そして,この訴えの変更は書面でしなければならず(同条2項),この書面は相手方に送達しなければなりません(同条3項)。
 なるほど,裁判所の方はこの条文を根拠にお話しされていたのですね。
 
 何気ない日常の仕事の1コマでしたが,法律の根拠に基づいて仕事がされていることを感じました。
  

【ブログ】知的財産法概要6

2018-09-05

東京都千代田区神田にあるアトラス総合法律事務所の管野です。

商標権は、商品やサービスが他の粗悪なものと間違われて評判が落ちるような事態を避けるために認められるものです。
具体的には、文字、図形といったいわばシンボルとなるようなものを、他の人が使えないようにすることができます。

最近では、こういった見た目で判断できるものだけでなく、音にも商標権が認められるようになりました。
例えば、CMで印象深い「正露丸」の『ラッパのメロディ』(大幸薬品株式会社)などです。

商標権が認められるものに似たシンボルを勝手に商品に付けたりすると、商標権侵害となる場合があります。似ているかどうかは難しい判断ですが、①見た目がどれくらい似ているか、②声に出して呼ぶと聞き間違えやすいか、③そのシンボルから受けるイメージが似ているか、といった点が基準になります。

意匠権は、見た目から美しさを感じ取れるデザインで、かつ、大量に作ることができるものについて認められます。著作権と特許権の間、といった感覚です。
例えば、おしゃれ用カラーコンタクトレンズの模様や色というのは、その見た目が美しく、商品として売るために大量生産できるものとなっています。そのため、意匠権の保護が受けられます。

これについても、似たようなデザインを勝手に使うことは許されません。似ているかどうかは、買う人が、そのデザインのうち特に興味を惹かれる部分を中心に判断することになります。

ここまで、知的財産法についてかいつまんで説明しました。なんとなくのイメージはお持ちいただけたでしょうか。

より具体的で深いお話については機会を改めて説明したいと思います。

 

【ブログ】知的財産法概要5

2018-08-16

東京都千代田区神田にあるアトラス総合法律事務所の管野です。

特許権を持つと、これを侵害する人に対して、侵害をやめること、損害賠償としてお金を支払ってもらうことができます。

特許権侵害とは、基本的に、保護されている発明を勝手に利用して、その発明によって物を作ったり、作られた物を使ったり、売ったりすることをいいます。

問題なのは、発明を利用したかどうかをどうやって判断するか、という点です。

前回説明した通り、特許権を得るためには特許庁に書類を提出する必要があります。その書類には、どのような発明をしたかが言葉で説明されます。
発明を利用したかどうかは、このその提出書類に書かれている言葉通りのものを利用したかどうか、というところから判断することになります。

例えば、「金属をS字に似た形に加工して作られる強いバネ」といった説明がなされる発明があり、これに特許権が認められているとします。
他の人がこれとまったく同じものを作った場合には、原則として特許権侵害になります。
他方、金属を加工して作られる強いバネを作ったとしても、その形がT字に似たものであった場合、「S字に似た形」という言葉と一致しないため、原則として特許権侵害にはなりません。

このように、言葉を基準にして認められる特許権侵害のことを、文言侵害(もんごんしんがい)と呼びます。

ちなみに、文言侵害以外に均等侵害というものがありますが、かなり深い話になってしまうので、その説明は後の機会に。

次回は意匠、商標についてまとめて説明します。
  
  

【ブログ】知的財産法概要4 

2018-07-26

東京都千代田区神田にあるアトラス総合法律事務所の管野です。

特許権は「発明」を創って得られるものです。「著作物」を創って得られる著作権とは違いがあります。

「著作物」は、小説を読んで、音楽を聴いて、絵画を観て、創作者の伝えたいことから何か心を動かされたり、新しい考えを与えられたりするようなものです。

他方、「発明」は、携帯電話、薬、LEDといった身近なものから、専門家の使う機械やプログラムまで、広く生活に必要なものや生活を実際に豊かにするものです。創作者が何を人々に伝えたいかは関係がなく、著作物とは違うものと考えられます。

そして、私たちの社会生活をより便利にするためには、発明をみんなに知ってもらい、より多くの人が作ったり使ったりする方が良いはずです。

しかし、どんなに努力して発明を創っても、何の報酬もなく発明を使われてしまっては、発明のために費やした分の金銭ですら回収できません。そうなると、発明者の多くは発明を創る気をなくしてしまいます。

そこで、発明を世の中に広める代わりに、発明を使う人からは報酬を払ってもらいましょう、というかたちで発明者を保護することにしています。そのために発明者が持つことができる権利が特許権なのです。

ただし、特許権は発明をするだけでは持つことができません。特許庁のOKをもらってはじめて特許権を持つことができます。
具体的には、どのような発明をしたかを文字や図で説明した書類を特許庁に出し、審査してもらい、「これは保護するべき発明だ」と判断されれば、特許登録をすることになります。

次回は、特許権を持つとできることについて説明します。

  
  

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